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結局は

結局私の扱いは、新規登録の初心者で、荒事を任せるには経験不足なのもたしかです。


「でもさ、実際に暴動が起こしたとして何ができるの?」


「要望があってのデモ行進ならともかく、このまま暴動に発展したら、アーリーウッドとサンデックの人間が仲違いして難民の立場は悪くなるだろうが…」

本格的に街の中枢を乗っ取って支配下にするつもりであれば、暴動ではなくクーデターになるんだが、まずそれは不可能だろうとアランが説明してくれる。

「中枢ってギルド?」


「違うよ。ギルドじゃなくて、領主や軍の方だよ」


なるほど、それは難民だけに難しい話だ。


領主や軍を倒したら今度は侵略行為になるし本格的に国から騎士団がきて制圧にかかる。

庇護下に入りながら暴動を起こして他国に損害を与えたら、他のアーリーウッドの民も不義理で恥知らずと呼ばれ続け信頼を失う一端となるわけだ。


そうなると、救援活動から手を引いたり支援を受けれなくなる可能性が出てくる。

下手したらアーリーウッドそのものが立ち行かなくなる可能性はあるね。


さらにアランは、「アーリーウッドそのものは魔物のスタンピードで崩壊してるが、アーリーウッドの勇者という支えが出来てしまったせいで、一部の狂信者が勢い付いてしまった結果こうなったのかも知れん」と付け加えた。


暴発した民衆による、まさに向こう見ずの暴動か…。


「で、もし暴動になったら私はどうしたらいい?」


これ重要。凄く重要。


「…いや、鍵かけて町の人に任せとけばいいと思うぞ」


「難民対市民はあんまり想像したくないけど、アーリーウッドの騎士団は混乱を避けて国境防衛に専念してるし、サンデックの騎士団と冒険者だけでも鎮圧出来るでしょ」



「難民は間違いなく追い出される事になるんだろうが…」


時間も立ち、テントなど程度の物資が揃った所だろうから、後腐れなく街から追い出す理由を作るために、政策として難民に暴動を起こさせた可能性もあるとか。


少し荒っぽい話だが、倉庫街にいられて延々と面倒を見るわけにも行かず、一時的な混乱だけで国外へ戻せるとしたならそれに越したことはないと。


難民からは恨まれるかもしれないが、サンデックとアーリーウッドは、近いくせにもともと流通もなく都会のマンションの隣同士のように冷えた関係で、互いに不干渉で過ごしてきた。

それに、アーリーウッドは海路で結ばれているお陰で王都との流通は盛んらしい。

これからは、国が主だった奪還作戦が実行されるだろうから、いつでも支援を打ち切れる国外に難民がいてほしい訳だ。



「でもさ、アーリーウッドの勇者って暴動の火種になるくらいの人気あるんだ?」


「人道的で顔はいいらしいし、撤退中にいくつも危機を救い最後には、他国にまで非難させてくれたんだ。迷惑な話だが人気はそれなりにあるだろう」


そのカリスマにつけ込むあたり性格悪いよね。


「だが、此方に都合がいいだけでまだそうと決まった訳ではないのだから決めつけてはいけないぞ」


だいたい確定してても、煙に口に出してはいけないのが貴族流だってさ。


なら農民の流儀は?


「男は黙って股いじり…ったい!?」


「…いきなり下ネタに走るなよ。思わず叩いちゃったじゃないか」


なんか知らんがライズに叩かれた。

あれか、自分が普段からエロいくせに、他人の下ネタが許せない外道か貴様。


「いや、スラムの女の子が下品な事ばっか覚えてくるから、叱ってたらクセになっちゃっただけなんだ。ゴメンね」


「だけだよって割に、かなり痛かったんですが?」


「そうしないと、いきなり孕んでたりするから仕方なかったんだよ」


スラム街の中は、モラルとか尊厳とかない世界らしいけど、恐怖政治とかドメスティックバイオレンスみたいに力で抑えつけなきゃならない環境ってなんなの?


「サラだって、兄弟みたいに育った年下の子がいきなり孕んでたりしたらいやだろ」


「そりゃまあイヤですが、田舎だと叔父さんの後妻さんが年下だったりとかありえるし?」


いきなり未成年が嫁がされるカオスな展開も、田舎だからこそ、そんじょそこらの貴族の常識なんざ田舎じゃ一切通用しません。

なお、オスは放り出されれけどメスは確実に嫁がされます。


「なら、いまのサラを家族が見たらどうするの?」


「もはや別人だし、どうもこうもしないと思うよ?」


兄さんらがシンじゃっても新しく作ったのがいるだろうしな。

生まれた時から女ならともかく、いくらオンナ不足のあの村でも親戚や肉親に嫁がされる事もあるまいて。


だいたい、サランの事は調べようがないんだからさ。


「敢えて言うなら、通りすがりの美人に手当たり次第に“村に嫁にこないか”と声かけてる最中に紛れてたりするんじゃないの」


「…そんなに女が居ないのか?」


「うん、女の子が居る内は男はが皆我慢してでも食べさせてたとおもったよ?」


男所帯の家も少なくないし、女子は宝のように育てられるから、食べるに困らないからぽっちゃりさんしかいませんでしたよ。


「嫁の欲しい家からはたびたびお裾分けがきたりしたし、猟師の家からは一番いい部分が届けられたりするよ」


「なんでそんなに詳しいんだ?」


小さい頃から髪のばしてたから、勘違いした隣村の人が突然持ってきたりとかあったんだよ。

「あの姿されてたんじゃ全くわからなかったから、それくらいあるかも」


マイトがいつになく真剣な顔で頷いている。


「いきなり、男に告白されるんだから困っちゃうよね。そんな村だから、今里帰りする訳にはまいりません」


割と切実な話で、親戚とか関係者が押しかけてきて縁談くもうとするぞ。


「それは災難だったと思うが、まだ髪を伸ばしてたのはなんでだ?」


「男の髪より女の髪の毛のほうが高く売れるから、女装して売りに行く予定だった」


「…サラが意外に悪質だった」


マイトががっくりうなだれているが、所詮は予定は未定。

女装の必要なくなったからいいじゃないか。


そんな事は、ともかく暴動起こったら家で普通に股イジリしている方がいいだろうって話だったよな。


―そうだ、魚やかなきゃだった。


「そういや、魚は直火で焼いていいのかな?」


「食えれば問題ない」


「どうせワタは食えないし、三枚に下ろしたら頭や骨は油であげて食べれるようにしてほしいかな」


「包んで香草蒸しにするのもいいよね」


「パイ包みも冷えたエールに合うし、身はパイ包みがいいかな」


「香草たくさん使えば臭みも消えるしね」


ライズとマイトが口々に魚料理を並べ立ててくれたが、今日は網焼きでいいにしよう。


骨は一応揚げたし、身は香草をまぶした。


―グッジョブ。

( ̄人 ̄)この幸せが何時までも続きますように(フラグ設置)

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