漁をする
「川のウナギが捕まえられたら小さくても生きてたら千からで買い取りしてくれるって話しだよ」
ニュロニュロか、あれ夜しかいないって話なんだけど、姿がヘビに似てても味が全然違うんだよね。滅多に捕まらないから希少価値は高いらしいね。
「ウナギなら生きたままも難しくないから蓋ができるようなもんなかったかな」
マイトが乗り気なのはわかったけど、台所で空になった大鍋を犠牲にしようとしないで?
「マイト捕まえた事ある?」
「沼とかに餌入れた藁を束ねて罠にすれば簡単に捕まるよ」
「夜なら森から魔物きたりするらしいからな。討伐ほどは無理だとしても多少の稼ぎは出るだろ」
……………うん。
「ごめんな!オレが森に入りたくないからってゴネてごめんね! 」
「今の状況の森に望んで入る奴は頭がおかしい。私たちも入りたくないから安心しろ」
けど、オレが仲間にならなきゃ今頃何度も森に入ってるよね!?
「いや、そしたら飯も食えなくなってるかも…」
「マイトの回収率を嘗めるなよ。森に行ってたら毎日発見報告にギルド行かなきゃならないし、適度に時間を置かれたやつばっかり見つけるんだからな」
「そうだ、もし何かあっても川なら流せばすむ話だからな」
あの、お兄さんら何を下流に流す気ですか?
「何って、生き物とか死体だな」
よもや生き物まで…、聞かなきゃよかった。
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川だ。
山からの流れる川は、草原を少し歩いた場所にある。ちょっと深そうな場所がある所まで下ってきた。
「…川が紫色に」
不気味な色合いにオレは立ち尽くす。
いつもなら、割と綺麗な水が流れているはずなんだけど、なぜか清き流れはうっすらと赤く…。
「山のほうで血抜きをやってるんだろう」
「肥料だと思えばいいよ」
口々に言いながら竿を手に川の中へ入っていく。
稲の束を仕掛けにいくみたいだけど、よくこの色の川の中に入れるよ。
「別に臭生くもないだろ?」
いや、戻ってきたマイトの体を伝う水はピンク色だし、気持ち悪い。
「所で、皆年上なんだが、なんで私だけお兄さん呼びなんだ?」
アランをお兄さん呼びするのは、それだけ頼りにしているからですかね。
「皆年上だけど、マイトは頼りないし、ライズは酔っぱらいだからかな?」
で、意外な話かもしれないけど、このパーティーの登録上のリーダーがマイトなんだよな。
まったくそんなそぶりがないのはなんでですかね?
結局兄貴肌で頼りになるけど、兄貴と呼ぶにはアランは細身で似合わないしな。
「アランにもっと筋肉あったらアニキって呼でたかも」
「筋肉か?騎士は筋肉より技術を磨けと言われるし増やす予定はないな」
アランと二人で土を掘り、釣り針に付ける餌のミミズを探す。
見つけたミミズは、木の箱に入れて保管する。付ける餌がなくなったらまた探すをくりかえすだけね。
「サラ、餌は付けられるか?」
「ミミズなら大丈夫だよ」
アランが後ろから覗いてきたが、ミミズは暴れるけど、足があるイソメに比べたら大人しいもんだ。
よくしなる木の先に糸をくくりつけた簡単な竿に、本来は川釣りに使わない返しのついた針。
ミミズの頭にブスッと針を通して竿と同じ長さの糸と一緒に川の中に向かって投げる。
ミミズの重みだけだから風に流されたけど付けたウキの浮力で適当な流れにのっていた。
池とかと違って、川の水は常に下に流れてるし、河原まで流されてきたら同じ事の繰り返すだけで極端な正確さはいらないんだよね。
「なるほど、竿で投げなくてもサラなら投擲でいけるのか」
重りになってるのが、ミミズだけだから、アランが竿を振り回してもあんまり遠くには飛ばないんだそうだ。
でも、糸の長さ固定だから、どちらにしても一緒のとこにしかいかないから三回目くらいで竿を動かして上流に置いてくるような感じにきりかえた。
いや、毎回手元に戻すのも手間だったし。
「ウグイが来ないな」
同じ川魚でも、フナよりウグイの方が金になるらしい。
フナはそんなに美味くないから大物じやないなら売り物にならないと聞いてきたそうだ。




