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笑顔2

―あのオバン嘘教えよった。


そんな事考えながら事務のオバンの方を見たら、何でか知らんがスッゴい笑顔でこっち見てた。


笑顔なのに睨まれたような気がするのはなん…いや、笑顔を向けられてるのに、“生きた心地がしない“って方が正しいのかっ!!


やたらな事考えるもんじゃねえな。


だからみんな姐さんって呼んでるのか二度とミーアさんの事をオバンなんて思っても呼びませ…。


「サラちゃん、いくつか聞きたい事あるからコッチに来てもらえるかしら?」


ヒィッ!?なんか笑顔で呼んでるよぉっ!!!



二時間ほどしてミーアさんから解放されたオレは決意を新たに皆の元に…。


「オレ、“オレ”やめて“わたし”サラになるよ」


「…何言われたかわからんが無理はするな」


大丈夫、サラの仕事中はそれで通してきたから大丈夫。


「ライズ、サランの目が…」


「光がないね。事務のミーアさんと何話してしたんだろ」


サランじゃないよ“サラ”ですよ?サランはシんだんだ。今はサラしかいないんですよ。


そう考えながら、マイトに笑顔を向ける。


「どうかした?」


サランじゃなくてサラちゃんですよ?


「え????」


「…マイト頼む、早く名前を言い直せ」


「え?だってちゃんとサランって…」


―ごすガス


「痛えっ!なんで同時にっ!?」


机の下で鈍い音が二回。

マイトがスネを押さえてライズとアランの二人を交互に見ている。


その姿を見て、ミーアさんが小さく舌打ちしたのが見えた。


マイトは口にしないと分からない?


「マイト、わたしはサラだから間違えないでね?」


「サラっ呼べば良かっただけなのか?」


二人から足を庇いながらマイトが不思議そうに答えた。

どうやら理解してくれたらしいが、ミーアさん直伝の“全てを黙らす姫スマイル”に至るには、まだ技術が足りないんだ。これから精進しよう。


いや、でも黙らすだけだと意味なくね師匠??


ミーアさんの方を向いたら、笑顔で若い冒険者の対応をしていた。

タダひたすら笑顔のミーアさんにだんだん語尾が弱くなっていく若い冒険者。


《目して語らず笑顔で落とせ》その極意が其処にあった。


『くそっ、オレを誰だと思ってんだ!アーリーウッドの勇『『『『テメエ゛が元凶かゴラアァァッ!!』』』』』


ミーアさんに対して名乗りを上げた冒険者に、待合室にいた“ココ”の冒険者達が一斉に飛びかかった。


「っおぎゅ…」


あらぬ方向から、蹴飛ばされて飛んできた“らしき”椅子が直撃し、振り向く間もなくマイトが撃沈。


「…ウッソだぁ」


信じられない事態に“わたし”も目をかっぴろげてマイトを凝視した。


「…コレが普通なんだよ《ウォール》」


「乱闘は“マイトにとって鬼門”だからな」


いやいやいや、テーブルに頭突っ伏したマイトの頭の上で椅子がバランス取ってるんだけど!?


「…コレが普通なんだ」


「乱闘だからな…」


二人して遠い目してるけど、なんで椅子おろしてやらないの??



「…降ろしても次が来る」


「乱闘だからな…」


いや、《ウォール》とかって壁作る魔法使ったのに“次”があるわけ無いでしょう?


「何ばか言ってんだよ次なんかあるわけ無いだろ」


わたしが椅子をどけてやると二人から「あ~」とかよく聞き取れない呻きらしきものを呟いている。


その後の事なんだけど、《天井板が一枚だけ外れてきた》とだけ…。


原因は、雨漏りでしょうか?



―オレ悪くないよねっ!?


追記


アーリーウッドの勇…者の仲間の元仲間は、虎の威に狩られた。



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