6日
無人の二階を通り過ぎて一階に降りてくと、鎧を着込んだアランが大の字で寝ていた。
「サランおはよう」
「マイトおはよう」
マイトに挨拶しどうやらオレが寝ている間にちょっとした騒ぎがあったらしい。
で、アランはなぜか鎧を着込んで騒ぎの野次馬をしにいって、脱ぐのが面倒だからそのままでいるのだと。
鎧は着るのも脱ぐのも面倒なんだそうでアランはそのまま一階で横になったらしいが、アランは今日はその格好でずっといるつもりなんだろか。
見ていて暑苦しいし、存在自体は重苦しいよ?
出会った時はマトモな兄さん…とは言い難かったか。
あん時怒鳴り込んできた“熱”は一体何だったの?
なんだかゴロゴロしてる事多いし、くすぶってるどころか、ビッチャビッチャに水まかれた焚き火みたいなかんじしかしないんだど、アランはコレがデフォルトなのか?
「アラン、まだ傷が痛むようだったらポーションでも使うか?」
「…もらう」
ライズの言葉に、ギギギギと身を起こしたアランが言葉少なく答えた。
「外側は塞がってるけど、全治半年の大怪我だったんだから、しばらくの期間は幻痛が続くくらいなら安いもんだろ」
「いや、幻痛みはないんだ。精神的なストレスがかかっているらしく、何をするにもやる気が起きん」
親指程度の小瓶の中身を飲み干して鎧を脱ぎ始めたけど、ケガは完治したんじゃなかったの?
「効果も、気休めの栄養剤みたいなもんだ」
「“飲んだ”という行動が気を紛らわせてくれる時もあるんだよ」
アランの言葉を引き継ぎライズが説明してくれたんだけど、一般的なポーションでも栄誉補給と鎮痛剤のかわりになるんだって。
そんで、ライズのは手加減なしに苦い代わりに、効能は高いからちゃんと辛い場所に効くらしい。
―肩コリとか。
「あと、せ…お腹痛いでも効くからもしもの時は任せてよ」
せ?
せ…っちん?トイレとか腹下しね了解。
「…苦いな」
「そこはほら、長命草とか苦いの入れてるから仕方ないよ」
「まぁ、そうなんだが…あ!?」
「ぅを?!」
ライズと話していたアランが大声を上げて此方を仰視し始めた。
「…サランだ、サランなんだよな?」
「はいサランですがなにか??」
何故にかオレの両肩を掴んで名前を聞いてきたアラン。
いや、名前じゃなくて他のことを言いたいんだろうけど、力強いから肩掴むのやめて欲しい。
「そりゃサランだろうけど、いきなり肩を掴んだりするのはやめとけよ」
「ぐおぉっ!?」
話の途中でいきなり話を切り変えられたライズがアランの肩をつかんで揉み揉み。
↓→→強攻撃長押し
「おあ゛っ」
痛みに悶えてアランが床に崩れた。
「こんな風にされたら、アランも嫌だろ?」
「いや、お前ほど力は入れて無いことはわかるだろ」
なぜか諭すようにアランに話しかけるライズだが、さすがに今のはやり過ぎだと思う。
「いや暑苦しくはあったけど痛くされた訳じゃないんだから…で、アランはオレがどうしたんだ?」
「ああ、山の薬草に詳しいサランなら苦味を消す草も知ってて苦味のないポーションが飲めるかも知れない」
ああ、そうゆう話なんだ。
ゴーヤの苦味を消したいなら塩揉みして真水にさらしたりできるけど薬草でそれやると効果が無くなるだけだからやれないのはたしかだね。
でも、苦味けすのはないから無理だよ。
味でも足してみる?
( ̄人 ̄)