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夢幻郷  作者: 国士無双
2/3

~季節外れの冬編~ 中

 小一時間ほどして山に着いた。後ろを振り返ると、里は豆粒くらいの大きさだ。大分飛んだみたいだ。

それにしても化け猫か・・・私なんかが相手になるのだろうか。まあなんとかなるさ。何故なら---

 「主人公補正がついてるからな」

 しまった。声に出してしまった・・・。まあ、誰もいないし別にいいか。

 「そういう発言は控えてくれないかな」

 上から声が聞こえた。その声の主は例の化け猫だ。

 「すまんな。声に出して・・・それにしてもこんな早くに登場するなんて運がいいな」

 「私が登場したのは作者がグダつかずに物語を滞りなく進めるためにはこうしなくてはとおもっったからなんだよ」

 「お前も大概ひどいな」

 「とりあえず私は必ず負けるのだけれど、一応こんな台詞は言わなくてはダメだよな」

 化け猫はおもむろに深呼吸をした。

 「ここを通りたくば私に倒されてからにしなさい」

 「行くぜ」

 2人は戦った。---しかし魔那が箒で突っ込んだだけで化け猫がダウンしたので戦った時間はごくわずかだ。

 「勝負ありだな」

 「ちくしょう・・・」

 何か違和感を感じる。あっさり倒してしまっていいのだろうか・・・。そういえばあの人は奇妙な術を使うとか言ってないよな。もしかして---

 そのときだった。全身を鋭利な刃物で引っ掻かれたような感じがしたのは。

 「まんまとワナにかかったわね。それはダミー人形だよ」

 しまった。これが奴のつかう妖術か・・・。

 さっきは引っ掻かれた程度で済んだが、次はそうもいかないだろう・・・。逆転の手口はあるのだろうか。

 「そっちから来ないのなら私から行くわよ」

 またもや全身をズタズタに切り裂かれた。私は反撃をするが、化け猫の動きが素早くて捉えることができない。

 (まずいな。このままじゃジリ貧だ。しかし逆転の手口は見えた。成功するかどうかは別だが、博打だな)

 魔那はポケットの中の玉を取り出し、地面へ投げつけた。すると、モクモクと煙が出て視界が一気に悪くなった。--彼女が投げたのは煙玉だ。

 「後はこれで時間を稼ぐことができたらいいのですが」

といい、その場を離れた。

 「逃げようたってそうはいかにわよ」

 「逃げるんじゃない。準備をしているんだ」

 「へぇ、準備か。面白い。じゃあ受けて立とうじゃないの」

 「じゃあ少し時間をくれ」

 「わかったわ」

 運が良かった。もし相手がこの交渉を決裂させたら、こっちが負けてたのかもしれないな。しかしこれで私の勝ちだ。後は、本を読んで覚えた儀式どおりに行えば勝てる。

 魔那は小さい炎を周りに散らし、自身を炙るように火をつけ、聖句を唱えた。

 「爆ぜろ炎、翔けよ流星。我は炎を求めし者、それも広大で高威力のものを。我はこの炎で勝利を得る。天よ、我に勝利の炎を。」

 「メテオフレア!」

 高らかに叫び、私は右の掌を地面にあてた。

 すると、空から流星の如く炎の塊が現れた。

-------そうこれが例の儀式だ。

 私の魔法は基本は何でも出来るのだが、使用するためには儀式を通して体得する必要があるのだ。

 今の魔法、メテオフレアで例えると、この魔法の儀式は自身を火で炙り、聖句を唱え、右の掌を地面にあてると、身につけることができる。

 補足すると、一度身につけた魔法はいつでも使えます。

 「な、なんだ!?」

 「いけぇ!」

 炎の塊が地面へ落ちると同時に辺り一面炎で燃え上がっている。

 「しまった。これが狙いか。」

 そうだ。これが私の狙いだ。敵を捉えることができないのなら、周辺もろとも焼き払えばいいのだ。


 「しかしまあ、とっさにとはいえ力を出しすぎたか・・・。それは仕方ないか」

 (魔法は威力が命だし・・・。消火は今から降る雨に任せるか)

 彼女は燃えさかる炎を見て、そう呟いた。



 魔那は人里へ戻り、瓦版屋へ報告した。

 「おっ、ありがとよ。おかげで助かった」

 「いやいやそれほどでもないぜ」

 「謙遜すなって。しっかしまあ派手にやってくれたわね」

 「あれぐらいしないと懲りないと思ってな。---それよりも条件の情報は?」

 「ああ、いいだろう。あくまでも情報だからなそれだけは覚えとけよ」

 「で。肝心の内容は?」

 「犯人はあの世-つまり冥界の誰かがやったらしい」

 「ほう。それはなぜだ?」

 「被害者は皆口をそろえて『幽霊を見た』と言ってたからな」

 「なるほどな。わかった。今からそいつを倒しに行く」

 「本当か!?冥界は遥か上空にあるらしいから頼んだぞ」

 「わかった」

 私は首を縦に振り箒に乗って冥界に向かった。



 「失礼します」

 そう言うと同時に夢幻神社の襖が開いた。

 「勝手に入らないでよ」

 「失礼します。といったから問題ないはずよ」

 「まあいいわ、ところで何故あんたがここにいるの?」

 目の前に立っている人物は花宮 凛(はなみやりんという閻魔様だ。とはいってもこの閻魔様は特別だ。何故なら女の子だからだ。普通、閻魔様は男のイメージが強くて、女の子がなるのはまずあり得ない話だ。しかも見た目は幼い。凹凸の少ない体型だが足は細く、顔だちは大人びていて、簡素な服と黒い髪がそれを引き立てている。そんな人が何故こんなとこにいるんだ?

 「そう硬くならなくてもいいわ。ただ部下を探しているだけだから」

 「あー、あの死神ね」

 「渚のいた気配は感じるのだけど、肝心の姿が見えないわね」

 「あの死神ならさっき帰ったと思うわ。今頃職場に戻ってるんじゃないかしら。寄り道をしなければね」

 「ありがとう。それじゃあ失礼させてもらうわ」

 「はいはい。私はこれから昼寝をするから」

 「あっ、そういえば赤髪の魔法使いが冥界へ向かったらしいわ」

 そう言い残し、彼女は襖を閉めた。

 「・・・・・・・知らないわよ」

 私は押し入れから布団を出し床に敷いた。



 冥界へ向かって一時間程経って、

 「さすがに寒いな」

 辺りを見渡すとほとんどの山が下のほうに見える。高度は大体5000メートルといったところか・・・。

 「ん?あれ?」

 突如、周りの風景が変わった。

 「ここは・・・冥界か」

 目の前には石段が何段にも積まれていて、かろうじて一番上に見える。・・・どうやら屋敷があるみたいだ。

 「とりあえず。あの屋敷に行くか・・・」

 私は箒にまたがり上を目指した。



      「寂しそう」

 それが私、八代魔那が感じた薫の第一印象だ。

 私はたまたま神社を散歩して彼女に出会った。しかし私は初対面なのに悪口を言われた。

 「こんな場所で散歩だなんて、あんた相当の暇人ね」

 確かにそうだ。しかし私はムッとした。何故なら目の前に見える少女の方がお茶をすすって暇を持て余しているように見えたからだ。

 「その台詞そのまま返してやるぜ」

 「痛いとこ突いてくわね・・・」

 

 (思えばあのときからあいつは私に対して悪口言ってたよな・・・)

 あの頃私は次の日もその次の日も神社に行っては彼女と話していた。

 「あんた、最近この神社に来るけど何故なの?」

 「何故ってそりゃ・・・」

 「まさかあんた。理由もなしにきたの?だとしたらかなりの暇人ね」

 「私はお前と友達になりたいんだ」

 「はあ!?何言ってるの!?私は友達なんて要らないわ」

 「私は欲しいな」

 「嫌ったら嫌よ」

 「じゃあ決闘だ」

 「決闘?」

 「ああそうだ」

 「わかったわ。もしその決闘に私が勝ったら友達になるのはあきらめなさい。もしあなたが勝ったら友達になってあげるわ」

 「今から一時間後に開始する。場所はここ、夢幻神社だ。勝利条件は相手を気絶させるか降参させたら勝ちだ」

 「わかったわ」

 私と彼女はお互い背を向け開始時間まで各々時間を潰した。


-一時間後-

 「覚悟しろよ」

 「はいはい」

 「もうすぐ時間だな。3・・・2・・・1・・・始め!」

 私は開始と同時に後ろに飛んで魔法を唱えた。

 「フレアミサイル!」

 呪文を唱えると炎のロケットが薫の方へと飛んでいった。

 「ちっ」

 彼女は舌打ちすると同時に弾を右へ左へかろやかな体さばきで避けた。

 「まだまだぁ。フレアミサイル改!」

 「改?」

 「ああそうさ。次は簡単にはいかないぜ」

 「ほう?」

 薫はさきほどと同じように避けた。-だが避けきれない。彼女は被弾した。魔那は予め弾が相手を追尾するよう細工したのだ。

 「ちっ」

 彼女に焦りがみえた。

 「仕方がない。二重結界!」

 彼女を中心に立方体の結界が現れた。弾幕はその結界に弾かれてしまった。

 「空転!」

 次の瞬間、薫は姿を消した。

 (どこへ行ったんだ・・・?)

 「・・・っ!」

 薫は後ろに回り込んで、奇襲してきた。私はなんとか箒で受け流すことができた。だが、薫の攻撃はやまず、追撃を許してしまった。

 「これでどうだ!速来玉!」

 彼女の手から赤と白の2色で出来た大きな玉が現れた。それを彼女は私に投げてきた。

 「ぐっ・・・」

 とても速い。それだけじゃない球自体かなり重い。私は血を吐いてしまった。

 「まだまだ行くわよ。覚悟なさい!千本桜!」

 そういうと同時に私の周りに無数の弾が現れた。

 「まずいな。避けるスペースが無いな・・・」

 「さあ、どうする」

 「なら消すまでだ!ロイヤルフレア!」

 そう唱えると炎の塊が私を中心にあらゆる方向に飛んでいって弾を相殺した。

 「甘いわね」

 え?と首を傾げる前にわかった。まだ弾は残っていたことを・・・。

 「何故・・・だ?」

 その弾は魔那に向かって飛んでいき命中した。

 「簡単よ。弾の後ろにちょうどあんたの死角になるよう配置しただけ」

 「くそう・・・」

 意識が朦朧とする中、私は最後の魔法を唱えた。

 「私の最終奥義だ。行くぞ!メテオスパーク!」

 魔那の掌に光が収束し、充填されていく。

 「じゃあ私も奥義で迎え撃つわ」

 薫はそういいながら、お札を前に突き出し詠唱した。

 「万物を破りし、聖なる光よ。今我の矛になりたまえ!夢幻白離!」

 唱えた瞬間、薫の周りに八つの巨大な光の塊が現れた。

 「お?すごそうな技だな」

 ちょうど魔那の方も充填が完了したようだ。

 「行くわよ?」

 「いいぜ」

 「「いけぇ!」」

 魔那からは巨大なレーザーが、薫からは八つの光が、ぶつかり火花を散らし、互角の勝負をしている。・・・ように見えたが、すぐ変化した。魔那のレーザーが少しずつ薫に近づいてきた。

 (もっと威力あげようかしら・・・いや、よそう・・・)

 「・・・空転」

 彼女は魔那の後ろに移動して、かかと落としを当てた。

 「しまっ・・・た」

 魔那は地面へ落ちた。

 (やっぱ強いな・・・)




 パチクリ、と魔那は目を覚ました。

 (生きてる・・・)

 しかしまだ体の節々が痛い。

 「うーん・・・」

 「あら、起きたみたいね。まだ動いたらダメよ」

 「ああ・・・それにしても強いな。負けちまったぜ」

 私は仰向けになって寝ころんだ。

 「何笑ってんの?」

 どうやら私は無意識に笑ってたようだ。しかし当然かもしれない。なぜなら----

 「私たちは友達だからな」

 「はあ?何言ってるの?」

 「これだけ戦ったら後はもう友達になるしか道は残ってないんだよ」

 「納得いかないわ。私はあんたの事が嫌い、それだけよ」

 「本当にそう思っているのか?」

 「本当よ」

 「いいや、違うね。嫌いな人間相手に派手に戦い、そして私を神社の中まで運ぶわけがない」

 「あれは仕方なかったからよ」

 「じゃあ何故、戦いの途中で手を抜いた?」

 「・・・」

 「特に最後だ。何故、お前はかかと落としで終わらせたんだ?夢幻白離の威力を上げたらいいはなしじゃないのか?」

 「・・・」

 「それをしないということは思い当たる節があったんだろう・・・それがこれだ」

 「・・・」

 「いい加減自分を認めたらどうだ?」

 「・・・」

 思う。

 私はこれまで友達と呼べる人はいなかった。いや必要なかった。それに私と友達になる人すらいなかった。しかし目の前に友達になろうとする人がいるじゃないか。それにわざわざこんなことしなくても対処できる方法はあったはずだ。じゃあ何故それをしなかったか。

 答えにはもう気づいてたんだ。

 「あんた」

 「どうした?」

 急に言われたからなのか目が丸くなっている。

 「あんたと会ってから、私は考えていた。あんたという存在をどのように捉え、扱うべきか」 

 「うん」

 「今、結論がでたよ。私とあんたはかけがえのない存在であり影響しあう仲だという結論がね」

 「そうだよな。なんだかんだで最後にはこうして友達に----」

 「どうしてなんだ!?ったくこれじゃあ八方塞がりじゃないか」

 「人の話は最後まで聞きなさい」

 「どういうことだ?」

 「私に友達なんていらない。誰かと代えが効くような人なんていらない。私が求めているものは」

 薫は少し顔を赤らめ、続ける。

 「何があっても関係の壊れない親友よ」

 「親友・・・?」

 「ええ、そうよ。私は親友が欲しいわ。あんた---いや、魔那がその親友になってくれたら嬉しいわ」

 「ほんとか?」

 「私はウソはつかないわ」

 「やったぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~!!!」



 (あのときはとても苦労がしたぜ。なんせ激しく戦って満身創痍だったからな。しかし得るものは得たし、今となっては良い思い出だ。本当に懐かしい)

 数回深呼吸した。

 これから先はもっとハードになことが待っているだろう。私はそんな壁にぶつかってもあきらめないつもりだ。



 しばらくして頂上が見えてきた。そこは---

 「きれいだな・・・」

 今までのただ暗く、階段しかない景色が一変して、真ん中の一本道以外桜で埋め尽くされていた。真ん中の道もシンプルに石と玉砂利で作られていて、和を感じさせる作りだ。

 そこを真っ直ぐ進んでいくと奥に屋敷が見える。多分そこに主はいるのだろう。私は桜の見物をしてると、ふと少女を見かけた。

 その少女は桃色の髪を持ち、えんじ色のスカート(?)を履いている。少女はこちらの気配に気付いたのか、こっちを向いて、質問してきた。

 「どなたですか?」

 「八代魔那、魔法使いだ」

 「私は魂魄 焔こぱくほむらと申します。八代魔那様ですか。こちらへは何の用ですか?」

 「ここの主はお前か?」

 「いいえ、違います。ここの主は蝶野 幽里(ちょうのゆり様です。今は奥の屋敷にいられますので、要件を伝えましょうか?」

 「いいや、私はそいつを倒しに来たのだからな」

 「どうしてですか?」

 「今、地上に異変が起きていて、その元凶がここの主だという情報があるんだ。だから倒す」

 「幽里様が異変を・・・まさか・・・」

 焔はぶつぶつ呟いていたが私には聞き取れなかった。

 「いずれにしても私はあなたを切り伏せなければなりませんね」

 「何故だ?」

 「私は常に幽里様の味方だからです」

 「ちっ、まあいいや。じゃあまずおまえを倒すぜ」

 焔は所持していた刀を構えた。

遅れてすみませんでした(´・ω・`)ズブの素人なので許してください。アドバイスもいただければ幸いです

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