エピローグ「白の天使・暁の翼」・2
そして…………
結局のところ、魔魂というものがどんなものだったのか。契約というものがなんなのか。それらのはっきりとした理由はわからなかった。
どこか不完全燃焼的なものを感じながらも、翼はいずれわかるだろうと考えている。
それと、真咲が追われていた件だが、白河の上司が爆死するという事件があり、指示がなくなったと新明が言っていた。
つまり晴れて真咲は『学生』として生活できるということだ。
RRRRRRR――――
「ちっ」
激しく鳴り響く目覚まし時計を叩いて止め、重い瞼をゆっくりと開けた。
ミシェルと真咲が戦ってからすでに一週間が過ぎていた。
真咲も学校に慣れたようで、最近は梓や他の女友達と登校しているようだった。その様子は彼女が堕天使であることを、自分からすら忘れさせるほど。
「ねむ……」
大きく欠伸を一つし、起き上がる。
真咲が来る前と何ら変わることのない生活。完全な日常。
怠惰で、どこか惰性で進んでいるかのような日常だが、真咲に巻き込まれてから日常でないことが起き過ぎるというのもよくないと思った。何せ、あれから三日間は体の節々が痛かったし、まだたまに腰が痛む。
そうそう、それと梓の家だが、もう修理が終わったらしい。梓の父親も傷が癒えたらしく、今度見舞いがてら遊びに行こうと計画していたりする。
結局、変わったものなど真咲が転校生として同じクラスにいるだけで、何も変わっていないのかも知れない。
いや、それほど急激に変わっていないだけなのかも知れない。自分では気づかないほど小さな、本当に小さな変化はあったのだろう。
その証拠に……
「翼〜? 準備できた〜?」
ドアの外から真咲の声がした。これが唯一の変化だろうか?
WILD CAT (了)
約半年にわたって連載した「WILDCAT」もついに終幕です。………まぁ、第二弾や短編の構想もありますが(ぼそ)それでは、また次の作品でお会いしましょう、最後までおつきあいありがとうございましたm(_ _)m