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第四章「紅の堕天使・紫暗の悪魔」・8

 協力?

 梓は眉にしわを寄せる。

「何ですか……協力って」

 ミシェルは大袈裟に肩をすくめてみせた。

「簡単なことですよ。倉本梓……あなたと盟約を結びたい」

 ぎらり、と血の色をした目が光ったように見えた。

「盟約?」

「……真咲と折笠翼の関係はご存知でしょう? あれと似たようなものですよ。あなたの中に秘められている魔力を少し貰おうというだけです。あなた自身に不利益なことはないでしょう」

「待ってください。それで、何をするつもりなんですか?」

 その言葉を待っていたかのようにミシェルは梓の瞳をまっすぐに見詰めた。

「天城真咲を殺します」

 十分に間を置き吐き出された言葉は、心のどこかで予想していたものだったが、梓は驚きを隠せなかった。

「あなたも……復讐するんですか……?」

「そう言ってしまえば簡単でしょうけどね……生憎、『復讐』という言葉一つで済まされるほど、私と真咲の関係は単純なものではないのですよ」

 ミシェルは過去を思い起こすかのように、視線を遠くへ向けた。哀愁すらも漂いそうなものだが、瞳の奥に秘められた憎悪のようなものを梓は見落とさない。

「確かに……簡単なものではないわね」

 梓の視線の先――ミシェルの背後――からそんな言葉が飛ばされる。

 普段、梓がよく見慣れた制服に身を包み、それでいて人間とは違った空気を発する者がそこにはいた。ミシェルと同じ赤い瞳がいつもにも増して鋭く、相手を射るようだ。

「ようやく来たか、真咲。お前にしてはやけに時間がかかったのではないか?」

 ミシェルが梓に向けていたものよりも楽しげな、それでいて深い憎しみの込められた微笑を浮かべた。普通の人間ならば背筋が凍りそうなその笑みにも、真咲は微動だにしない。むしろ彼女も笑っていた。


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