第四章「紅の堕天使・紫暗の悪魔」・3
どこかで聞いた名前……
「……同僚?」
左の白河、右の新明を交互に指差す。
「そゆこと。俺は、倉本梓を護衛するためにいる存在ってわけだ。ま、実際この仕事を始めたのは、そんな昔でもないけどな」
「お前も、知ってたってことか? 魔魂とか、そういうことを」
新明は無言で頷いた。
「俺のことも、真咲のことも?」
再び首肯する。
「じゃぁ……梓と一緒にいたのも、護衛しやすかったからなのか?」
「半分はな」
あっさりとした物言いに翼はなぜか腹が立った。普段の新明とは明らかに違った雰囲気と行動をしている気がする。そんな思いを止めさせたのは白河だった。
「新明君はね、君たちを守るために我々と行動をともにしてくれたんですよ。まぁ、黒幕はわかりましたし、ここから先は我々に任せてもらいましょう。倉本さんの捜索も、天城真咲の逮捕も我々の管轄ですからね」
任せて?
白河の言葉に翼の眉がぴくりと動いた。
「……させねぇよ、そればっかはな」
「何?」
「あいつは……いや、あいつらは……俺が連れ戻す」
翼ははっきりと言い放った。白河は驚いたような顔をし、隣の新明はやれやれと呆れたように首を振っていた。
「これから先は一般人が入れるような問題ではないんですよ?」
「俺だって一般人ってわけじゃないんだろう?」
確かに、翼自身悪魔に魂を狙われるような人間で、一般人の部類に入るかと言われれば微妙なところだろう。
「それに、関わっちまったもんには最後までつき合わないと気がすまないんだよ」
「はぁ……」
「白河隊長、こいつこうなると言っても聞きませんよ? 昔っからこういうヤツでしたからね」
苦笑しながら、新明が白河の肩を叩いた。