第三章「独りの騎士・孤独の姫」・18
「へぇ……そんなこと言っちゃっていいわけ?」
シェイドは薄笑いを浮かべながら、鎌を顕現させた。家の中で振り回すには、その大きさはいささか不便にも思える。
「……守らなければならないのよ。彼女はね」
例え相手の方が強かったとしても。絶対に退くわけにはいかない。勝ち目がなかったとしても、それは変わらない。そもそも勝ち目など……
「…………君にしては珍しいんじゃないの? そんなに人間に思い入れするなんてさ。前はただの契約対象であり、邪魔になれば魔力だけ貰って切り捨てるかのような存在じゃなかったの?」
「ええ。確かに、そういう時期もあったわ。でもね、違うのよ。それは間違った考え方。変えなければいけない考え……」
真咲の言葉にシェイドは黙ったままだ。彼女の言葉には断固たる意志があった。
そして、ついにしびれを切らした部下の一人が真咲に飛びかかった。
ガゥン……
無造作に銃口を向けると引き鉄を引く。超音速で射出された弾丸は影の頭の中心に突き刺さった。
〈グ、ぐるェェェッ!〉
奇声を発して飛びかかる影たちを真咲はいとも簡単に屠る。呼吸をするかのように簡単に、スムーズに。当たり前に。
右から飛びかかってくるようならば、半身でかわし、着地した瞬間に頭部を後ろから打ち抜く。数にものを言わせた突撃も、無尽蔵に吐き出される弾丸の前には無力。
両手に収まった銃の弾を撃ち終えるころには、真咲とシェイド以外この部屋で動くものはいなくなった。