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第三章「独りの騎士・孤独の姫」・16

「おぉ、怖い怖い。そんな目で見ないでよ。何、怒ってるのさ?」

 りりーん……

 ふざけるように首を傾げるとイヤリングになっている鈴が鳴った。どこか愛らしい姿かもしれないが、翼にはそうは見えない。

「ここに何をしに来やがった!」

 怒気を込めた叫び。前回、シェイドに感じた恐怖が嘘のようだった。怖くない。なぜだかはわからないが。

「君を捕らえに」

「な……」

 バカな……期限は明日まで、と続けようと動いた口は、次にシェイドの発した言葉によって制された。

「――って言うかと思った?」

 悪戯っ子のような笑いを浮かべたシェイド。あまりにも無邪気そうに笑う。それが翼にとってはむかつく以外の何にもならない。

「じゃぁ、何なんだよ。まだ期限前だろう」

「そうトゲトゲしない。ちょっと手違いが起きてしまってね……本来ならあと一日あるわけだけど……急がなきゃいけないんだよ」

 す、と音もなくシェイドは翼に近付く。身長は翼よりも小さいにもかかわらず、見上げる視線は威圧的で上から見ているようだ。

「だからさ……退いて」

「何をするのか言ってもらわねぇとな。俺以外に目的があんのかよ」

「ある」

 自分以外……この家で彼に関係しているのは、翼と真咲だけのはずだ。真咲を捕えるということはない。そして俺でもない……となると。

「……まさか」

「わかった? そう、僕たちが捕まえに来たのは――」

 僕たち?

 シェイドの背後に黒い影のような人の形をしたものがどこからともなく現れる。

「――倉本梓。彼女さ」


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