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第三章「独りの騎士・孤独の姫」・6

「何をなさるおつもりですか? 課長?」

「ふん……この程度の書類がここにあってはいけないのか?」

 まるで開き直ったかのような口調。

 確かに『魔』に関する書類は、この聖警察本部にはいくらでもある。それは表向きにしていいものも、裏で隠しておかなければならないものも含めてだ。

「いえ、そのようには言っていませんよ。ただこれを持っていた人間によります」

 白河は上着の胸ポケットから写真を取り出した。

「この方、ご存知ですね?」

「…………」

 写真には頭の禿げた鼻眼鏡の男が写っていた。明かに医者や研究員が着ているとわかる白い白衣も写っていた。隠し撮りをしたらしく、彼の視線はカメラとは別の方向を向いている。

 白河の言葉に対し、陣内は黙り続けた。

「知らないとは言わせませんよ。彼は『魔術複製及び複体化』の権威だそうじゃないですか。まあ、私も知りませんでしたけどね。そんな論理が存在したことを。ちょっと問い詰めたら、小鳥みたいに鳴きだしましたよ。所詮、その程度の男に任せたのがあなたの運のつきってやつですね」

 小さく肩をすくめてみせる。

「彼も今日ここに来る予定だったのですが、迎えに行った部下の報告によると、何者かに殺害されていたようです。それも人間以外の何かに。もう一度訊きます。この理論で何をなさるおつもりですか?」

 白河は半眼で陣内を見る。

 部屋は、窓にブラインドがかかっているため薄暗く、彼の表情もどこか脅迫じみたものに見えた。ただ、陣内は口を開く様子すらない。

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