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第三章「独りの騎士・孤独の姫」・5

 室内には接客用のソファ、机、それにいくつも分厚い本が収まった本棚、それと部屋の主が座る机。

 その机には、一人の男がいた。厳格さを漂わせる口髭とその眼光。幾重にも刻まれた皺。ダークグレーの頭髪。歳は若く見積もって五十代だろうか。

 陣内秋義じんない・あきよし。白河たち聖警察の直接的な上官で、対魔作戦執行課のトップである。

「どうした? 白河。またあの悪魔の報告か?」

「いえ、今回は別件です」

 ぴくり、と陣内の眉間に皺が寄った。

「ほう……それはどんな?」

 わざと挑発するような視線で、白河を睨み見る。

 何かわかっていたとしても、自分が直接的に言うまでは惚けるつもりだろう。そういう男なのだ、彼は。

 白河は上官の視線に臆することなく言い放った。

「こちらの書類に見覚えは?」

「なるほど……では、こちらは?」

「……これは……お前、これをどこから?」

 ニヤリと白河が不敵な笑みを浮かべる。

「さて、どこからでしょうね? まだありますよ、これ……そうそう、こちらもですね。さらに……これは決定的でしょう」

 次々に机の上に散乱する書類。

 それはどれもこれもグラフが書かれていたり、文字の羅列がやたら多かったりと統一感のないものばかりだったが、すべて表題は一致していた。

『魔的複製体についての理論』


 シルフィードから渡された書類を、陣内の座る机に置く。置く、と言うよりかはばら撒くと言った方が正しいかもしれない。

「……いや、ないが?」

 ぱらぱらと紙片をめくり、内容はおそらくそれほど見ていないであろうが、陣内は答えた。


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