第二章「黄金の鈴・漆黒の鎌」・18
「なっ……!」
「甘い――」
シェイドが鎌を一閃する。白刃がきらめいた。
「シッ……っ」
真咲は回避したように見えたが、制服の腹のあたりが切れていた。隙間から白い肌が見える。
「へぇ……」
それにただただ感嘆したような声を漏らすシェイド。その表情には余裕すら垣間見える。微かに浮かぶ笑み。
「どうしたの? それで終わり?」
真咲のさらに挑発するような発言。今は自分よりも頭一つ高い位置にある相手に上目遣いの視線を向ける。鋭い一瞥を。
「いやいや……まだまだだよ?…………はぁ!」
フォ――――――ン…………
それは――大鎌は、シェイドに投げられた。大きく回転し、真咲に迫る。遠心力で加速した刃は空を切り裂く。
「そんな大振りな攻撃ッ!」
真咲はCG映画よろしく上体を反らし、避ける。
――が。
「う――――ぉぉぉぉぉぉぉぉぉお?」
避けられた鎌は隠れていた翼の頭ぎりぎりを通りすぎた。風圧で髪がばらばらと揺れる。
「あ」
「『あ』、じゃねぇ!」
アホ毛を五、六本ばっさりと切られた翼は涙目で怒鳴る。怒鳴るぐらいで済むようなことではないのだが。
驚いた拍子に腰を抜かしていたことに気づいた翼は立ち上がろうと手をついた。
――ぬちゃ……
「え?」
手を見る。
黒いものがべったりとついていた。
「ンだ、これ?」
鼻を寄せて、
「――――これって」
前にも、しかもつい先ほど嗅いだ匂い。生暖かく生臭い、それでいて無機物の鉄が含まれたかのような……
それは……
血だった。