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プロローグ「黒い空・白い月」・2


 魔術。それは人間が古代から使う儀式などを指す。

 魔と人間との関わりは、犬と人間との関係ほど昔から続いているとも言える。

 ある地域に伝えられている昔話を少ししたいと思う。


 いつの時代か、悪魔と呼ばれるものが天界から地上に追い出されました。もともとは天使だったらしく背中には翼が生えていました。その翼も地上に堕ちたせいで真っ黒に染まってしまいました。

 それは、始めは一つでしたが、地上で徐々に仲間を増やしていきました。仲間といっても生き物ではありません。森の精霊や海の化身など、多くを仲間にしました。

 そして、最初に天界から追放された天使をルシファーと呼ぶようになりました。

 ルシファーは地上で増やした精霊の仲間とともに生き物を仲間にし、世界を手に入れようと考え始めました。

 数年後、最もつけいりやすい人間にルシファーは近づきました。案の定、人間は簡単にルシファーたちに操られてしまいました。

 ルシファーが地上に追放されてから百年ほどたったころ。ルシファーは人間界を支配するほどの力を持っていました。そんなルシファーに、ついに天界からルシファーを滅するための部隊が派遣されました。

 隊長はシルフィードと呼ばれる風を操る精霊でした。

 ルシファーもそれに負けじと精霊の仲間で編隊した部隊をぶつけました。

 まさしく魔力のぶつかり合い。世界はこの戦いをただ見守るしかありませんでした。

 戦いは長引き、三年の月日が流れました。

 両部隊とも消耗する一方で、量に勝る天界側の部隊が徐々に、徐々にルシファーを追い詰めていきました。

 そして状況はルシファーにとって最悪な方向に向かってしまうのです。

 精霊たちの裏切りです。圧倒的に不利だと悟った精霊たちは一斉にルシファーを襲撃したのです。予想外の出来事にルシファーは何もすることができずに捕まってしまったのです。

 ルシファーは翌日、処刑をされました。

 それ以来人間は悪魔を恐れ、関わらないようにしました。いえ、正しくはシルフィードたちにそうさせられたのです。今回の事件をきっかけに天界がこのようなことが二度と起きないようにさせるためです。

 世界には平穏な世の中が戻ってきたのです。


 話はここでめでたしめでたし、ではない。

 処刑が行われたとされる年から数百年が過ぎ、悪魔という言葉ですら忘れられていたころ……。

 地上は革命が次々と起こり、国家間での争いが激化しつつあった。

 何人もの権力者は力を競い合い、より上を目指した。権力者の傍らには必ず魔術を使う者がいた。魔術者であるが、魔術自体を教えたのはたった一人の悪魔である。

 その悪魔は自らをルシファーの末裔だと名乗った。

 しかし、人々の多くはルシファーの伝承を知らず、その悪魔を悪魔と認識をしてすらいなかった。

 結果として悪魔は再び反映を見せる。

 だが、悪魔とて永遠に生きられるわけではない。人間の十倍以上とはいえ寿命はある。

 その寿命を延ばすことができる人間を、人間の魂を魔魂と呼んだ。

 悪魔は人間と契約をし、その魂を糧として魔力を使う場合が多い。また、その魂を吸い取ることによって寿命を延ばすのだが、普通の魂では延ばせても二、三年がいいところなのである。

 つまり、魔魂というのは文字通り魔力で形成された魂なのだ。これは人間としては例外的でそう簡単に持っているものではない。

 より長く、より多く生きて富と名声を浴びたいものは悪魔と契約をし、その悪魔も魂を吸い生き長らえる。そういうサイクルが続いた。

 いつしかルシファーの末裔だと名乗っていた者が消え、世界から悪魔を表立って名乗る者は消えた。

 そして平穏が訪れる。

 これはあくまで人間からの見方であり、本当に平穏かどうかはわからない。

 現代になり、魔力というものは表の世界には現われなくなったが、裏では確実に力を増していた。


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