第二章「黄金の鈴・漆黒の鎌」・10
「新明君は大丈夫なの?」
「ああ、あいつはそういうところタフだからな」
翼と真咲、梓は並んで歩いていた。ベランダに脱出後は他クラスから下足ロッカーへゴーだった。
「ごめん。あたしのせいで……」
梓は二人から三歩ほど後ろをついて来ていた。うつむき加減に歩いていて少し危なっかしい。
「別にかまわないが、何ではっきりと言っておかなかったんだ?」
立ち止まり振り返る。梓もあわてて歩を止めた。
「前から頼んでたんだけど、了承してもらえなくてね。それで無理矢理」
翼は大きく一つため息をすると梓の額を指で小突いた。
「そういうことなら俺たちに言ってからにしろ。梓は前々から全部一人で溜め込むようなことをすっからな。たまには人も使え」
「そんな……」
どこか悲しそうな表情をする梓。
「い・い・か・ら。そうしとけ」
そう言うと再び歩き出す。今度は翼が少し前を歩いている。
「梓、気にしなくてもいいよ。私たちあれはあれでおもしろかったし」
真咲が声をかけても梓はうつむいたままだ。
「……今日、私の部屋で夕飯食べない?」
「え?」
「ヒマだったらでいいけど。歓迎会もあんなになっちゃったし、ね、いいでしょ? 料理は私が作るから? 翼もどう? 二次会ってことで」
翼はどっちでもいいと言うように手を挙げた。
最終的に真咲は寮ではなく、マンションを借りることにしたらしい。『借りた』かどうかはあやしいが。