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教習恋愛~車内関係者以外立ち入り禁止~

作者:


ねえ、パパさん?

私ちゃんと前を向いて歩けてる?

パパさんはちゃんと私を見送っててくれてる?

ねえ、パパさん。

私パパさんのこと愛してたよ。

パパさんも私のこと愛してくれてたよね?


教習所で出会った素敵な教官はパパさんでした。

結婚5年、子供一人。

奥さんとはほとんどすれ違いの生活。

教習所最後の日にパパさんにダメもとで

好きなんですと伝えると、

パパさんからOKをもらえた。

その日誰もいない路上に駐車して

車内で初めてキスをした。

パパさんのキスはコーヒーとたばこの味。

ほろ苦くて大人の味だった。


ある日内緒でパパさんと会ってデートをした。

パパさんが運転してくれて県外の海にいった。

私が運転すると言ったら

まだ死にたくないといわれた。

ものすごく失礼なのに笑ってしまった。

幸せだった。

誰も私たちのことを知らないから

堂々と手をつないでキスをした。


家に帰ってしばらくすると

パパさんから電話がかかってきた。


女の人の声。

「明日主人のことについて話しましょう。来てくれるわよね?」


次の日指定された場所に行くと、

パパさんの奥さんがいた。


「あなたと主人の関係は知ってる。

まったくこんな若い子に手を出すなんて。

あなたもどうかしてるわね。ファザコンなの?

まあいい。別れてもらうわ。主人は私を捨てられないの。

なんでって私妊娠したから。二人目よ。

分かるでしょう?あなたはもう用済みなの。」


なんの反論もできずに帰宅すると

パパさんからの電話。


「ごめん。別れてくれ。妻が妊娠したんだ。

俺は妻も子供も捨てられない。」


だから最後に一つだけわがままを言った。


「最後にするから明日会って。」



コーヒーを飲みながら別れ話をして

店を出てしばらく歩いた。

私は立ち止まった。


「ここからは一人で行く。さよなら。愛してた。」


私は歩きだした。しばらくすると、


「待ってくれ!」


パパさんが走ってきて抱きしめられた。

「愛してた。愛してた。ごめん。」

泣きながら言うパパさん。


そして本当に最後のキスをした。

最後のキスはさっき飲んだばかりのコーヒーの味だった。


やっぱりパパさんはコーヒー味だ。

ぶれないねなんていったりして、幸せだった。

そして今度こそ私は立ち止らずに歩き出した。

パパさんの泣いてる姿が見えるようだった。


一人で電車にのっていつかパパさんと行った海へと向かった。

海もぶれることなくあの日のように綺麗だった。

自動販売機でコーヒーを買って、

パパさんを思い出しながら静かに泣いた。

そしてゆっくり海に入っていった。


それから彼女を見かけた人は誰もいない。


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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは。 読みました。素敵すぎました。 今までの小説で一番心にグサッときましたね。 言葉は綺麗ですし、ストーリーも共感できます。 私も、あの人と終わるならこの小説のように、終わりたいと思…
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