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大きな栗と
ある秋の日の午後、丘の上に立つ大きな栗と柿の木の下で、一匹のハムスターが忙しく働いていました。
彼の名は「まる」。
まるにとって、この二本の木が並ぶ場所は、一年に一度の特別なバイキング会場です。
頭上からはツヤツヤの栗がイガを弾けさせて顔を出し、隣では夕日のような色の柿が重たげに枝を揺らしています。
「どっちから運ぼうかな」
まるは贅沢な悩みに鼻をひくつかせました。
まずは、地面に落ちた大きな栗を一つ。
トゲに気をつけながら、自慢の頬袋にぎゅぎュっと詰め込みます。
続いて、熟して落ちた柿の甘い実をひと口。口いっぱいに広がる秋の味に、まるの目はうっとりと細まりました。
木陰を吹き抜ける風は少し冷たいけれど、頬袋はもうパンパンです。
欲張りすぎて顔が真ん丸になった彼は、冬の足音を感じながら、温かな巣穴へとトコトコと帰っていきました。




