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漆黒の闇から  作者: 一宮 沙耶


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5話 骨折

澪に霊を払ってもらった私は、すがすがしい気持ちで外苑前の銀杏並木を歩いている。

彼氏の結翔と一緒に。これで結翔に後ろめたいことは何もない。

背が高い結翔を笑顔で見上げ、腕を組んで一緒に歩く。


結翔は私のことを本当に大事にしてくれて、愛してくれていると実感ができる。

結翔と出会ってから、不安になったことも、寂しいと思ったことも、一度もない。

何かあっても、結翔に連絡すると、すぐに話しを聞いてくれる。


私は、結翔と出会えたことに神様に感謝している。

絶対に、私たちは結婚をして、幸せな人生を過ごす。

一面が黄色い世界の中で、私は、笑顔いっぱいの結翔を見上げていた。


この銀杏並木は大好き。見渡す限り、黄色で覆われ、圧倒される。

周りを見ると、恋人たちが大勢、黄色い銀杏の葉を見ている。

でも、なぜか、ここには、結翔と私の2人しかいないと感じられる不思議さがあった。


寒い風が吹く中、温まろうと結翔に寄り添うなんてことも自然にできる。

この季節は好き。結翔と手を握り、彼のポケットに手をいれるなんてこともできる。


そんなことをしてると、結翔の優しさを感じられる。

私を包みこんでくれる結翔と一緒の時間を過ごす時は、安心感を感じられる。


私は、昔の自分よりも、今の自分が好き。

私は、ストレートに自分の考えを言うせいか、人と対立することが多い。

どうして、私を理解してくれないのかと悩んだこともある。


でも、結翔にありのままの自分を表現できるようになってから、私は少し変わった。

昔は、人と仲良くできない自分のことを否定ばかりしていた。自分はだめな人間なんだと。

相手にも相手の理屈があること、まずは相手のことを聞くことを結翔から学んだ。


結翔と付き合ってから、毎日、明るい朝を迎えている。

昔は、何でもストレートに意見を言う私のことを嫌いな人は大勢いた。

でも、全ての人に愛されるのは無理だと割り切っていた。

私のことを認めてくれて、大切にしてくれる人がわずかでもいれば私は幸せだと。


でも、最近は、私のことを理解してくれる人達も増えてきた。

私を認めてくれる人を増やすためには、自分が変わらなければならないことも学んだ。

そして、親友と言える芽衣、柚月、朱音とも出会えた。


そんな中で、澪が自殺未遂を起こしたと聞く。澪の気持ちはよく分かった。

考えは真逆だけど、人と仲良くできない苦しさは私もずっと経験し、苦しんできた。

だから、澪を一目見て、助けたいと思った。そして、澪を親友の仲間にすることができる。


今は、多くの人と仲良くできていて平穏な日々を過ごす。今の自分が好き。

そして、大好きな結翔もいる。結翔から愛されているという安心感に包まれる毎日。

毎朝、清々しい気持ちで目覚めることができている。


ところで、結翔とは職場恋愛だった。

柚月から紹介された出会い系サイトはもうこりごり。私は、結婚は、恋愛した後にしたい。

そんなときに、同じ職場の同期で気が合ったのが結翔。


同期で集まった時に、結翔のマッチョな体に私が一目惚れをしてしまった。

そして、偶然同じ職場になったときには心が踊った。

結翔は、話題がとても豊富で、昔のアメフト部時代の話しとかも面白い。


そして、結翔は日本有数の大金持ちの御曹司だということも知る。

結翔より、私の方が結翔に夢中だったんだと思う。

それから、よく一緒に出かけるようになる。


職場恋愛は、職場の人達に気づかれないようにするというハラハラ感も楽しい。

チャットで、あの人、ひどい口調で部下を怒っていてパワハラだよねとか。

リアルで会話できて、ずっと一緒にいる気持ちになれるのもいい。


今日はステキな銀杏の紅葉を見に行こうと一緒に歩いている。

私は、結翔と一緒ならどこでもいいけど、この風景は私たちを祝福してくれている。


「ねえ、結翔、一面、黄色になったこの道、大好き。今日は、夕日も綺麗で、なんか感動的よね。」

「綺麗だね。」

「結翔と一緒だから、一人の時よりももっと綺麗に見えるんだよ。分かっている?」

「嬉しいな。僕一人じゃ、こういう所には来ないから、琴葉と一緒にいろいろな所に行けて楽しいよ。」

「これから、一緒にいろいろな所に行こうよ。ちょっと足伸ばして、箱根の紅葉とか、札幌の雪まつりとかさ、結翔と一緒に行きたい所がいっぱいある。楽しみ。」


そう言って、私は、結翔の腕に頬を寄せた。


「今日は、赤坂のイタリアンを予約しといたよ。そこって、雰囲気もいいし、ワインの種類もたくさんあるんだよ。楽しみ。」

「いつも、ありがとう。琴葉の選ぶお店はいつも間違いがない。」

「任せておいて。でも、結翔はいかにもアメフトやっているという体型だよね。筋肉とかすごいし。かっこいい。」

「学生の時は、そればっかりやっていたからね。脳みそも筋肉とか馬鹿にされていたけど。」

「そんなことないよ。日本トップのIT会社に入れたじゃない。結翔は、いっぱい素敵なところがあって、大好き。」


私は、大勢の人が歩く銀杏並木の真ん中で、結翔の唇に自分の唇を重ねた。

結翔も私を抱きしめ、周りからは、2人だけしか見えないバカップルだと思われていそう。

でも、それでいい。私は、結翔に夢中だった。


レストランに着き、結翔とワインで乾杯をし、食事を始める。

結翔は、アメフトをやっていたということもあり、悪く言うと単純な人。

でも、騙したり、裏切ったりはできない、真っ直ぐな人。


いつも私を最優先にしてくれて、守ってくれる。

おおらかというか、女性のように邪念がない。

そこが結翔の素敵なところ。


今夜も、私のことを笑顔で見つめていてくれている。

多分、私をどう幸せにできるかなんてことを、ずっと考えているに違いない。

私にぞっこんだもの。


レストランを出た後、私達は、渋谷のホテル街にタクシーで行き、朝まで一緒に過ごした。

私は、結翔の子供を産みたい。そう思えた初めての人だった。

そして、夜は、包みこまれる、幸せなひと時を過ごす。


でも、その翌日から、私に変な出来事が起き始める。

会社からの帰り道で、交差点を渡ろうと信号を待っていたときだった。

私は、後ろから押されて車道に飛び出してしまう。


幸いにも、走ってきた車が避けたので、大事には至らなかった。

振り返ってみると、人はたくさんいたけど、知っている顔はない。

たまたまかしら。でも、気をつけないと。


まず、交差点とか電車のホームとかでは、先頭に立たないように注意することにした。

それでも、その後も、このような事件が度々起こる。

地下にあるレストランに行こうと階段を降りていった時に、滑って落ちそうになる。

押されたわけじゃなく、階段に食べ残した柿が落ちていて、それで滑ったみたい。


また、隅田川の脇を歩いていたら野球のボールが飛んできた。

もし当たったら怪我をするだけじゃなく、高い塀から隅田川に落ちていたと思う。

いずれも、些細なことなんだけど、悪くすると大怪我をしそうなものばかりだった。


ある日、会社のオフィスビルでエスカレーターで降りようとした時だった。

いきなり、後ろから押された。

突然のことだったので、押した人の顔は見えずに、上から下まで転げ落ちてしまう。


意識はあったけど、怪我もかなりひどかったので病院に搬送された。

ベッドで寝ていると、同期の仲間が心配そうにお見舞いにきてくれる。


「琴葉、大丈夫なの?」

「大丈夫。骨折で、全治1ヶ月だって。でも、最近、こんな事件が多いような気がする。澪さ、この前は助けてもらったけど、もしかしたら、今回も霊とかの仕業じゃないよね。」

「琴葉の周りで霊は見えないから、霊とは関係ないかと思う。」

「そうなんだ。」


過去を振り返ってみると、犯人じゃないかと思える2人の女性が頭に浮かんだ。

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