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………行きたくない。



スヤスヤとベットで眠るマルーを見て、セルジュは思った。


慣れない快楽の渦に何度も飲み込まれたマルーは、

あのあと意識を保つのを諦めた。


…………可愛いかった。


セルジュはマルーの髪をなでながら

くすくすと笑う。

本当はまだこうしていたいが、今日は仕事だ。

名残惜しさを感じつつ、セルジュは立ち上がる。



………そういえば、



ふとテーブルに置かれた小さな袋を見て

マルーは何を買ったのだろうと思う。

普段からマルーは

なにか買ってほしいとねだることはほとんどない。

あるとすれば本か、大好物のタルトか。

でもあれは………


まぁ帰ってから聞けばいいかと、

セルジュはドアはあけ、静かに外に出た。




そのあとしばらくして、

マルーはノロノロとベットから起き上がった。


………あんなにしなくても。


セルジュからのキスの雨は、マルーを腰砕けにさせた。

痛みが襲ってくることは無くなったが、

快楽だけに襲われるのもまた地獄だ。


昨日から押し寄せるいろいろな感情に、

マルーは疲弊していた。


心の底にあった嫉妬心は、

自分でも驚くほど暗かった。

それほどまで自分はセルジュを好きになっていたのだと。


……離れたくない。


それがマルーの気持ちだった。


………ちゃんと伝えなきゃ。

いや、伝えたいのだ。


そう決意して、

仕事に向かったであろうセルジュを待つことにした。




空がオレンジ色に染まる頃、


「ただいま。」


ドアが静かにあいて、セルジュが帰ってきた。


「…………おかえりなさいませ、セルジュ様。」


そう言って、マルーは立ち上がる。


「ちゃんと休んだ?

 ……起き上がれなくなってたみたいだけど。」


いじわるに笑うセルジュに

いつもなら恥ずかしがって怒るマルーが


「………………。」


無言でセルジュのところに来る。

その表情は、いつもの恥ずかしがる表情ではなかった。


「………マルー?」

「………セルジュ様、ごめんなさい。」


そう言ってマルーはセルジュに抱きついた。


「やっぱり、離してあげられないです。

 わたしだけのセルジュ様でいてほしいです……。」

「!!」


セルジュの心臓がどくんと跳ねる。


「…………?

 セルジュ様?」


何も言わないセルジュに

不安になったマルーが顔を上げると

 

「!!」


そこには、

顔を赤くして目を見開く、セルジュの姿があった。







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