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「!!!!」
ハッと目を覚まして飛び起きたマルーは
一瞬、自分がどこにいるかわからなかった。
………昨日………
そう思った瞬間、
昨日の自分を思い出して、顔を手で覆った。
わ、わ、わたしはなんてことを………!!!
恥ずかしさで死にそうになりながら
マルーは自分の格好を確認する。
「服……………ちゃんと着てる。」
よかった………
ボタンはいくつか外れてるけど………
アレは夢だったのかもしれない。
そんなことを考えながら、ふと、よく自分の体を見ると
「な、なにこれ………。」
薔薇のあざも、棘の蔓も
それはべつに変わりはない。
………それではなく、
「な、なに?この赤い………。」
何かに吸われたような………
「…………………。」
胸元から臍にかけて
そこらじゅうに赤く吸われたような痕がある。
こ、これって………
「!!!」
顔に熱が集まって、赤くなるのが自分でもわかる。
羞恥心でどうにかなりそうになるマルーに
「………………マルー。」
先に起きていたのであろうセルジュが、名前を呼ぶ。
「!!」
反射的にマルーは、顔を布団にうずめる。
………恥ずかしくて顔が見れない!!
自分のしたことも、言ったことも
つぎつぎに思い出されて
マルーは顔があげられなくなっていた。
くすくす笑いながら近づいてきたセルジュが
「………昨日は可愛かったよ、マルー。」
そんな甘い言葉を、マルーに投げかける。
「…………顔あげて?マルー。
じゃないと、昨日のつづきするよ?」
瞬間的に、バッッと顔をあげる。
あれに続きなんてあるのかはよくわからないが、
マルーは顔をあげ、そろ〜っとセルジュを見る。
「あ、あの、わたし…………。」
言いかけたマルーの
はだけたブラウスから見える赤い痕を、
セルジュは黒い光を宿した目で見つめる。
「………ねぇ、マルー?
俺と別れてどこに行くつもりだったの?」
「ど、どこって………。」
ひとまずティンパーの屋敷に戻る?
お父様とお母様、お兄様にも謝って、
そのあとは…………
うーんと悩みこむマルーに
「いいの?
マルーと別れたら俺、
マルーのモノじゃなくなっちゃうよ?」
「!!」
昨日マルーが苦痛と快楽の中で発した言葉を、
セルジュは言っているのだ。
「…………いいの?マルー。」
そう言ってセルジュは、マルーにキスをする。
あの痛みが来ると身構えたマルーは
「ん、んっ………ふぁっ?」
来るはずの痛みが来ないことに気づいた。
何度も何度もセルジュにキスをされているのに
あのチクチクした痛みは襲ってこない。
…………そのかわりに、
「ふっ、ぁ………んんぅっ。」
あの快楽『だけ』が、
マルーを襲うようになったのだ。
ちゅっと音がして
セルジュの唇がマルーの唇から離れると
マルーはセルジュの体にしなだれかかる。
………もうしらない、今は何も考えられない。
そのあともしばらく、
マルーはセルジュにグズグズに甘やかされ
襲ってくる快楽に耐えきれず、意識を手放した。




