3話 報酬と驚き
頭がぼんやりする。視界も歪む。
でも──空中の“それ”だけは、くっきりと目の前に浮かび続けていた。
> 【デイリーミッション:達成済】
本日の任務:
『暴漢を追い払え』
達成度:●(条件クリア)
報酬:Skill Point+1
副報酬:リカバリーポーション×1
▶︎報酬を受け取る
「……達成って……マジかよ……」
まだ信じられなかった。
だけど──目の前にあるこれは、もう“幻覚”なんかじゃない。
蓮はゆっくりと指を伸ばした。
震える手が「▶︎報酬を受け取る」に触れる。
ピッ
光が一瞬だけ明滅し──
> 報酬を受け取りました。
Skill Point:+1(現在SP:1)
リカバリーポーションをインベントリに追加しました。
直後、目の前の空間がわずかに揺れた。
そして──ポン、と音がして、小さなガラス瓶が空中から落ちてきた。
「……っ!?」
反射的にキャッチする。
透明なガラス容器に、澄んだ青い液体が入っていた。
どこからどう見ても、**ゲームで見たことがある“回復アイテム”**そのものだった。
「リカバリーポーション……だと……?」
冗談じゃない。だけど、手の中には現実がある。
蓮は一瞬だけ迷ったあと、キャップを外して一息に飲み干した。
──その瞬間だった。
「っ……!」
体が、内側から一気に“冷えていく”感覚。
いや、違う。“痛み”が、引いていく。
腫れていたはずの頬が、ズキズキしていた腹部が──みるみるうちに楽になっていく。
「うそ……だろ……?」
数秒で、全身がまるで回復魔法をかけられたかのように軽くなった。
血の匂いはまだ漂っていたけど、傷は確実に癒えていた。
「これが……アイテム……」
手を見つめる。
さっきまでの震えが、もう感じられない。
現実じゃない。
でも、現実だった。
「……とんでもねぇもんに……足突っ込んじまったな……」
その言葉は、空気に溶けて消えていった。
目の前には、まだ“メニュー”が浮かんでいた。
まるで次を促すかのように、静かに──そこに在った。
* * *