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Chapter9. Battle at the base

タイトル【基地での戦い】

謎の工作員と交戦するSoyuzスタッフ。


お互い弾や射程は違うものの、サブマシンガンやアサルトライフルといった自動火器で完全武装している点は変わらない。



さらに交戦距離が近いこともあって、射程が長くても短くても本質は同じだろう。





——大型格納庫近辺




銃殺、爆殺されつつも工作員たちは進み、ついに輸送機や大型陸上兵器などが押し込められている格納庫へと到達。



Soyuzが最も隠し通したい異世界へと通じるポータルを背にしての戦闘が繰り広げられていた。



宙を舞う安全ピンが抜けたグレネード。投げられた先にはもちろんSoyuzスタッフがいる。



「グレネード!」



PING……——KA-BooooMMM!!!!!!





とっさに伏せる兵士とこれ見よがしに進む工作員。



自動火器以外にも手榴弾が厄介で、ボディーアーマーをいくら着込んでいても死ぬような威力の破片をばら撒くのだ。


そのことを知っているのを利用して、足止めされてしまう側面がある。



可能な限り侵入されないよう善処しているものの、奥へと全く入られないかと問われたら話は別だ。

しっかりと後ろにもカバーが付いており、背中から刺させてはくれないらしい。



「クソッ、知恵がある分厄介だ」



補佐する敵を排除しようと狙いをつけたが、恐るべきことに気が付いた。

あの工作員の背後には格納庫があるではないか。



だが彼らは知らないだろう、怪しい格納庫がということではなくスタートラインに立つことが出来るということを。



——DANG!!!



宝箱の内側から重火器が射出される不吉な砲弾が飛び出した。



その直後に炸裂し、不法に宝殿を覗き見た愚か者を吹き飛ばす。果たしてどういうことなのだろう。



日の光を浴び、地面に影を落としながらその正体が露わになる。


ジープのような小さいながらも無骨な装甲付きの車体。

だがありがちな軍用車両やオープンカーとは異なり、上には戦車を思わせるような砲塔と2ポンド(40mm砲)砲が乗る。


そして、威圧的なSoyuz Social(社会) Security(安全) Forces()の文字。



砲を乗せた高機動な戦闘車両 ダイムラー装甲車だ!



何も格納庫にあるのは異世界ポータルや航空機と言った、脆弱な存在だけではない。

このような陸上兵器も収まっているのである。



ジープか何かと思ったのか、他の工作員からも銃撃を受けるダイムラー。

しかしまるで効いていない!



拳銃弾を使うような雑兵など恐れるに足りず。

あのようなひ弱な乗り物とは違い、鋼鉄の板が張り付けられているのだから。



【こちらBentley05、援護する】



BLATATATA!!!



唸る機銃、吹きすさぶ鉄の旋風。



破片や銃弾を受けても致命傷にならないダイムラーは、自ら弾の雨に突撃して敵を蹴散らしていく。


それぞれの格納庫でこれら装甲車両たちが続々と目を覚ましていくのであった……






———————————






一見して無敵に思えるダイムラー装甲車だが、本格的な歩兵戦闘車や戦車と比べると防御力は障子紙程度しかない。



ロケットランチャーや爆弾といった、歩兵が持てる対戦車火器に細心の注意を払う必要がある。

40mmグレネードの成形火薬弾頭(HEAT)ですら命取りなのだ。



「居たぞ、9時方向!」



玩具のようなハンドルを握る操縦手が工作員を見つけたらしく、声を張り上げる。

砲手もさることながら、明らかに小回りが利く運転手が敵を見つけることは珍しくない。



動きを補足されないよう、一瞬だけハンドルを右に切ってからハンドルを左に目一杯切る。



アクセルを潰す勢いで踏みこみ、右に向いていた進行方向を無理やり正反対の方向に動かすのだ。



遠心力で振り回される砲塔乗員、旋回ハンドルで体を支えながらひたすら回して狙いを定めるや否や、銃撃を加える。


BLATATATA!!!



コンクリート壁に逃げていったがそれすら織り込み済み。


銃弾で相手の動きを制限できるのは敵味方同じこと。

火器制御装置なんてハイテクなものが付いていない以上、頼れるのは経験だけ。



追い込みをかけると、続いて2ポンド砲が火を噴いた。



DONG!!!



瞬く間に薬莢が排出され、次弾装填を急ぐ。

機銃は正直弾切れしようともどうだっていい、壁を貫ける砲が使えなくなるのが一番大きい。



【現在格納庫にて戦闘中、早く来てくれ!】



【Bentley05、了解】



BRoooMMM!!!!



エンジンをふかしながらダイムラーは別の大型兵器格納庫へとタイヤを進める。

今にも均衡が崩されそうな戦場には装甲兵器が無くてはならないのだ。




—————————





もうアクセルが潰れそうな勢いでペダルを踏んで、エンジンをうならせ現場へ向かう。

最高でも80キロしか出せないが、それでも十分である。



近づいていくほど、流れ弾が装甲板に当たり始めてきた。

一分一秒が惜しい現状。

こちらに向けて撃っているのか、のかそうではないのか気にするだけ無駄である。



タイヤを軋ませながらドリフトし、その間に砲手が狙いを定めた直後。



KA-BooooMMM!!!!!!



付近に着弾。

自軍の流れ弾にしては正確過ぎる上に、敵の投げた手榴弾ではないだろう。

拳銃タイプのグレネードランチャーを持ったヤツがいるというのか。



障子紙のような装甲しかないダイムラーにとっては脅威だ。



しかし虎の子の装甲車両を鉄屑にさせる程、Soyuzは能無しではない。

建物の窓ガラスにギラリと映る真っ黒い銃口とレンズの反射光。



それは死の宣告。



DAAAM!!!



徹甲弾は窓をカチ割って一直線に進み、1秒も立たないうちに不届き者の脳髄を貫通。



何かを狙い撃ちにする者は、また別の何者かに狙われやすい。

絶好のポイントは逆に狙撃されてしまうのだ。



敵を確実に仕留めたと確認すると、モシンナガンの主は次なる狙撃地点に向かって、ただひたむきに走る。



DONG!!!



その刹那、間近でダイムラーによる砲撃が木霊した。






—————————






戦場は刻一刻と変化し続けている。



現場にいる人間には分かりにくいが、ビルからビルへと駆けるスナイパー 呼び込み君のような傍観者になるとそれが分かりやすい。



飛行機が緊急着陸した滑走路や事務棟近辺から、大型兵器格納庫に向けて戦場が進んでいっている。



Soyuzの戦力である戦車や装甲車、戦闘機などが収められている場所に入られるとマズイため決死で戦っているのだ。



現に彼の狙撃ポイントはいつの間にか反対側になっており、よりこの身で実感しやすい。

奥まで来られているのはともかく、工作員の頭数がゴリゴリと減っているのもまた事実。



ダイムラー装甲車ら装甲兵器の出動で減少、残るは片手で数える程度に過ぎないだろうか。




狙撃ポイントを移動すると、やはり交戦しているのは相変わらず。

だがエージェント側もプロにしては詰めが甘い。




目の前の銃撃戦という、死を呼ぶやり取りに気を取られているのかもしれないが。

前線で戦うスタッフに助け、助けられの関係があってスナイパーという兵職が成立するのだ。



走りながら排莢すると弾倉が空になっていることにふと気が付く。

次に撃ち殺す相手を凝視しながらクリップを突き刺し、弾薬を一気に押し込めてやる。



ドラムマガジンを着けたARピストルを持っており、如何にも厄介な敵に狙いを定めた。



敵が手にしている玩具のような銃、ARピストル。

小型にしてアサルトライフル同然の火力と、下手な機銃にも匹敵する弾数を持つ。



優先度は高い。



すかさずレティクルの先を敵に沿え、トリガーを引いた。

撃って見て気が付いたが、さらに奥に敵がいるらしい



排莢しつつ、ボルトを押し込んで弾を装填。

相棒が死んだことを知ってか逃げようとしている。



DAAAM!!!



二発目。

しかし動いている相手ということもあって仕留め損なった。


呼び込み君のような狙撃手と最前線で撃ち合う兵士。そして歩兵とは比べ物にならない火力を誇る装甲車両。



Soyuzはこれらすべてを持っている上に、緊急事態が起きればこのようにスクランブル出来る。

歩兵30人程度が制圧できるハズがない。



かくして戦闘は銃声が発生してから1時間強で全て鎮圧された。



だが本番はここから始まる………

次回Chapter10は8/15の公開となります。


登場兵器/組織


・SOYUZ社会安全軍。

SOYUZ S.S.RなのかS.S.Fなのかは部署によって異なる。

警察では対処できない、もしくは依頼を受けた際に駆け付ける機甲治安維持軍。

軽装甲車を主軸にするが、本気で怒らせると戦車の1つや2つを平気で呼び出してくる。


・ダイムラー装甲車

二次大戦時のイギリスに運用された偵察装甲車。2ポンドこと40mm砲と機銃を備える。

砲塔に比べて車体が嫌な予感がするが、圧倒的機動力で当たれば手痛い主砲を振り回す様は凄まじいの一言。


日本の道路事情にお優しい仕様。

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