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30過ぎてロリータ着てますが、世界をオシャレに出来ますか?  作者: 大牧ぽるん


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第五十九話 進んでいきますね

それからの私は家に帰り、親と真剣に話した。

私はロリータを趣味だけではなく仕事にしていきたいこと。

この家を出て自立すること。

この姿が好きなこと。



昔ながらの個性的なものは恥ずかしいと言う考えの両親は最初は全く納得はしてもらえなくて、

話は平行線だったが、私はくじけず訴えながら次の展開へと進んでいく。



アトリエ部屋が出来る物件を探し、2周間で家を出ることが出来ると報告すると、

そこまでのスピードで私が動いている事に両親は驚いており、やっと真剣であると理解ってくれたようであった。

父は少しうろたえてはいたが、私の決意に最後は納得してくれたようだ。



「人と違う道は険しい。駄目だったら…… いつでも帰ってきなさい。」

「やれるだけ、頑張ってみなさい。七海。」



二人なりの精一杯のエールをもらい。私は一人暮らしを始めた。



引っ越しの手伝いに、ロリータを進めてくれた友人、ももに勇気を出してお願いしてみた。

唯一連絡を定期的にしていたももは理由も聞かずに快く引き受けてくれた。

おまけに彼氏さんも一緒に運搬もお願いしてくれたからかなり助かった。

ももはいつも迅速な対応をしてくれる。誰からも愛される存在だ。



当日、ももたちと合流し、部屋に入る。

がらんどうの部屋。ここが今日から私のアトリエだ。

家具の設置のために久しぶりにスエットに袖を通す。なんだかコスプレしてるみたいなんて思った。

彼氏さんが車で家具を取りに言ってくれてる間、ももが話しかけてきた。



「久々の連絡かと思ったら驚いたよー。七海、もうちょい人頼りなー?」

「ごめん、私、こんなだからさ。」

「こんなって?」

「もも、私さ、ももが勧めてくれたロリータを今も着てて。それで……」

「え?何?だから?」

「へ?」

「うれしー。そうなんだ!七海!あれ着てたの!?言ってよ!私まだ見てないんだけど!

え!?ちょっとまって、ずっとそれ黙ってたの!?ずるいなー!」



私は、こんな身近な幸せに気付けないくらいいっぱいいっぱいで、誰もが敵に見えていたのか。

自分の視野の狭さをものすごく恥じた。

ももが見たいというのであの日買った桜色のロリータを着て見せると、ももは興奮して服を真剣に見て回る。



「こんなんだったんだ!ほら!似合ったじゃん!」



思わず笑ってしまった。そうだ、私はこれが好きなんだ。



「ありがとう!」

「これってさ、自分で作ってるの?」

「ああ、ヘッドドレス?うん、作ってみたんだ。これに合わせたくって。」

「へえ!凄いじゃん。あ、見てみて!私もさ、これ手作りなんだよね?」



そういうとももはイヤリングを見せてくれた。

ももに似合う少しカジュアルなデザインで、黒い大きなビーズが特徴的だ。キラキラしていてとてもきれいだと思った。



「へー!!凄い凄い!いいね!これ。」

「えへへ。実は私、こういう事してまして。」



するとももはカバンから名刺を出してくれた。

そこには

【ハンドメイド作家:もも

MOMO MODE

カッコいい大人の為のさりげないオシャレ、手伝います。】

と書かれており、SNSなどの情報が書かれていた。



「ハンドメイ作家してるの?」

「うん!結構本気でやってるの!

作家さんが集まるイベントとかマルシェとか!そういうのたくさんあるんだよ。

そういうのに二週に一回は参加して作品を売ってるの!開業届も出したんだから。」 

「え!ももすごい!」

「ありがとう。大変だけど、好きな事するのって大切だと思うから。

だから、七海もさ、ロリータ!続けなさいよ!すっごく可愛いよ!」



あの日にくれた笑顔と何も変わらない。

私は、少し泣きそうになりながら頷いた。



そこに、彼氏さんが「家具を持ってきたぞー」と呼びに来てくれた。

あ、しまった。私引っ越しなのに!ロリータじゃ出来ないじゃん!



「わお。すっごい、いいじゃん。七海さん。」

「あの!その!すぐ着替えます!スエット!」


あわあわする私にももが笑いながら事の経緯を話し始めた。

彼氏さんは怒ることもなくふむふむと聞いていた。



そして私をじっと見て、言った。



「ももみたいにさ、ハンドメイド作家みたいにさ、七海さんもそういうの始めたら?」

「私が?ですか?」

「うん、運んでる時の服、手作りのもあるってことでしょ?」

「あ、はい……」

「すごいじゃん!しかもこんな小物まで作れるんでしょ?まじ神じゃね?

俺あんまわかんねーけどさ。絶対こういうの好きな人もいると思うんだ。

たまに街で見かけるしさー!どうもも。」

「確かに!ねえ!七海!興味ないの?」



確かに私は日本をオシャレにするために帰ってきたが具体性はなかった。

そういった形から始めるのも悪くはない!というか!いい!

いきなりどこかに入ったり、勉強するのもいいけど。

今の私を試すにはとてもいい道だと思った。



何よりも私、早く作品を作りたくてたまらないんだ!



「実は私、自分のブランドを立ち上げたいと思っていたの。もも、色々教えてほしい!」

「かしこまりー。なら引っ越し早くしちゃわないとね。」

「うん!」



それから私達はハンドメイド作家になるにはとか、

自分の好きなものを話しながら引っ越し作業を続けた。

事情を話したから二人はアトリエ部屋もしっかり作ってくれた。

デザイン画書くなら机いるでしょーとももが言って、引っ越し祝いに買ってくれた。

わざわざ選んでくれたのは、ロリータに合うアンティーク調の木製のお洒落な机だ。

なんだか、マロン村を思い出す。



「終わったー!」

「本当に二人ともありがとう!とても助かった!」

「いいっすよ、お礼なんて。だって、な?」

「なんでしょう?」

「ももの方も貴方には感謝してるようで、唯一連絡とれていた友人だったので。」

「そ、そうなの!?」

「あははー。リア友はねー消えちゃうんだよねーあはは。」

「だから俺からもありがとうございます、これからは気にせず会ってあげてください。」

「もちろんです!もも。私ロリータだけど……」

「これから新作見るのが楽しみ。」



私はやっと人を信じて、自分を信じて生きていけるんだ。

ここからだ。



進め、また私は始まっていくんだ。ここから。



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