第五十一話 これは終わりますか?
ファッションショーの準備が着実に進んでいる。
王都の打ち合わせも毎度スムーズだ。
そこで出たアイディアにも皆で実現できるだけの実力もあるからだ。
一着、また一着と出来ていく度に皆で喜びあった。
モデルのみんなもどう歩くかの練習も始めてくれていて、楽しいショーになりそうだった。
私にはファッションショーのモデルさんの動きや歩き方の知識はない。
だからみんなに楽しんで歩いて、アピールしてくれたらいいと自由に任せている。
王都の協力で、城でみんなでどうしようかと言いながら練習するようになった。
ダイヤ様とカガミ様もちゃんとエスコートが教われたようで(どうなったんだろう)、
しっかり、楽しく練習しているのが見えて良かった。
これは自由なショーなんだ。
リーリはロリータを布の自由と言ってくれた。
だから私たちも自由にしていきたいと思ったのだ。
楽しい中で、フィーは少し悩み中のようだ。
何度もロリータに修正をかけているのが見受けられていた。
「皆さんがきれいに、素敵に見えるように、絶対。間違えられませんわ。」
「フィー、気持ちはわかりますが、コン詰めすぎないでください。」
「でも!」
「おいおい、ここに同じ感じで一人でぶっ倒れた人が言ってんだ。言う事聞いておいてくれ。」
「スティーブンさん!なんで言うんですか!!!」
「あははは。すみません。とにかく、今あんたが倒れたら困るんだ。頼むよ。」
「わ、わかりましたわ。」
「私達もお手伝いしますから!なんでも言ってくださいね!」
「ありがとう。」
腑に落ちない感じではあったが、なんとか聞いてくれた。
しっかり話さないといけないかもしれないな。
でも今は自分のロリータを作る時間で精一杯だーーーーーーーーー!!!!
どうしたら……
そんな事を考えていた夜。スティーブンさんが私に話しかけてきた。
「ナナミさん。」
「スティーブンさん、どうしたんですか?」
「フィーの事なんですけど。」
「え!?」
スティーブンさんからフィーの事って!?なになに!?
私は驚いてしまった。
「少し悩んでるみたいで、さっきも皆でああは言いましたが、納得してないんです。多分。」
「そうですね、私もそれは感じていました。」
「良ければなんですが、僕に任せていただくことはどうでしょうか?」
「え」
「最近良く話すんです。だから仲が良いと勝手に思ってるんですが。」
いや、それ以上です。貴方!!!!
「彼女の力になりたいんです。これからも。」
「これからも…… え?」
「何驚いてるんですか?」
「これからもとは、どういう……」
「いや、ナナミさんが居なくなったら、この世界のロリータを背負う係になるのはフィーです。
フィーにはこのファッションショーで自信をつけてほしいんです。
彼女のロリータはナナミさんのものと違いますが、それはそれで素晴らしいものだと思っていて。
その、今、また倒れられたら怖いんです。」
スティーブンさんが珍しく少し、泣いている。
そうか、私が倒れたときの事を思い出しているのか。
わかった瞬間私の胸がぎゅーっとなった。
「もう、誰かに悲しい顔をしてほしくないんです。
苦しんでほしくないんです。それも僕が助けられる範囲で。
僕はもっと強くなりたいんです、誰かを助けられるように。」
「……はい。」
「フィーの、悲しい顔を。もう見たくないんです。」
「そうですね。」
「初めて貴方に負けたんだと泣いた時、この人を泣かせたくなとカッコつけたんですけど。
なんだか、その。」
……ん?
「なんだかほっとけないんですよ、フィーの事。」
……んん??
「ずっと目で追っちゃうし、なんだか調子狂わされてるな。
なんの話してんだ僕。えっと。」
あの、スティーブンさん?それって……
瞬間、ニヤついたリーリが滑り込んできた。
「スティーブンさん!話は聞かせてもらいましたよ!!!」
「デジャブ!!!!!」
「ひい!リーリ!なんですか!盗み聞きなんて!どこから、聞いてたんですか!!」
「最初からです!こんな廊下で話しちゃう内容ではないでしょう!」
「え、そんな、いやえっと。」
「スティーブンさん!」
「はい!」
「あんまり自覚がないようなのでいいますけど……もごごご」
私は慌ててリーリの口を塞ぐ。
「リーリ!これ!自分で気づいたほうがいいやつだから!!」
「で、でもお」
「そういうものなの!シャラップ!」
「二人とも何話してるんですか?」
「あははは、何もありませんよー、ねえリーリ?」
「は、はい。」
不思議そうな顔をしているスティーブンさんを見て本当に自覚がないとわかった。
だから私は一押しだけすることにした。
「おまかせします、フィーの事。これからも。
だから沢山はなしてあげてください。貴方だから言えることもあると思います。」
「わかりました。少し話してみます。」
私達が無理やり話す場を作ったり、いい雰囲気を作るのは簡単だ。
でも私は、自然に二人が素敵な関係になれるのが一番いいと思った。
「じゃあ、フィーの所に行ってきます。」
「はい、お願いします。」
スティーブンさんは走っていった。
私とリーリは目があって笑ってしまった。
「両思いなんですね。」
「そうみたいです。」
「うまくいけばいいですね。スティーブンさんとフィーさん。」
「はい、大丈夫だと思います。」
「はぁー私も素敵な人に出会いたいですー。」
そんなリーリの話を聞きながら、さりげなく言われたサヨナラの準備に私は寂しさを感じていた。
でも、皆も決めているんだ。
覚悟をきめていかなければならない。
私は、このファッションショーが終わったら日本へ戻る決意をしているのだから。
揺るがないように。
終わりに向かって私はまた準備を始めるのだ。
次回予告!
皆で楽しく、サヨナラの準備をしながらやってきたショーもついに前日。
七海のあることを考えていた
第五十二話 伝えてもいいですか?
お楽しみに!




