第五十話 大好きを込めて
私は悔いがないように自分のロリータを作り始める。
決意のこもった作品。絶対素晴らしいものにしたい。
この世界に最後に桜を咲かせるんだ。
細部までこだわりたいから、生地も沢山サンプルをみて選んで。
レースもはしごリボンもつけたいし。
それにそれに……!!
「ナ、ナ、ミちゃん?」
あまりに集中していてエスターが部屋にいた事に気づかなかった。
あれ?なんで?怒ってるんだ?
「エスター…?な、なんでしょうか?」
「さっきリーリからそろそろ休んでって言われたわよねぇ?
あれから何時間経ったのかしら?」
「え」
時計にばっと目をやると、既に三時間程経っていた。
もう、深夜二時……!?!?
「あ、えっと。」
「ナナミちゃん。ベッドに座って?」
「あ、じゃあ片付けて……」
エスターが目で訴えてきた。
言うことを聞けと。
「す、わ、れ?」
「はい。」
言われた通り私はベッドに座った。
瞬間、とても眠くなり疲労感が一気にやってきた。
「ほら、言わんこっちゃないわ。全く。」
「すみません…… つい」
「リーリも心配してたわよ。明日謝っておきなさい。」
「はい、その通りです。」
「……寝れそう?」
「はい。そりゃあもう。」
「わかったわ。これからしばらくは私が寝る時間を教えにきてあげるわ。
貴方、目の前の事に熱くなると人の言うこと聞かないから。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「はぁ……」
エスターが近くにやってきて私を寝かしつける。
こんなふうに誰かに布団をかけてもらうのはいつぶりだろう。こそばゆい。
でも、なんだか安心する。
「大切な作品なんでしょう?
大切に作りなさい。自分も大切に出来ないならダメよ。」
「気をつけます。」
「よろしい。おやすみ。また明日」
エスターは部屋をゆっくり出ていこうとした。
扉の前で少し立ち止まり、くるりと私の方をむいた。
「私、貴方の事、大好きよ。村の皆もそう。」
「私もですよ。」
「だから、ナナミの意見を皆尊重する。」
あ、これ。
村の皆に私がサヨナラをリーリ達に言った事がバレてる。
そうだったんだ。皆、いつもと変わらなかったから、気づかなかった。
エスターはいつもの冷静な雰囲気ではなく、ただただ少し悲しそうに見えた。
「沢山、話しましょう。飽きるまで。
それが私達の願いよ。」
飽きなんてあるわけがない!!!!
でも、サヨナラを受け入れてくれているんだと痛感した。
私はエスターに、皆に向き合って言った。
「話しましょう。たくさんたくさん。」
「うん…… おやすみ。」
私は一人きりの部屋で、皆に出来る事を考え始める。
休めと言われても、今は大好きを込めたものを作りたくてウズウズしている。
私にとって桜は大切な花で、皆に見せたくて。
ここではブランドの名前にして、大事に扱ってきたんだ。
この国に私の桜を残すならどんな形……?
「あ。」
私はふとアイデアが浮かぶ。
これなら。皆、喜んでくれる……!!!
大好きを込めて。私はアイデアを抱きしめたまま眠りについた。
大丈夫。私の桜を掴んだ。
次回予告!
七海の桜の形出来てきた!なんとかファッションショーも順調に進んでいる!
そんな中、フィーが悩みがあって……
第五十一話 これは終わりますか?
お楽しみに!




