第四十五話 やりたい事を見つけましたか?
その日から怒涛の日々が始まった。
各々学習したことがかなり刺激になったり、経験になったようでやりたいが増えていく。
それと同時に、出来ることが増えたのだ。
各自練習をしてもらったり、村の人に教え合っている間に
私とフィーはデザイン画に取り掛かっていた。
デザイン画の書き方や、デザインの種類、名前を知りうる事を全て教えていく。
フィーは自身のノートにひたすらメモをとっていく。
次々に質問が出てきて細かく、教えていく作業。
私も取りこぼしがないように、自分の今までのデザイン画を見ながら教えていく。
絶対に、この子に未来のこの世界が任せられるように。
「書き方一つで違いますわね。私、デザイン画を最初は書かずにやっていましたもの。」
「それも凄いよ。だって一人でやれていたんだから。しかも独学で。
私からしたら尊敬しかないよ。」
「でも、皆さんと作っていくにはデザイン画は必須なのは痛いほどわかりましたわ。
これはこれからどうするかを示す設計図。
これをみれば誰が何を集めたり担当するかもわかりますし、完成がイメージ出来ますもの。」
「確かにそうですね。これは全員の認識を一緒にするためにあります。
自分の中にあるアイディアを書き出すことで、こんな事も出来るなとか、これは盛り過ぎだなとか
そういった事も目視できるのもいいところだと思います」
「そうですわね。現に私も前回、
ナナミのデザイン画があったからこそクラブ様のロリータが完成したんですもの」
熱心に過去のデザイン画を見ながらフィーはメモを続ける。
フィーは始めから思っていたが、とても真面目で、真っすぐで。最後までやりきる力がある。
お嬢様気質はあるものの、決してそれを自慢せず、社交的で、本当に出来た方だと思う。
私の服を見ただけで自分で作ってしまうんだから、とんでもない才能がある。
そんな彼女だから任せたい。今の私のポジションを今後するのは、フィーであってほしい。
期待通り、彼女はどんどん学習していく。本当に凄いな。
「フィー様、ナナミ様。そろそろお昼の準備ができておりますので休憩されてはいあかがですか?」
グリスが夢中で作業していた私達に声をかけてくれた。
彼も最近はこの村で一緒にいてくれており、食堂で腕を振るってくれている。
今ではシェフグリスさんなんて呼ばれている。
「まあ、そんな時間ですの。では、ナナミ。休憩いたしましょう。」
「はい。では午後からは実際にデザイン画を書いていきましょうね。」
「おーほほほ!望むところですわ!今から期待してくださいまし!」
この自信こそが彼女の武器。私はこれからの期待を確信した。
食堂に行くと、リーリとスティーブンさんも昼休憩をしているところだった。
リーリが嬉しそうに飛び跳ねて私達に手招きする。
「お昼一緒ですね!嬉しいです。」
「はい、今私達もグリスさんに声をかけていただいて。」
「いい顔をしてますね。フィーはデザイン画は順調そうだな。」
「勿論ですわ!なんせ!ナナミが教えてくださっているんですもの!」
「ははは。そりゃそうだな。」
和やかな昼食。
グリスの作る根菜スープはいつも染みるな……
実家のような安心感。なんだか温かみがある。
フィーはお嬢様なので上品な料理ばかり出るかと思いきや、彼もここで沢山のレシピを
習ったようで、日に日に多彩な料理が並ぶようになっていた。
「お嬢様。本日もお疲れ様です。しっかり食べて午後も一層励んでくださいませ。」
「グリスもここに馴染んできたわね。ごめんなさいね。無理を言って。」
「お嬢様もお屋敷から通っているのは大変でしょうし、私はお手伝いがしたいだけでございます。」
「貴方がお父様お母様に説得してくださって、私はここにいるのですから。感謝しているわ。」
「ありがとうございます。私もここでの生活で学びが多く、まだまだでございます。」
「ふふふ、謙遜しないで。貴方は凄い方よ。私が保証しますわ。」
「グリスさん、私も保証させてください。いつもありがとうございます。」
「ナナミ様まで。ありがとうございます。昼からは村の畑仕事をする予定なんですよ。
市場で買うのではなく、新鮮な野菜をとれて私感動しております。」
グリスはなんだか楽しそうに見える。
フィーの為だけではなく、自分の為にも働けているのが良いのかもしれないな。
歳をとってもなお学びの姿勢を変えず、挑戦するその真っ直ぐさ。
フィーが真っ直ぐに育ったのはこの方がずっと側にいてくれたからなんだろうな、そう思う。
「ナナミ様もビシバシ、鍛えていただきありがとうございます。
どうかこの後もご教授お願い致します。」
「はい、こちらこそ。お願いします。」
「グリス!私、昼からはデザイン画を書くのよ!」
「それはそれは。おめでとうございます!一層励んでください。」
「ええ!任せなさい!」
執事とお嬢様の関係なのに、二人とも強く信頼しきっている。
羨ましい、そんな人に出会える事はとても素晴らしいことだ。
ダイヤ様とカガミさんもそうだな。本当にこの国の方は優しい。
この国で私はこの優しさを学んだ。
ゆっくりでも信頼を築く事。
自分の意見を伝える強さ。
どんな時も諦めないように支え合うこと。
この国に私が残せること。なんなんだろう。
まだ答えが出せずにいる。
今やっている知識だけではない。
私、が。やりたい事を残したいんだ。
私が、この優しさと一緒に何か作るなら……
瞬間、頭の中で満開の桜が見えた。キラキラ舞う桜の花びら。
あの日も、そうだった。
「あ、」
私はふいに声が出てしまった。
皆が振り向き、心配そうにこちらをみている。
「あ、すみません。あの、やりたい事。見つけただけなので。気にしないでください!」
「え!知りたいです!」
「すみません。もう少し形にしてからでもいいですか?皆には必ず伝えるので。」
「わかりました。待ちます、だから絶対聞かせてください。」
「そうですわ!」
「はい!勿論です。」
心にずっとある桜。
そうだ、ここで咲かせてみよう。
どうするかはまだわからないけど、やってみよう。
私のやり方で。
次回予告!
桜を形にすると決めた七海。形をどうするのかを悩んでいた。
そんな中、とある告白があって……?
第四十六話 好きってまずいですか?
お楽しみに!




