表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30過ぎてロリータ着てますが、世界をオシャレに出来ますか?  作者: 大牧ぽるん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/60

第三十一話 ご希望はなんですか?

「先程は無礼な対応をしてしまってごめんなさい。」



びっくりするくらい素直に謝罪され、私達は少し戸惑う。

先程の威厳はなく、今目の前に居るのは小さな少女。いや、姫様。

しっかりとこちらに頭を下げている。



「頭をあげてください!私達は別に文句を言いにきたわけではないのです。」

「……本当?」

「はい、神に誓って!」

「わかったわ。ありがとう。皆さんも紅茶をどうぞ。」



紅茶を勧められ、皆飲むと上品な味に驚いてしまった。

なんというか、雑味がなくて、すっとした味がして。



「ダイヤ様、ミントティーがお好きなんですね。」

「ええ、すっきりするから好んで飲んでいるわ。」

「これは凄い新鮮なお味がして…… もしかして茶葉は……」

「ご名答、庭で栽培させているものを積んですぐに紅茶にしているの。」

「わあああ、だからこんなにも新鮮で美味しいのですね。」

「貴方、紅茶が好きなのね。」

「はい!いつもナナミさん達にお出ししてるんです。」



リーリは紅茶が好きだ。こうやって好きなものを語り合うのは嬉しいんだろうな。

ダイヤ様も先ほどとまるで違う。楽しそうに話されている。

この方の人となりの芯はやっぱりあの王様と女王様のものだと思った。



「それでね、少し私の話を皆さん聞いていただけますか?」

「はい。もちろん。」



ダイヤ様はカップをテーブルへ置いて、少しうつむきながら話始めた。



「さっきね、国民が頑張ったものを侮辱することが貴方のような国を収める方がしていいのかと言われて、我を忘れてしまって暴言を吐いてしまったとすぐにわかったの。

でもあの時はどうしようもなくて逃げてしまった。反省しているわ。」



フィーの言葉が彼女を変えたんだ。とても勇気の居ることをしてくれたんだ。それがうまく作用していた。本当に良かった。



「でも、無理なの。私はこの身にまとっているこの布が好き。

あなた達のものは…… そう、華美でいいのだけど、私はその……」

「この布に思い入れがあるんですね。」

「え?」

「クローゼットの中、この布のものでいっぱいです。

きっとこの生地に他とは違う何かがあるんですね。」

「……今日は名探偵しかいないのかしら。そうよ。

この布は私は生まれたときに包んでいたお包みの布なんだそうよ。」



ダイヤ様はクローゼットの奥から、ボロボロの同じ布のお包みをだしていた。

歴史を感じるそんな一枚の布だ。



「お父様とお母様が初めて私を包んでくれたもの。

私が5歳の時、そう言ってこれをお母様がみせてくださったの。

とても綺麗なブルーの小振りの花が沢山咲いていて、私は心奪われたの。

そこでお願いしたの!この布を身にまといたいって!

直ぐにこの布を用意してもらったわ。あの時の嬉しい気持ち、今でも忘れられません。」



やっぱりだ。

この子、私に似ている。

部屋の雰囲気もそうだが、好きなものを着ているだけ。



この子は自分の大切なものを守ろうとした。

さっき私達が、それを否定したんだ。



私の怖がっているあの人たちみたいに。



「ナナミさん!?」



私は気づけば涙を流していた。

罪深い、なんてことをしてしまったんだという気持ちでいっぱいで、好きなことをしているだけで否定されることがどれだけつらいかわかっていたのに。


さっきまでの私は嫌いなのであれば無理にロリータを着なくてもいい。

自分の好きなようにしてほしい。

でも、私達の良さもわかってほしいなんて考えていた。

そんな事より先に私はすべき事があったんだ。



「ダイヤ様。申し訳ありません。私はこの布が貴方にとって大切なものと知らず、

自分勝手にロリータを勧めに参りました。しかし、結果として傷つけてしまいました。

なんとお詫びをすればいいか……」



私はあいつらと同じだ。

人の好きを否定し、傷つけて自分のレールに連れて行こうとする。

ロリータが好きで好きで好きで、私はここまできたがみんなそうじゃない。

そんな簡単なことに気づかないなんて。



「本当に…… ごめんなさい。貴方の好きを否定してしまうような事をして。」

「貴方…… 泣かないでくれるかしら?私も悪かったんだから。」

「ナナミさん、落ち着いてください。」

「そうですよ、ひとまず泣き止んでいただいて。」



ぐすぐすと私が泣いていると、ずっと黙って座っていたカガミさんがダイヤ様の元へ行く。



「恐れながら、ダイヤ様ご意見してもよろしいでしょうか?」

「カガミ、何かしら?」

「少し華美で恥ずかしいのはわかりました。例えばですが、このナナミさんが頭の上につけている

この、なんて言うのかはわかりませんが、こちらだけお付けになるなどはいかがでしょうか?」

「このテーブルクロスを?」

「はい、それだけでも僕は……美しいと思います。

ナナミさん、そちらはいかがでしょうか?」

「はい……!とても良いと思います!」

「どうですか……?」



ダイヤ様はじっと私達を見つめた。

いや私達のロリータをみている。

不思議そうに、そして真剣に。



「少しつけるくらいなら……。」

「はい!やらせてください!」

「ただ、まだまだ種類があるわよね、その……」

「こちらはヘッドドレスと言います。」

「ふうん。そうそれ。だから…… 皆さんの所戻らせてください。謝罪もしたいので。」



カガミさんと無意識に目が合った。

嬉しい……

でも、伝えておきたい。



「ダイヤ様。本当に好きなものだけお選びください。

妥協する必要はありません。

好きなものを好きなようにしていただきたいのです。」

「ナナミさん。ありがとう。そうするわ。」



忙しくまたダンスルームに向かう事になった私たち。

するとスティーブンさんがカガミさんに言った。



「なぁ、この布。一応用意してくれないか?」



やりたいことがわかった私は少しクスリと笑った。



ダンスルームに戻ったダイヤ様達を待っていたフィー達は暖かく迎えいれてくれた。

やはりフィーの、国民の温かさがすごい。



「さぁ、ダイヤ様、ご希望はなんですか?」

次回予告!

ついにダイヤ様の選択がはじまる。

果たしてお気に召すものがあるのか!?


第三十二話 素敵な選択ですね

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ