第二十五話 勝負ありました!
「女王様が、投票していただけるのですか?」
「ええ、もちろん。」
私はゆっくり、周りを見渡す。
フィーもリーリもスティーブンさんも口をあんぐりとあけている。
誰もとても返事を出来る状況にないことがわかる。
私はゆっくり女王様の目を見て、一礼してみせた。
「ありがたいお言葉です。どうぞ、心ゆくまでロリータを楽しんでください。」
女王様は優しく微笑み、私の前にいらっしゃった。
私のロリータからご覧になるんだ。頭をあげてロリータがしっかり見えるようにする。
「全てが素晴らしい形だわ。手のところと足元の布はとても大きくて。
まあ!布が何層にもなっているのね。だからこんなに広がって見えるんだわ。
頭飾りの布も繊細な作りだわ。テーブルクロスの美しさがそのまま頭にのったような……
ねえ、このろりいたは何が素敵なのか作った貴方から教えてくださる?」
キラキラした目で女王様が私を見ている。
新鮮な気持ちでロリータを見て興奮しているんだ。嬉しい。
しっかり私の気持ちを伝えなければ失礼だと思い口を開く。
「このロリータは私の国の伝統服をモデルに制作いたしました。
みなさんが着ているものよりも布の量や作りが違います。
私はそこに美しさや、ときめきを感じ、こうして形にしています。
テーブルクロスにも使われている、フリルなどを分団に使い
誰もが心踊るような、そんなロリータを作りました。
私はロリータが大好きです。その思いがこもったものだからこそ、
素敵に見えてくださっていると信じています。」
女王様は相槌を打ちながら、ロリータをしっかり見てくださってるのがわかる。
不思議な方だ。
さっきまでの緊張感とは裏腹に、今は落ち着いた雰囲気で話せる。
この方こそが国が認めた女王様で、いかに国民を愛しているかが伝わってくる。
そんな方が、私に向かって拍手をしている。
国民が声をあげる。盛り上がっている空気に私は驚く。
「このろりいたに賭けた気持ち。しっかり受け取りましたわ。
とても素晴らしい思いをのせたものなのですね。
そんな素敵なろりいたを着れたら、誰もが幸せになれるでしょうね。」
「はい……! 私もそう信じております。」
「お話を聞かせてくれてありがとう。貴方のろりいたに祝福を。」
深くお辞儀をしたあと、今度はフィーの方へと女王様は行った。
フィーはものすごく緊張した顔をしている。
目があったので「大丈夫!」と小さく声をかける。
「こちらは丁寧な刺繍ですね。これは王宮の献上物と大差がない。
それにこのパールを編んだ飾り。輝いていて素敵だわ。
ろりいたには色んな形があるんですね。」
「はい、色んなロリータがあるんです。」
「さて、貴方のろりいたの何が素敵なのか、教えてくださる?」
フィーは少し俯いて、女王様に言った。
「私は、独学でロリータを作っています。
ナナミさんのロリータを街でお見かけし、私もあんな素敵な姿で歩きたいと。そう思ったのです。
この服は、今まで趣味でやっていた刺繍とパールを編んで飾り付けするものを使いました。
私より、ナナミさんのロリータが優れていると、わかってます。
でも、それでも!私は自分だけが作れるものを作りたい!
自分に今まで自信が無かった。だた毎日退屈だった私がやっと夢中になれたものなんです。
これは、このロリータは私ですわ!」
すざましい熱意だ。
フィーの気持ちが一気に伝わってくる。
女王様はそれを聞いて、にっこり笑ってみせた。
「なんて、素晴らしい方々なのでしょう。
ろりいたに全てが詰まっている。私はとても感動しました。
……でもどうしましょう。どちらも素晴らしい、ろりいたです。票をどちらにいれるか……」
有り難いことに女王様は悩んでくださっている。
私は、心の中でどちらが勝っても納得できるものだと思っていた。
だから、堂々と覚悟をきめて立っていた。
フィーは少し震えている。
自然と手を伸ばして、フィーの手を私は握る。
「大丈夫。」
周りの国民たちも黙って女王様の票に注目した。
少し時間がたって、急に女王様はふふふと笑った。
「バラさん、ごめんなさい。私はこうするしか浮かばなかったの。」
女王様は、バラを綺麗に半分に裂いてみせた。私は驚いたが、何をするのかがすぐにわかった。
バラは二人の花瓶に丁寧に入れられ、彩られた。
「これが私の答えです。
どちらかを選ぶことなんて出来ません。ごめんなさい。
お二人ともろりいたに、自分の思いや世界を込めていました。
それは唯一無二の作品。この世に2つとないのです。
その証拠に、恐らく今花瓶に彩られたバラは数が同じだと思いますよ?
皆さん、数えてくださる?」
同じ数……?
そんな事が本当にあるのだろうか?
なんて考えている間にグリスを中心に集計が始まった。
私とフィーはただ呆然とその光景を見ていた。
最後の一本を数えたグリスが、驚いた顔をしている。
「……250。
どちらも、250本丁度でございます。」
「ええ!?」
「本当ですか!?」
「はい、間違いございません。」
「ほら言ったでしょう?二人とも素敵なろりいたですもの。」
美しいバラが全く同じ数並んでいる。
私もフィーも二人で抱きしめ合いながら声をあげた。
この景色は私たちの努力の先にあったものだ。
「ありがとう、お二人とも。勝負は引き分け、ですね。」
次回予告!
勝負は引き分け!喜んでいるのも束の間、女王様からある提案が……!?
ええ!?
第二十六話 チャンスですか?
お楽しみに!




