第二十四話 女王様、なんですか?
今この場はただならぬ緊張感が全員にあった。
その空気を誰も崩すことは許されない。そんな存在感だ。
立っているだけであの方の空間になる。こんなことは初めてだ。
そんな存在が、一歩、また一歩とこちらに近づいてくる。
心臓の音がうるさいくらい聞こえてくる。
これが、女王。
見つめていた地面に、きらびやかな赤い靴が映る。
き、きた……!
恐る恐る目線をあげると、あの美しい顔が目の前だった。
思わず息を飲んだ。ゴクリという音が聞こえるくらいには私は動揺している。
「その布は……なんですか?」
心臓が跳ねた。でも、答えなければ……!
「初めまして女王様。これは…… ロリータです。」
「ろりいた?」
「はい、この布はロリータという服です。
私とこちらのフィーはロリータを作る同士で、
今どちらのロリータが人気か皆さんに聞いているのです。」
「なるほど。お二人とも、顔をあげてくださる?」
言われた通り、私とフィーは顔を勇気を出して上げてみた。
青空みたいなブルーの瞳、真っ白の肌、漫画みたいなブロンドヘアー。
彼女こそ、女王。そう全てが物語っている。
「うむ……」
女王は私たちの周りをゆっくり歩きながら、丁寧にロリータを見ていた。
こんなにしっかり見られるのは嬉しいが、
とんでもなく緊張する!!!!!!!
張り詰めた空気でどうにかなりそうだ。
瞬間、息を吸う。
「綺麗ですね。これは。」
……え?
「ろりいた、綺麗ですね。
皆さんもそうお思いになって集まった。そうですね?」
国民達は口々に「そうです!」「私もです!」とやっと声をあげてみせる。
女王は私達の方へ花が舞うようにくるりとむきなおした。
その顔は少女のような、微笑み。
「私も、気に入りました。ろりいたを作っているのですね。
是非私にも作っていただきたいのです。」
「え!!!」
フィーが思わず声をあげた。
そりゃあそうだ。国の女王直々に注文が入ったのだから。
私だって滝汗が止まらない。
「もちろんでございます。女王様。
私共々、素晴らしいロリータをお作りいたします。」
「ナナミ!」
「よかったね!フィー!認めていただけたんだよ?」
「は…… はい!」
フィーから大粒の涙が出ている。
わかるよ、フィー。
誰かから認めてもらうのはとても難しくて、苦しくて。
それが叶った時は嬉しくて嬉しくて。
だから、今私も泣いているのだよ。
二人して泣いてしまう。
優しい女王様は私達に綺麗な刺繍の施されたハンカチを差し出してくださった。
「泣かないで。貴方達は素晴らしい方よ。
皆さんもそう思って集まっているのがよくわかります。
きっと貴方達はとてもここまで苦労されたはずだわ。」
「なぜそう思われたのでしょうか?」
「だって、そのろりいたを着てる方が多く見られるわ。
この国でそんな装いの人は居なかった。
でも貴方達は彼らにろりいたを身に纏わせた。
それだけの力のある人だわ。
貴方は世界を変えようとされているのよ。凄いことです。」
世界を、変える……?
私は周りを改めて見直す。
マロン村のみんな、ロリータを着こなしていて綺麗だ。
まだロリータを着ていないけど、興味を持ってくれた王都の人。
……本当だ。
この世界は変わってきているんだ。
それをしたのは私が始まり。
私の好きが世界を変えようとしている。
「女王様。ありがとうございます。とても光栄に思います。」
私は頭を深く深く下げた。
諦めないで、進み続けてよかったんだ。
「ナナミさん!」
リーリとスティーブンさんがわっと私に抱きついてきた。
こんな興奮した二人を見るのは初めてだ。
「私、私!嬉しいです!ナナミさんの事が認めていただけて……」
「僕だって……」
「二人とも…… ありがとう!」
「ナナミさんと言うのね、それとフィーさん。
こちらの薔薇はなんですか?」
「失礼します、女王様。フィー様の執事のグリスと申します。
現在お二人はどちらのロリータが素晴らしいかを国民のみなさまにお伺いしている最中なのです。
こちらの薔薇はその投票する為のものです。」
「ご丁寧にありがとう。お優しいのね。
……それは私も投票していいのかしら?」
場が騒つく。
女王様が、私達に投票を!?
次回予告!
女王様が私達に投票!?
一体どちらに投票するの!?
ついに決まるこの勝負!勝つのは……
第二十五話
勝負ありました!
お楽しみに!




