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30過ぎてロリータ着てますが、世界をオシャレに出来ますか?  作者: 大牧ぽるん


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第二十話 春色は何色ですか?


「ナナミさん、張り切ってますね。」

「えへへ、まあね。」

「まぁ勝ってもらわなきゃいけませんからね。僕らだって困りますから。」

「はい、そこはわかってます。」

「全く。絶対勝つロリータにしてくださいよね。」



あれからスティーブンさんはプリプリしてはいるけど毎日私を見に来て心配してくれてる。

リーリは変わらず応援してくれる。

村のみんなも私がいない間の業務をこなしてくれている。

こんなに信用された環境で有り難い。

そんな環境で今、私はブランドをかけたロリータを制作している穏やだが緊張感のある昼下がりだ。



真っ白な布を裁断していく。

この一枚の布が春をテーマにしたロリータになるのだ。

王都アニスで買った布はリーリの作る布と作りが違って、重量感のある布だ。



そういえば王都に行った時、久しぶりにあのボロ布を着た人を見たな……

みんな私とフィーをまじまじと見てて、ちょっとだけ東京で浮いていた自分を思いだした。

まぁ最初はそうなるかと今は思えるけど。目線が痛かったな。

でもフィーは堂々としていて凄いなと思った。

道中、道行く人に



「なんだあれ、恥ずかしくないのか?変だ。」



そう言われた時、私はやっぱり過去を思い返し立ち止まってしまった。

ここ最近ずっと自分に、ロリータを評価してくれる人ばかりだったから、

忘れられない過去がぐちゅっと音を立てて痛みだす。

しかしフィーはキリッと真っ直ぐその人の方へ向かっていき、堂々とした態度でこう言った。



「あら、褒めてくださってありがとう。これはロリータというものよ。覚えて頂戴。」

「あ、え?」

「いずれ貴方もこれを着ることになるわ。

その時は私、フィーを訪ねてくださる?最高の一枚をお作りいたしますわ。」



そこでは私は自分の保身で黙っていたエキストラだった。

だが、フィーはロリータを堂々と着ていてしかも誇りを持っている主役だ。

ブランドの看板を背負っているものとして、劣っている部分だと痛感した。



「フィー、貴方はかっこいいですね。」

「どういうことですの?」

「ロリータにも自分にも自信があります。とっても素敵です。」

「あら、でしたらナナミさんはもっとかっこいいですわ。

だってこの国の一部ではありますが、景色をガラリと変えてしまったんですもの。」



フィーは勝負を仕掛けてきたが、私を決して貶さない。

むしろ褒めてくれるし、評価もしてくれている。

私に経緯を示してくれているのだから、私も彼女に向き合わなければならない。



「フィー、いい勝負にしましょう。ブランドは渡せませんから。」

「ナナミさん。はい、精進いたしますわ!必ず、頂きます。ブランドを」



私は彼女を最初から同志だと感じていたが、更にその気持ちは強くなった。

だから、この一枚は大事に経緯を評して作っていかなくてはならない。

決意を固めて私はデザイン画通りに裁断を続ける。



「リーリ!!!つかれたーーぁ。」

「お疲れ様です。ナナミさん。紅茶入れましょうか?」

「嬉しい、ありがとうー。」

「リーリさんはまた甘やかして。ほらナナミさん、進捗みせてください!」

「ちゃんと進めてますよ!ほら。」



私は仮縫いされたロリータを見せる。

今回作ったのは着物から着想を得た、振り袖のワンピースだ。

相手が本気なんだから、私も何か挑戦したいと思ったこと、

重量感のある布だから、袖がしっかりある和装ロリータが映えると思い、決めたのだ。

負けられない勝負だからこそ、気合が入る。



「初めて見る形ですね。袖が長くて…… これも可愛いですね!」

「私がいた日本という国の服、着物はこういった形をしているの。

和装ロリータっていうもので、新しいものに挑戦してみたくて。」

「へ、へえ。面白いですね。確かに美しいですが。勝ってくださいよ!」

「スティーブンさん、そればっかり。本当に心配して言ってないのに。」

「リーリ!僕は本当に心配してるんですよ!?」

「ふふふ。最近のスティーブンさん、面白いです。」

「リーリィ!」




部屋の賑やかな声で、安堵すると同時にこの声を守りたいと思わせる。

大切な場所、私の仲間。

だからこの一枚に賭ける。



「楽しみです。勝負が。」

「実は私もです。」

「え?」



リーリはロリータから私に目線を写し、キラキラした目で言った。



「だって、王都の方々にナナミさんの素敵なロリータを見ていただけるんですから。

どんな風になるか、不安もありますが、今は楽しみが勝ってます。」



ふううっと息を吐き出しながら、スティーブンさんも横並びになり少し恥ずかしそうに言った。



「僕ばっかり焦ってバカみたいじゃないですか。」

「そりゃリーダーがいきなりブランド賭けた勝負受けてきたらそうなるかと。」

「……すみません。僕、ここが大事で。ロリータが好きで。

やっぱり、絶対負けてほしくなくって。プレッシャーかけちゃって。」

「大丈夫です。負けませんよ。」



スティーブンさんがやっとふにゃっとした笑顔になった。



「はい。信じます。」

「ナナミさんのロリータは負けません。

だって私達を無敵にしてくれたロリータを作った人なんだから。ね?」



信用の言葉。これが私のお守り。



フィー。

貴方に経緯を持ってこのロリータを。


次回予告!

ついに決着の時が来た!

王都で繰り広げられるロリータバトル!

果たして決着はいかに!?


第二十一話 決戦の時ですか?

お楽しみに!

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