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不穏
とある夜、少女は悪夢に苛まれていた。
目の前には、黒が広がっている。
どうしようもなく、恐ろしい。
足元にガラスの破片が転がっている。
逃げなくちゃ。
少女は走り出すが、何かにぶつかってこれ以上先に進めない。
足元に硝子の破片が転がっている。
怖い。
怖い。
悲しい。
目が覚めると辺りは真っ暗だった。
月明かりで照らされる髪も黒くて、何もかもが闇に呑まれてしまうような錯覚に襲われる。
何かが恐ろしいが、何が恐ろしいのかが分からない。
今しがた見た夢の内容も覚えてはいなかった。
とにかく怖いのが嫌で、電気を点ける。
今日も母親の帰りは遅いのだろうか、と、少女は涙を流した。
すると「何か」がそっと少女を包み込む。
少女に「何か」は見えないが、それでも何故か急に安心すると、頬に涙の跡を残したまま、眠りについた。
「何か」は祈るように窓の外を見つめてから、戸締りを確認しに行った。