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短編小説

嫌いな自分

作者: せいじ

 空気をよむのが、昔から苦手だった。

 人の気持ちが、分からなかった。

 だから、いつも、ひとりだった。

 仲間といる時も、恋人といる時も、いつもひとりだった。

 身体を重ねれば重ねるほど、ふたりの気持ちは遠くなってしまうぐらい。

 気持ちが昂れば昂る程、どんどん醒めてゆく。

 どんどん醒めてゆく自分を、そんな気持ち悪い自分を、見つめている自分がいる。

 僕は、そんな自分が嫌いだった。


 そんな僕のことを、君は好きだと言ってくれたね。

 でもね、そんな嫌いな僕を、好きだと言ってくれる君が、一番嫌いなんだ。

 君を見てると、一番嫌いな自分が好きになりそうだから。

 好きにならないと、益々嫌いになるから。

 君のことが。

 僕のそばにいる、それだけで嬉しいって、君は言っていたね。

 嬉しそうにしている君が、大好きで、僕は大嫌いなんだ。

 君をかわいいと思うほど、君を壊したくなる。

 全部、壊したくなるから。

 だから、僕は僕を嫌いになる。

 僕は、こんな僕が怖い。

 こんな怖い僕を、お願いだから嫌いになって。

 お願いだから、そばにいて。


 お願いだから、どっか行って。

 もう、そばに来ないで。


 僕のそばにいるなんて、言わないで。


 本当は、君が一番怖いんだ。


 君のその優しさが、僕を壊していくから。


 だから、僕の中の君を、壊すんだ。


 粉々になるぐらいに。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 作品のジャンル、ヒューマンドラマになっていますが、私は詩を読んでいるように感じながら読ませて頂きました。 語り手の相反する気持ちというか葛藤が良く分かる作品。 作品を読ませて頂きあり…
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