スーパーエリート有能司書(自称)のシル・クロード
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「アルカディネア帝国歴1348年。第20代目皇帝ライザラス・アカギ・アルカディネアの名に於いて命じる!今月に帝国院高等部に入学する第三皇女アイリスの護衛として3年間、帝国院高等部に同席せよ!」
「……………………ん?」
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俺の名前はシル・クロード。ただの平民…………いや、まぁ多少貴族の血を引いているが、6男という塵芥のような継承権であったし、ぶっちゃけ貴族のしがらみとか政略とか巻き込まれたくないため俺のことなんぞ微塵も興味がないであろう親父をあの手この手できょうは…………………説得して、今は立派な普通の平民Aである。
そんな俺は今年16になるベテラン司書。え?まだ子供じゃないかって?
嫌だなぁ、俺は司書歴4年のエリート司書。12歳のときから王立図書館の司書である。まぁ流石に王宮司書のように禁書などを扱うほどではないが、魔法の書など数多くの本を所蔵する帝国内最大級の図書館に務めている。
そしてエリート司書の俺は毎日本を読み、そして本を読んでいる。
え?そんなので司書を名乗れるのかって?チッチ、君たちは司書とは何かを分かっていない!
司書とは本来、本を読み、文を司り、本をより読みやすいような空間を作る!それこそが真の司書なのだ。実際俺は月に平民の平均年収程度のお金を給金として貰っているのだから、司書として正しいことをしているということだ。
「うんうん。俺ってば今日も素晴らしい仕事っぷりだな。」
「はいはい。馬鹿なこと言ってないで少しは手伝ってくれないか、シル・クロード」
「あっはは、やだなー、エレナさん。俺はめちゃくちゃ素晴らしい仕事っぷりを見せているじゃないか。そんな俺に他の何を求めて………………………ん??」
ナンデ、ウシロカラ、エレナノコエガ、スルノカナ?
「へぇ?素晴らしい仕事っぷりねぇ……………………じゃあスーパーエリートな君にはスペシャルな仕事を頼もうじゃないか。」
俺はギギギ、となりそうなほどゆっくりと首を後ろに回す。するとそこには、頭に青筋を浮かべた同僚がハリセンを持って仁王立ちしていた。
「や、やぁエレナ。本日も麗しゅう………………ヒッ?!」
「……………これ以上私を怒らせるなよ?まぁいい、クロード。皇帝陛下がお呼びだ。さっきと城に行ってこい。」
「え?嫌な予感しかしないから嫌なんだけど………………だからその顔怖いって!」
「私にぶち殺されるか、城に"今すぐ"行くか。選べ。」
「ハイ。あとで城に行ってきます!」
「今すぐだ!」
「ハイ!今すぐ行ってきます!」
せ、戦略的撤退!
俺は脳内でそう叫びながら、逃げるように城へと向かうのであった。
お、おかしい。俺はしっかり働いていたはずでは?
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シルが立ち去り少し静かになった図書館。そこにエイナは、一人佇んでいた。
「ハァ…………………全く。アイツはいつもそうなんだから。ま、今日からはもうこんな苦労しなくていいのだし、そう思えばいい思い出だったわ…………………後は任せたわよ。皇帝陛下。お膳立てはしてあげたんだから…………………………………少し、静かになってしまったわね。これからは私が……………よーし。仕事仕事!」
そう一人零したエイナは、何事もなかったように通常業務へと戻るのであった。
TT@@ee
マジック&ガールズの調子が戻るまでしばらくこっちをやります。けして更新しなくなるわけじゃないです。学校だるいよぉ( i꒳i )