プロローグ
私立帝晃学園高等学校。名前だけは強そうなこの学校が今日から僕の通う高校だ。偏差値は38、生徒の間では「底辺のテイコー」の名で呼ばれている。いやまじで憂鬱なんだけどぴえん。あー、ちゃんと中学時代勉強しときゃなぁ……。何となくで小中9年間所属してた野球部も万年補欠で高校に至っては野球部ないらしいし。新しい趣味でも見つけようかしら。ギターとか引けたらかっこよさそうじゃね?彼女も欲しいしなぁ。
そんなことを考えながら新しい通学路を歩いていたら僕の横を走り抜けていった男の顔が不意に目に入った。えっ……。まさかと思い走って後を追おうと考えた、がそんな考えはすぐに消えた。まさか彼がテイコーに来るだなんてありえない。そして僕の意識は彼が走っている理由にいく。進学祝いで買ってもらったApple Watchに焦って目をやると液晶の長針は始業時刻5分前を指していた。
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入学初日、始業時刻ギリギリに息を切らしながら教室に飛び込んでくるやつ。普通なら大注目間違いなしだっただろうが、入学式が始まるまでの時間、担任を含め教室中の人間の目線は3列目の1番前に座る端正な顔立ちをした男に向けられていた。それは彼の容姿をもっての事ではなく、いやたしかにめっちゃイケメンだからそういう目で見てるやつもいるかもしれないけど、彼自身のキャリアがそうさせていた。点呼の時にその名前で呼ばれたから間違いない。さっき僕の横を走り抜けていき、今皆から注目を浴びているあの男は『小学生クイズ王』で6連覇を果たした直後メディアから姿を消した【神童】、皇大知その人であった。