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「勇者」として異世界に召喚された僕の物語

作者: ハヤテ

 あらすじでも書きましたが、初めての投稿作品です。

 ここから全てを始めようと思っています。


 それは、僕が高校生の時のことだった。


 「ようこそおいでくださいました、勇者様」


 目の前にいる「お姫様」を思わせる、豪奢なドレスを身を包んだ金髪碧眼の女の子(後で本物のお姫様だと教えてくれた)がそう言ったのに対して僕は、


 「なんでやねん」


 とりあえず、ツッコミを入れることにした。


 えー、気を取り直して……皆さんこんにちは、僕の名前はヒロ。日本に住むごく普通の高校2年生なのですが、どうやら僕は、その日本とは違う次元にある異世界に「勇者」として召喚されてしまったみたいです。


 ツッコミを入れてから数分後。ようやく冷静になった僕は、同じく冷静になったお姫様から、なんで別の世界で暮らす僕をこの世界に召喚したのか、その理由をきくことにした。

 お姫様曰く、現在この世界は「魔人族」と言う強大な力を秘めた存在と、彼らを統率する「魔王」によって滅亡の危機に陥っているという。魔王は強力な軍隊を従えて世界各国へ侵攻を開始し、その全てを制圧。お姫様の両親である国王と王妃様も、それに巻き込まれて死亡している。そしてとうとうお姫様の住むこの国へ狙いをつけたので、それを阻止するために王家に代々伝わる「勇者召喚」の儀式を実行。その結果、僕が勇者として選ばれ、この世界に召喚されたというわけである。


 「なるほど、よくわかりました」


 事情を全て理解した時、次に僕の口から出たのは、


 「お断りします」


 はっきりとした「NO!」の意志だった。


 正直言って、彼女達の話は信用できない。

 もしも敵が異次元とか宇宙からの侵略者だったら、ちょっとは考えたかもしれない。放っておけば僕の住む世界にも攻めてくる危険があるかもしれないからだ。でも、敵はこの世界で生まれた存在だ。それならこの世界の問題で、この世界の住人たちが解決するべきである。異世界の人間に解決させようとか、マジであり得ない。ていうか、僕自身、そんなヤバい存在となんか戦いたくないし、かかわりたくもない。


そんな気持ちを正直に言ったら、


 「そんなことを言わずにどうか私たちを助けてください、お願いします!」


 なんて、お姫様や大臣、神官や騎士、さらに多くの兵士たちが土下座をするかのような勢いで頼み込んできた。ついでに「元の世界に帰せるのは私たちだけです!」とも言いやがった。


 そんなやり取りの末、結局僕は仕方なく勇者を引き受けることにした。翌日、僕はお城の騎士たちと一緒に魔王を倒すための訓練を開始した。どうやら勇者として召喚された僕には、それにふさわしい「能力スキル」が備わっているようだ。しかしあまりにも大きすぎる能力だったので、最初は使い方に慣れるのに苦労したけど、時が経つにつれて次第に使いこなせるようになった。

 さらにその能力を最大限に引き出せるように、専用の武器を作ることになった。武器の形はもちろん、勇者らしく「剣」だ。材料を集めるのにすごく怖くて大変な思いをした。


 それから半年の月日が流れ、勇者としての準備を終えた僕は現在・・・・・・魔王と一緒に王国に攻め込んでいた。


 王城内、謁見の間にて、


 「な、なぜですか勇者様!?」


 腰を抜かして怯えるお姫様に、魔王を倒すために作った剣を突き付けながら、僕は答えた。


 「お前達が『悪』だからだよ」


 勇者を引き受けたけど、なぜかお姫様達を信じることが出来なかった僕は、訓練の合間に怪しいところがないか調査をすることにした。それから幾日か経って、大分自分の能力を使いこなせるようになったその夜、ついに僕は知ってしまった。


 お姫様たちの目的、それは、魔王と魔人族を滅ぼして、彼らの持つ優れた技術と、彼らの国にある豊富な資源を手に入れて、それを使って世界を我が物とすることだった。そのために邪魔な存在である他の国々を滅ぼし、さらには自分の両親まで殺害して、その全てを魔王の仕業にした。その後、勇者召喚で僕を召喚して魔王を抹殺し、その後は僕をもとの世界に帰さずそのまま奴隷、もしくは暗殺するという。


 真実を知った僕は、その日のうちに王国を飛び出して、魔王がいる「魔人族の国」に向かった。普通に行けばかなりの距離があるけど、僕には訓練で鍛えた魔法の力と勇者としての能力があったおかげで少ない日数で行くことが出来た。

 たどり着いた魔人族の国は、お姫様が言っていたような邪悪な雰囲気はなく、むしろ王国以上に発展していて、住んでいる魔人族の人たちもとてもいい笑顔をしていた。その後、国の中心である魔王の城で、僕は「彼女」に出会った。


 そして現在、僕はその「彼女」ーー魔王と共に、王国に攻め入ってお姫様を追い詰めている。


 「そ、それはデタラメです、勇者様! あなたは魔王に騙されているのです!」


 あくまでもしらを切るお姫様に対し、僕は


 「『証拠』はあるよ。いや、『証人』って言えばいいのかな?」


 そう言って、謁見の間にとある2人の人物を招き入れた。

 その二人の顔を見て、お姫様は顔を真っ青にする。


 「久しぶりだな、わが娘よ」

 「元気そうでなによりだわ」

 「お、お父様? お母様?」


 そう、現れたのは、死んだハズのお姫様の両親。すなわち、国王様と王妃様だった。


 実は国王様と王妃様は殺される寸前、魔王によって助けられ、犯人側(この場合はお姫様)を油断させるために、自分達は死んだということにしていたのだ。


 勇者の裏切りと両親の生存で、お姫様は気が狂ったかのように喚き散らすが、最後は兵士たちに取り押さえられ、城の地下牢へと連行された。その後、僕と魔王と国王様は、野望に加担した貴族やら騎士たちやらも残らず捕まえて牢屋送りにした。


 こうして、悪いお姫様による世界征服の野望は阻止され、僕と魔王と国王様は協力してお姫様が滅ぼした国々を復興させた。お姫様は世界を混乱に陥れた罰として、王位継承権を剥奪されて国外へ追放されたそうだ。詳しい場所は興味がなかったので聞かなかった。処刑じゃなかったのは、たぶん親子の情がわずかに働いたからだろう。その後、僕は送還の儀式で故郷の日本に帰った。異世界では半年の時を過ごしたが、こちらでは数分しかたっていなかったという事実には多少だけど驚いた。結構濃い日々だったなと感じてはいたけど、「ま、別にいいか」と思い、すっぱり忘れることにして、また元の高校生の日常に戻った。


 そんなわけで、これで僕の話はお終い……のはずだったんだけど、なぜかこの時から僕は妙な事件に巻き込まれまくるわけで、お姫様が異世界から復讐にやってきたり、別の異世界に召喚(拉致)されて大冒険をする羽目になったり、帰ってきたと思ったら最初の異世界の魔王様が家に来ちゃったり、しまいには宇宙戦争にまで参加させられたりするのだが、それはまた別の話。


 


 


 

 


 


 


 


 



 

 



  


 


 




 

「お姫様、ヒロインと思ったら悪役でした」という話でした。

主人公のその後の話ですが、きちんとしたストーリーができ次第、そちらも短編として投稿したいと考えています。

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