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第8話「迷路の試練」

 お久しぶりです、オロボ46です。

今回はいよいよ二つ目の試練へと挑みます。ただ、一人だけ様子がおかしいようですが......?


 それでは、どうぞ。

「......ここが......迷路......?」

屋敷の庭の迷路の入り口へとやって来たメコは入り口の周りを見渡している。

「ええ、ここから入って、向こう側の出口に"緑色の勾玉"がおいてありますわ」

後ろで住職の女性が再び説明をする。

「前の探求の試練よりかは単純ではないけど......頑張りましょう!」

「離れないようにすれば難しいことはないはずだ」

「迷路の本なら子供の時から読んでいたっす!!」

他の三人が意気込んでいる中、一人だけ不安そうに周りを見渡している者がいた。それに気づいたリボンは心配そうにその人物を見た。


「ねえ、大丈夫......? カスピさん......」


「え? あ、ああ......大丈夫ですよ......ハハハ......初めての狼寺の試練に少し緊張していたのでしょうなあ......ハハハ......」

リボンに心配されたカスピはすぐに作り笑顔を見せた。しかし、額から流れた汗を拭く余裕もないようだ。


「あら、いけない......忘れるところでしたわ。そこの狼人間のお嬢さん、渡したい物があるので、少しの合間だけ手を出してくださる?」

「......?」

メコは住職に言われたように両手を広げた。住職はポケットから笛を取りだし、メコの手に丁寧に置いたあと、その手を優しく握った。

「もし何か危険な目にあったり、もう無理だと思ったりして試練を中断したくなった時はこの笛を吹いてくださいな。私が入り口まで誘導させていただきます。その場合はまた入り口からやり直しになりますけどね。フフ......」

「......!!」

住職の笑いに、カスピはまるで恐怖心を抱くように身震いした。

「それでは、私は屋敷の部屋の窓からあなた達を見させていただきます。ご健闘をお祈りしますわ......」

住職は屋敷の入り口へと歩いていった。


「"迷路の試練"の......開始ですわ......」




「......」

迷路の中、地面の匂いを嗅ぐ狼の姿のメコ。その後を四人は続いている。

「メコの匂いを嗅ぎわける特技で勾玉の匂いを嗅ぐ......

これ、下手すれば探求の試練よりも簡単じゃないっすか?」

ロックはあくびをしながらメコを見た。

「まだ油断しちゃだめよ。カスピさんも警戒しているじゃない」

リボンの言葉にカスピは驚いた表情を見せた。

「ね? カスピさん」

「あ......ああ、そうですな......ハハハ......」

「......なんだかメコちゃんのように震えているっすね......」


 しばらく歩いていると、メガネが急にカスピの方を見た。

「思ったのですが......あの住職も狼人間ですよね? それなら特技を持っていると思うのですが......カスピさんはわかりますか?」

「......」

カスピは答えなかった。

「確か、カスピさんは狼人間の特技も見抜くことができるのでしょ?」

「そういえば、あの人の特技が気になっていたところっす! カスピさん、何か知っているっすか!?」

前でメコが匂いを嗅ぎ続けているのに、三人はカスピの顔をじっと見続けている。それに堪忍したのか、カスピはため息をついた後、口を開いた。


「すみません、あの時、恐怖であの人を見分けることができませんでした......」




 屋敷の中、住職の女性は窓から迷路を歩いているメコたちを見ていた。彼女の手元には水筒が握られている。

「あの狼人間のお兄さん、とても不安に思っているようですわね......」

そう呟きながら水筒の蓋を開ける。

「そろそろ、驚かせましょう......」

住職は水筒の中の水を口に入れながら窓を開けた。そして体を狼の姿を変え......


 窓の外へ煙を吹き出した。



「あたしは、自分よりも大きく優れている人とわかると弱気になるんです」

迷路の中、カスピは三人に事情を説明していた。その額からは汗が流れている。

「とにかく敵いそうにない相手とは、なるべくトラブルを起こさないように、避けていたのですよ……」「そうだったんすか……」

ロックは申し訳なさそうにうつ向いている。

「カスピさんにも、事情があったのですね……!? な、なんだ!?」

突然、メガネが足元を見て叫んだ。


 足元から煙のようなものが現れ、三人を包み込み、周りが霧のように見えなくなってしまった。


 霧に包まれた三人は若干パニックになったように慌てていた。

「これは霧か!? 周りがよく見えないぞ!?」

「こ……これだっだのか……あたしが恐れていた特技は……」

カスピは先程よりも大きく震えている。その時、ロックは重大な事実に気付き、うっすらと映っている二人の顔を見た。


「そ、そういえば……リボンさんとメコちゃんはどこへ行ったんっすか……!?」

 いかがでしたか?

強い者を避けようとしていたカスピ......そういえば、似たような方がいたはずですよね......?


 次回もお楽しみに!

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