第7話「狼寺はこの屋敷に......?」
こんにちは、オロボ46です。
今回からタイトルを変更しました。
今回は次の狼寺へ目指しますが......なぜか一人多いようですね?
その理由を聞いてみましょう。
それでは、どうぞ。
コミュニティの門から出てきたのは、リボン、メガネ、ロック、メコ......そしてカスピだった。その表情には非常にわくわくしているように感じられる。
そんなカスピを見て不思議に思ったのか、リボンは口を開いた。
「それにしても、どうして私たちに同行したいと思ったの?」
「狼寺の噂は耳に入っていましてねえ......何か商売になりそうだと思ったのですよ。ただ、あたしはまだ参加したことがなくて......そこで、狼寺を巡るメコさんたちについていけば、アイデアが生まれるんじゃないかと思いましてね」
「商売魂......というやつっすか?」
「まあ、そんなところですわ。ついていくのは一件だけですので気にしなくても大丈夫ですよ」
「一件だけ......」
メコは少し残念そうに呟いた。
「メコは結構カスピさんを気に入っていたみたいだね」
メガネはカスピの側にいるメコを見た。
「そういえば人間への恐怖心はあるようですが......狼人間に対しては人間の姿でも平気なのですかな?」
「......うん......狼人間なら......少し落ち着くから......でも......人間とも慣れないと......」
「ほう......では、少し聞いてもいいですか......? なぜメコさんは人間への恐怖心を乗り越えようと思ったのですかな?」
「......」
メコはその質問には答えなかった。
五人は歩き続け、ついに目的の狼寺の近くまでやって来た......のだが......
「......寺なんてどこにもないっすよ?」
ロックが疑問に思ったのは無理もない。五人の目の前にあったのは、探求の狼寺のような寺院ではなく、大きなお屋敷だったのだ。
「でも、地図によれば確かにここなんだけど......」
「ねえ、あれは何かしら?」
リボンが指した方向には看板のような物があり、そこにはこう書かれていた。
"迷宮の狼寺"
「......ここで......間違いない......」
「本当かなあ......?」
メコの確信した声を聞いても、メガネはまだ信じられない様子だ。
それを見たカスピは思い出したように手を叩いた。
「確かこんなことを聞いたことがあります。狼寺は寺院だけではなく、どんな建物でも狼寺と名乗っていいそうですよ」
「結構アバウトっすね......」
ロックはこっそりと呟いた。
ゴンゴン
「すみませーん!! 誰かいますかー!?」
扉をノックして叫ぶリボン。
......
しばらく沈黙が続いたのち、リボンは恐る恐る扉を開けて見た。中は古くささがちょうどいい印象を与える玄関がある。
「......」
メコは狼の姿で室内へと入って行った。そして、匂いを嗅ぐ素振りを見せた後、人間の姿でリボンたちの元へと戻ってきた。
「......誰かの......匂いがする......」
「だって私が住んでいるんですもの」
その女性の声はリボンではなく、メコのでもなかった。メコの後ろ......そう、屋敷の玄関に立っている女性の声だった。
五人は女性に一室の部屋に案内された。
「それでは皆さん、座ってくださいな」
そう言っている女性の目は、狼の目だった。メガネはそれに気づいたようだ。
「......もしかして、あなたがこの狼寺の住職さん?」
「ふふっ、そうですわ。ここは"迷宮の狼寺"。廃墟となった私の祖父の家を利用させてもらっているのですよ。少し広すぎて掃除が行き届いていないのが欠点ですけど」
部屋の中には、所々ホコリが溜まっていた。
五人は住職の女性と向かい合うようにソファーに腰かけた。
「あなたたちはこの狼寺の試練を挑戦しにいらっしゃったのですね?」
一斉に頷く五人。
「それでは、この試練について説明させていただきます。この屋敷の庭に祖父の趣味で作った迷路があります。そこを無事に通り抜けることができれば合格です。他に質問はありまして?」
「はい」「はいっ!!」
手を上げたのはリボンとメガネの二人だった。
「それじゃあそこのお兄さんから......」
「お、お兄さんさんなんて......照れるっす......それはともかく、その迷路は生け垣(樹木を植えてできた垣根)で出来ているんっすか?」
「半分正解ですね。祖父の生け垣はプラスチックで本物そっくりに作ったものです。そちらのお姉さんは?」
「あの、この狼寺は狼人間の特技を使ってもいいのですか?」
「それは......どんな特技かにもよりますので......そちらの狼人間の方たちの特技を教えてくれませんか?」
「......」
メコは少し緊張していたが、リボンが教えてくれた深呼吸をした後、口を開いた。
「......あたし......どんな匂いでも......嗅ぎわけれる......」
「あたしは人や物の価値を見抜くことができますよ」
二人の説明を聞いて住職は少し考えていたが、安心したように頷いた。
「それなら大丈夫です。私の特技の支障とはならなそうですから......」
いかがでしたか?
次回は二つ目の試練へと入っていきます。それにしても、なぜか自分の特技を気にしている住職の女性ですが......?
なお、明日から1月24日(木)まで用事があるため、次回投稿できるのが1~2週間後ほどかかります。
次回もお楽しみに!