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第5話「コミュニティ」

 こんにちは、オロボ46です。

今回は人々が集まるコミュニティへと向かいます。

 それでは、どうぞ。

 鉄の壁が遠くに見えてきた。

「お、見えて来たっす!」

「あの鉄の壁の内側に、人々が集まるコミュニティがある」

メガネは鉄の壁に向かって指を指す。

「でも、本当に大丈夫なの?」

不安に思ったリボンはメガネに訪ねた。

「前にも行ったことあるだろう? 念のために門番に聞くけど、確か狼人間でも大丈夫だったはずだ」

「うん......でも......」

リボンはメコの方を見た。メコは怯えるように震えながら歩いている。

「メコちゃんは大丈夫なの? 外で待っててもよかったんだけど......」

「う......うん......大丈夫......頑張って......みるから......」

それでもメコの震えは止まらなかった。


「ん、旅の者か?」

入り口の門の前の門番が訪ねた。その後ろの鉄の壁は、だいたい4m程と思われる。

 一行を代表して、リボンが前に出た。

「ええ、食料の補給と物資の交換に来ました。時間がかかるようなら一晩だけ滞在する予定です。あとそれから......彼女が狼人間なのですが......」

「フム......?」

そう言いながら門番はメコの前まで近づいて行った。

「......」「ヒッ!?」

じっと睨む門番に驚いて、メコは目を見開く。

「確かにこの目は狼人間だな」「......」

門番は納得したように頷いてから門の前まで戻った。


「実は先日、狼人間の商人がこのコミュニティに訪れた。狼人間に詳しい学者が建てたこのコミュニティでは素直に受け入れたが、みんなもの珍しい目で見ていて、ちょっとした有名人になっている。先を急いでいるなら早めに用事を済ました方がいいぞ」




 四人は、コミュニティの中へと足を踏み入れた。中には多くの人間が暮らしており、非常に活気に道溢れていた。

「久しぶりねえ......」

リボンは懐かしそうに辺りを見回す。

「俺が狼人間についての情報を初めて知ったコミュニティっすよ」

「確か驚きの声で苦情が来ていただろう?」

メガネはロックを見て笑っていた。

「......」

懐かしむ三人とは対象的に、メコは足を震わせながら歩いていた。

「メコちゃん、大丈夫?」「......」

リボンに聞かれてもメコは答える余裕がない様子だ。

 その時、四人と反対方向から一人の人間がやってくる。その人間はすれ違う時に、メコの目をしっかりと目撃し、大慌てで来た道を戻って行った。


「あの人、狼人間だ!! この目で確かに見たんだ!」

メコを目撃した人間は他の人間に話し始めた。

「本当!?」

「あの"カスピ"という商人はなかなか狼人間について話してくれなかったからなあ、あの子ならいろいろ知ることが出来るかもしれない!」

人間たちはメコに向かって全速力で走り始めた。


「!!?」

メコは走ってくる人間たちを見て思わず全身を狼の姿にしてしまった。

「な......何かしら......」「新しいお祭りかな?」

リボンとメガネは慌てて横に避けた......が、

「あれはきっとサインを求めているっす! 俺たちも顔が広くなったわけっすね!!」

ロックはその場で身だしなみを整え始めている!!


ドンッ 「あひいいい!?」

そしてあっさりと押し退けられてしまった......


「ロックくん、大丈夫!?」

リボンは倒れているロックを起こした。

「いててて......どうやら、人気者はメコだけっすね......」

メコはすっかり、人々に取り囲まれていた。





「とりあえず宿を確保()()()()()()()のはいいけど......」

地下駐車場の宿で、リボンは隣のメコの方に顔を向ける。


 メコは狼の姿のまま横たわっていた。

「すっかり伸びちゃっているっすね......」

「あんな数の人間に囲まれたんだ。気を失っても仕方ないさ」

「それにしても、話を聞いてくれる人々で助かったわ......さすがに宿まで押し掛けてこないし......」

そう三人が会話していた時だった。

「少しお尋ねしますが、どんな匂いでも嗅ぎわけれる狼人間はいますかな?」


「......」「......」「......」

三人は黙ったまま互いに顔を見合わせていた。やがて最初に口に出したのは、メガネだった。


「なぜ、メコの特技を知っているんだ......?」




 しばらくしてメコは目をゆっくりと開けた。

「あ、気がついた見たいっす!!」「!!」

ロックの声が聞こえて驚いた狼の姿のメコは、震えながら後退りした。

「ギャン!!」

そして、後ろにいる何かを踏んでしまった。

「ああもう、痛かったなあ......」

後ろを振り向くと、上半身から人間に戻っていくだった狼人間がいた。

「狼の姿にすれば落ち着いて話を聞いてもらえると思ったら、まさか尻尾を踏まれるなんて......」

そう言いながら、残りの下半身も人間の姿へと変えていく。


 メコは慌てて人間の姿へと戻った。

「......ごめんなさい......つい......驚いちゃって......」

「まあ、気にせんといてください。後ろに寝そべっていたのも悪かったですし」

その狼人間は、丸々と太った男性の姿をしている。

「メコちゃん、この人はね......」

「いえ、ここはあたしに紹介させていただけないですか?」

リボンが紹介しようとしたのを、狼人間の男性は止めた。


「あたしは"カスピ"という者です。

この価値を見分ける目を使って、商売させてもらっているのですよ」

 いかがでしたか?

価値を見分けれる目を持つカスピ。

彼はなぜ、メコの特技を知っていたのでしょうか......?


 次回もお楽しみに!

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