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第3話「探求の試練」

 こんにちは、オロボ46です。

今回は最初の狼寺の試練に挑むことになります。

それでは、どうぞ。

 満月の夜は過ぎ、朝日が寺院を照らした。

「......」

最初に目を開いたのは、メコだった。

眠い目を擦り、「ふあああ......」とあくびをする。

そのあくびで上半身が一瞬だけ狼の姿となったりもする。

「......ひっ!!!」

そばで寝ているリボン達を見て、目を見開いた。

「そ......そう言えば......この人間たちと一緒に行くことになってたっけ......」

メコは昨晩の事を思い出したような表情を浮かべ、後悔したようなため息をついた。




 残りの四人が目覚めた後、住職はリボンたちの前に立った。

「それでは、この寺の試練を始めるとするかのう」

「試練と言っても、滝に打たれるとか、断食(何日も食べない)したりとかしないっすよね?」

「単なるお遊びだから安心せい。まあ、狼寺の住職によるがな。わっはっは!!」

「......で、ここはどんなことをすればいいんですか?」

「ふむ......以外とドライなんじゃな。それじゃあ、説明するとしようかのう」


 住職は昨晩見せた勾玉を取り出し、もう一度四人に見せる。

「今から"コレ"をこの建物のどこかに隠す。それを見つけるだけじゃ」

「つまり、ごく簡単な宝探しということね。メコちゃん、すぐに見つけちゃいましょう!」「......あ......うん......」

突然リボンに話題を降られて、メコは戸惑った。


「それでは......」

住職は勾玉を手に取り、それを掲げた。

「......!」「......!」「......ゴクリ」「......」




「探求の試練、始めええ!!」




「......あ、後ろ向いて60秒数えてね」

住職に言われて四人は後ろを向いた。

「......そこは隠してからいうセリフっすよね?」




「ねえ、そっちにはあった?」

60秒立ってからしばらくしてから、リボンはメガネに呼び掛けた。

「いや、見つからない。結構簡単だと鷹を潜っていたのがいけないね」

「そう言えば、ロックくんとメコちゃんは?」

「ロックは向こうの部屋を探しているよ。メコは......どこに行ったんだろう......?」


「なかなか見つからないっすね......」

隣の部屋で、ロックは畳の下まで調べていた。そのそばには住職の姿もある。

「まあ、簡単に見つかるもんじゃないわい」

「少し気になったんっすけど、隠す場所は毎回変えているんっすか?」

「まあ、わしの気分次第じゃな。ところで、あの狼人間はどこに行ったのじゃ?」

「あ、メコちゃんなら......」

ロックは廊下の方を指した。そこには鼻で匂いを嗅いでいる狼の姿のメコがいた。





「リボンさん、メガネさん、そっちはどうっすか?」

リボンたちの部屋へロックが戻ってくる。

「全然ダメだ、そっちは?」

メガネが聞くと、ロックは首を降った。

「後はメコだけだね......」

そう噂していると、メコが人間の姿で戻ってきた。

「メコ、見つかった?」「......」

メコは何かを言いたそうにしていたが、なかなか言い出せないようだった。

「どうしたのじゃ? 勇気を出して言ってみなさい」「......」

住職が話しかけても、メコが言い出すことはなかった。


「スウ......」

誰かが、大きく息を吸う音が聞こえる。

「ハア......」

息を吐いたのは、リボンだった。

「緊張していたら、深呼吸するのが一番よ」

リボンの言葉を聞いて、メガネとロックは納得したように頷いた。

「......」

メコは戸惑いながらも、リボンの真似をした。

「......スウ......ハア......」


 しばらく深呼吸をしていたメコは、ロックを見つめていた。

「お? 俺の顔に何かついているっすか?」

「......匂う」

メコは真顔で言っている。

「......ん?」

「その......ポケットの......中......から......」

ロックは言われたままにポケットに手を入れた。


「......あ、あった」

ポケットから出てきたのは、勾玉だった。




「......まさか、あの60秒でロック君のポケットに入れたの?」

リボンはメコの金色のわっかに掛けられた一つの勾玉を不思議そうに見ている。

「でも、全然入れられた感触はなかったっすよ?」

そう主張するロックを見て、住職は笑みを浮かべていた。

「......そうか、思い出した!!」「ヒッ!?」

メガネが思い出したように叫んだ。


「人間の姿を持つ狼人間は......それぞれ変わった特技を持っているって

聞いたことがある......あなたの特技はなんなのですか!?」

「わっはっはっは!!」

住職はいつもの笑いを見せた後、説明を始めた。

「わしが狼の姿の時の尻尾は、誰にも気づかれないほど静かに動かすことができる。しかし、匂いで探しあてられたのは初めてじゃのう......」

そう言いながら住職はメコの方を見た。

「......ごめん......あたし......その......どんな匂いでも......嗅ぎ分けれる......から......」

「もしかして、もうわかっていたの?」

メコはコクリと頷いた。

「どうやら、すぐに見つかってしまうのは申し訳ないと思って探している()()をしていたのじゃな。でも、勇気を出して言えたから十分合格じゃ」

そう言いながら住職はメコに向かってウイングした。




 寺院の外から出てきたメコは、空を見上げていた。

「お母さん......あたし......人間のことが好きになれるかな......」

そう静かに呟きながら......

「メコちゃん?」「ヒッ!?」

突然リボンに呼び掛けられて、メコは驚いた。

「これからも一緒に頑張ろうね!」

「確か次の狼寺は東の方角だったっけ」

「ま、のんびり行こうっす!」

三人はメコに笑顔を向けていた。

「......」

メコは静かに頷いて、三人の後をついていった......

 いかがでしたか?

いよいよ狼寺を巡る旅が始まります。

次の狼寺を目指して東へと向かった4人を待つものは......?


 次回もお楽しみに!

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