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第2話「人間を恐れる狼人間」

 こんにちは、オロボ46です。

今回はとある寺院の所から始まります。

三人が避難してきた狼寺と呼ばれる場所とは一体なんなのでしょうか?


 それでは、どうぞ。

「ごめんなさい、気を失っちゃって......」

リボンが恥ずかしそうに頭をかいている。

「いやいや、わしが脅かしたのが悪いのじゃよ。ところで、その子はまだ起きないのかね?」

住職は時々、横たわる狼の姿をした少女をチラリと見ている。

「ええ......そうみたい......何かしらこれ?」

リボンも狼人間の少女が首にかけている"わっか"が気になったようだ。

その"わっか"はチョーカーにしては大きく、金色に輝いていた。


「......?」

やがて、狼人間の少女が瞼を上げた。

「あ、気がついたみたいっす!!」

ロックがそう叫ぶと、他の者も少女の方を向いた。

「......!!」

狼人間の少女は急に耳を立て、その場から走り出してしまった。

「あ、逃げて行った......」

メガネが唖然と見ていると、隣の住職は狼の姿へと変わり、その後を追って行った。



 やがて、住職は一人の少女を連れて人間の姿で戻ってきた。その少女は、リボンとロックが道路で見た姿だ。ただ、目だけは人間ではなく、狼の瞳だった。

「これこれ、この人はお前さんを連れて来てくれたのじゃよ」

住職は後ろで震える少女をなだめていた。

「ねえ、君......」「ヒッ!!」

リボンが話しかけようとすると、少女は目を見開くほど驚いた。

「大丈夫、怖がらないで......」「......」


「私の名前は"穂先 鈴(ほさき りん)"。リボンって呼んでね。あなたは?」「......」

少女は住職の前に出て、恐る恐るリボンに近づいていく。

「......"メコ"............」

「メコって言うの? いい名前ね」

リボンはメコという少女の手に触れようとした。

「......!!」

ところが、メコはいきなり手を狼に変えて引っ込めた。

「メコちゃん?」「触らないで......」

困惑しているリボンを見て、住職が口を開いた。

「どうやら、この子は人間に対して恐怖心を抱いている。その恐怖心を克服するために各地の"狼寺"を巡り始めたそうじゃ」

その言葉を聞いて、メコは頷いた。




「さっきから思っていたんですけど、狼寺ってどういうところなんっすか?」

ロックが思い出したように住職に訪ねる。

「ああ、今から説明するとしよう」

そう言いながら住職はその場で正座した。


「狼寺の始まり......それは世界中で人間が狼になる現象がおき始めたころから、

両方の姿を持つ狼人間たちが......」

「......」「......」「......」「......」


「気分転換に始めたものじゃ」


「......え?」「......ん?」「......は?」「......」

「どうしたんじゃ? 何か不満か?」

変な空気に包まれた寺院の中で、メガネが手を上げた。

「本当に、それだけですか?」

「ああ、人間にとってはわしらは恐怖の対象じゃからのう。隠れて暮らしているのに飽きたんじゃ」

「重い話しなのか、軽い話なのか、よくわからないっすね......」

ロックの呟きに、住職はまた「わっはっはっは」と笑顔を見せた。




 リボンは一つ咳払いをした後、質問をした。

「それで、狼寺って何するところなの?」

「まず各地の狼寺に訪れ、そこで簡単な試練を受ける。そしてそこの住職からこれを受けとるんじゃ」

住職が取り出したのは黄色の勾玉だった。

「試練って......まるで何かの修行みたいっすね」

ロックが勾玉を見つめながら呟いた。




「あの......」

メコが呟いた。しかし、三人は反射的に振り向いてしまったため、また黙ってしまった。

 どう切り出せればいいのか迷ったメコが住職の方を向いていると、住職が笑顔で頷いた。

「先ほど話をしたのじゃが......この子は人間と共に行動したいと言っておった」

「え? でも、メコちゃんは......」

不思議に思うリボンを見て、メガネが「ああ」と思い出したように手を叩いた。

「さっき恐怖心を克服するためって言っていたよね」

「あ、そっか......」


「......あの......五ヶ所だけでも......いい......一緒に......来て......ほしい......」

メコは緊張しながら三人を見つめている。

「......」「......」「......」

三人は互いに顔を見合わせて、頷いた。

「もちろん、私たちも一緒に行くわ」

「五ヶ所ぐらいだったら気軽かな」

「ちょうど行き先も決まっていなかったし、大丈夫っすね!」


「え......あ......その......」

あまりにも呆気なく応じてくれたことに戸惑ったのか、なかなか言葉が出ない。

「う......え......あ......あり......」


グウウウウウウ


「......」「......」「......」「......」

「......き......昨日......から......その......食べていなくて......」




ガツガツガツガツッ!!


 メコは三人にもらった缶詰めの中身を必死に食べていた。あまりにも必死過ぎて、口だけが狼になっていたことも何回かあったほどだ。


「さっき倒れていたのは、お腹が空いていたからみたいだね」

「そういえば俺たちもまだ食べていなかったすね。何か食べるっす」

ロックとメガネは、各自のバックに残っている缶詰めを取り出した。

「これからよろしくね。メコちゃん」

リボンはメコに向かって微笑みながら、缶詰めを手に取った。

 いかがでしたか?

次回はいよいよ最初の試練が始まります。

お楽しみに!

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