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第1話「三人の若者たち」

 こんにちは、オロボ46です。

今回はどんな作品にするか悩んでいたので、前回からずいぶん間が空いてしまいました。

また、前回予告していた物とは別作品となってしまい、すみません......


 今回のお話は、狼人間をテーマとしたロードムービーです。

それでは、どうぞ。

 車が一台も見かけない夕暮れの道路。

その上を徒歩で必死に走る三人の若者の姿があった。

「ねえ、もうすぐ日が暮れちゃうよ!?」

一番前を走るリボンを着けた女性が叫ぶ。

「あと三十分と言ったところかい!?」

メガネをかけた背の小さい男が沈む太陽を見て言った。

「つべこべ言わずにとにかく走るっす!!」

非常に体格が大きい男は非常にたくさんの荷物を背負いながら走っている。

「急いで!! 今日は()()よ!!」

三人は、荒廃した世界の上を必死に生き抜いていた。


「ッ!!」

リボンを着けた女性が立ち止まる。

「"リボン"、どうしたんだい!?」

「こんなところで立ち止まっていてはダメっす!!」

「ごめん!! 先に行ってて!!」

先走る二人にそう伝え、リボンというそのまんまな名前で呼ばれた女性は、

そばに倒れている一人の少女を見た。




 その少女は、十五~十八歳ぐらいだと思われる体格なのに、とても神秘的で色気のある雰囲気を出している。

 そのせいなのか、リボンですら少しの間、少女の顔を見つめていた。

「......こうしている場合じゃない、早く連れていかないと......!!」

リボンが少女を起こそうとした時、

「おおーい!! リボンさーん!!」

向こうから大きい体格の男がやってきた。


「さっき、"メガネ"さんがお寺のような場所を見つけたらしいっす!!」

「本当!? そうだ"ロック"君! この子を運んでもらって大丈夫かしら?」

そう言いながらリボンは、倒れている少女をロックに見せた。

「おっ、結構可愛いっすね......と言っている場合じゃなかったっす!!

全速力で走るっすうううううううううううう!!!」

ロックは少女を担ぎ、走り出す。リボンもその後に続いて行った。




 夜を迎え......

空に浮かぶ満月は、怪しい紫色をしている。

 その下を一人の人間が歩いていた。人間はうめき声を上げながらふらついていて、やがて倒れた。それでも立ち上がり、なんとか歩きはじめた。


 やがて、寺院のような建物へとたどり着いた。

その人間は再び倒れ、苦しみだした。もう立ち上がることは出来なかった。

やがて自分の皮をむきはじめ、それにあわせてだんだん体が膨れ上がっていく。皮が向いた跡から獣の毛が生え始めた。


 その人間は、数分も経たずに()のような姿へと変貌した。目はもう人間の目ではない。かつて人間だった狼は狂ったように暴れ周り、やがてどこかへ向かって走って行った。




「間一髪だったね......もう少しで僕たちも......」

メガネと呼ばれていた背の低い男は寺院の扉から外の様子を覗いていた。

「ぜえ......ぜえ......本当ね......でも......この寺っていったい......」

リボンが息を切らしながら呟いた。

「ふう......とりあえず、この子を寝かさないといけないっ......す......」

そう言っていたロックの顔が急に真っ青になった。

「......」「......」

残りの二人も、ロックの背負っているものを見て驚愕した。


 ロックが背負っていたのは少女ではなく、狼だったからだ。




 狼を床に寝かせ、三人はその場に座り込んだ。

しばらく沈黙が続いたが、やがてロックが口を開いた。

「まさかこの子も狼だったなんて......考えてなかったっす......」

「でもその子は人間に化けることができるわ。自我を持った"狼人間"よ」

「そう、あの紫色の満月に照らされて狼となっても、自我を保ち続けた狼人間だ。数十年前、自我を保てなかった狼によってたくさんの人が亡くなって、街のほとんどが廃墟となった......」


ギシ......ギシ......


 三人が話していると、床がきしむ音が聞こえてきた。

「誰かしら......?」

「僕たちのように避難してきた人かな?」

「気味悪いっす......」

やがて音が近づき、三人の目の前に現れたのは......

「......まって、落ち着くのよ」

「そんな、ここまで来て......」

「運悪いっすね......」

それは足元にいる狼よりも一回り大きい、狼だった。

 大きい狼は三人を見つめると......


ニッコリ


 ()()()()()()()()()微笑んだ。




「わっはっはっは!!」

寺院の住職である大きい狼人間は全身を人間の姿に変えて笑っていた。

「笑い事じゃないっすよ!! リボンさんが気を失ってしまったんっすよ!?」

そばには狼人間の少女と共に横になっているリボンがいた。

「いやあ、すまんすまん。ついイタズラしたくなってのう。わっはっは!!」


「ここは寺院のようですが、なんと言う名前の寺院なんですか?」

メガネが何かに気づいたらしく、住職に訪ねた。

「フウム......ここが()()()()なんと言う寺院かどうかは忘れてしまったのう......

外に出ればわかるんじゃが、今は無理じゃしのう......」

()()()()?それじゃあ......今はなんと呼ばれているのですか?」


「......"探求の狼寺"と呼ばれておる」


「タンキュウの......オオカミテラ?」「狼と関係あるのは間違えないっすね」

そう言った二人に、住職は目を丸くしていた。

「なんじゃ、知らないのか?」

二人は頷く。

「その子と知り合いじゃろう?」

住職はリボンの隣に横たわる狼人間の少女を指差した。二人は全速力で首をふっている。

「そうか......てっきり知り合いじゃと思ったがのう......」

そういいながら住職は狼人間の少女に近づいた。


 その首元には、金色のわっかのようなアクセサリーがかけられていた。

 いかがでしたか?

しばらくは一日ずつ投稿する予定ですが、それ以降は不定期投稿となります。


 次回もお楽しみに!

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