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お姫様は異世界人  作者: 早見 羽流
帰還編
35/36

決闘!エナジードリンクの戦い!

いよいよクライマックスシーン!

最強の敵との戦いをとくとご覧あれ!

「上手くいったね!」


私を手を引いて走りながら、アキが嬉しそうに言いました。


「ええ、まさかこれほど上手くいくとは……」


走ってはいるものの、私たち2人組を追いかけている人はいないようでした。


「その衣装、ほんとに走りにくそうだよね……無理しなくていいからね?」


「あ、ありがとうございますっ」


私は、エマに借りたコスプレ?と言われる衣装を身につけていました。それもカスミの機転で、あえてよく似たヒカリの衣装を避けて、僧侶のアカリの衣装を身につけています。

アカリの衣装は、僧侶だけあってたけの長い法衣にティアラ、長くて装飾の多い杖という、少し運動するのには不向きな服装だったのです。

まあ、あのヒカリのような際どい服装で走るのもどうかと思いますが……


「あとは向こうのみんなが何とかしてくれそうだし、私たちはそのシモン?だっけ?その人を探そっか!」


「はい!」


アキはというと、顔を隠したシノビの装束に身を包んでいました。フウのコスプレのようですが、背格好や髪色からしてアキによく似合っています。というかアキはこうして見るとカスミによく似ていますね……


「主催者のブースってどこかな……え?ないのかな?……うーん、人が多すぎてわからない!イセバケってこんなに人気だったの……?」


アキが地図のようなものとにらめっこしながら唸ります。

その時でした


「アキさん伏せて!」


「うわっ!?」


私は咄嗟に持っていた杖を手放してアキを両手で押しのけました。すると、先程までアキがいた場所を突っ切っていく黒い影が……間一髪でした。

しかしまずいことに影は私の両手にまとわりついてしまいました。


「アイリちゃんっ!」


慌てたアキの声。周りの人々もただならぬ気配を感じたのか、ざわめき始めました。

そして、目の前の人混みが左右に割れ、間から現れたのは…


「ふぅ、危ねぇ危ねぇ、つい引っかかるところだったぜ」


昨日闇属性魔法で暴れていたあの金髪サングラスのアロハ男ではありませんか!


「……気づくのが早かったですね?」


私は努めて冷静に言います。少しでも時間を稼いで、離れてしまった仲間の合流を待たなければ……

分かれて逃げたのがここで裏目に出てしまったようです。


「考えてみたら単純だったわ。まさかターゲットが素直に一番そっくりなヒカリのコスプレをするわけが無いし、あとは消去法だ」


「なるほど、ですがそれに気づかれる可能性を考えてないとでも思いましたか?」


「なにっ!?」


私の言葉に驚くアロハ男に向かって、アキが何かを投げつけます。


「食らえっ!」


するとパッ!と稲妻が男に向けて放たれました。アキがカスミから預かっていたマナの塊です。マナの塊は、使用者のマナは関係なくただ発動すればいいだけなので、この世界の住人であるアキにも使用することができました。魔法が使ってみたいと出会った時にアキは言っていましたが、思わぬ形で実現してしまいましたね…


「すごっ!」


自分の放った魔法に驚くアキ。しかし、男はというと…


「虚仮威しが!」


と片手で私を影で拘束しながらも、反対の手を一閃。稲妻を簡単に打ち払ってしまいました。

しかし、その隙に…


「サンダーパルス!」


私は両手に少ないマナを集中して魔法を唱えます。すると、電撃が手にまとわりついている影を伝って男を直撃……する前に男が慌てて影を手から切り離してしまいました。ですがお陰で私の両手は自由になり、影から魔力を吸われる心配もなくなりました。


「クソが!シャドウランス!」


男はすかさず闇の槍を生み出して私に向けて放ちます。


「テンペストボルト!」


すると、どこからともなく放たれた電撃が、影を打ち消します。光と影、相反する2つの属性は同程度の魔法であれば互いに打ち消し合う習性があるのです。もちろん、テンペストボルトを放ったのは私ではありません。


「もう、来るのが遅いですよ?」


「これでも魔法の反応を追いかけて、急いできたんだけど?」


私たちの背後から現れたのは、異世界バケーションのヒカリのコスプレをした妹のレーネでした。そして、レーネと共に行動していたミズキのコスプレをしたエマも……


「あれが〝死神(グリムリーパー)〟ネ!」


「気をつけなさいよ、魔法使えない一般人が相手できる奴じゃないわよ?」


そう言いながらも、レーネは既に肩で息をしているような状態でした。やはり、先程のテンペストボルトで体内マナを使い尽くしてしまったのでしょうか。

私も体内マナは残り少ないですし、一般人のアキとエマは頼りにできません。……これは困ってしまいました。


男もそれがわかっているのか、トドメとばかりに両手にマナを集めて大技を準備しているようです。


「ど、どうしましょうか……?」


「私に任せてお姉ちゃん!」


「いやでもレーネ、あなたにはもう体内マナが……」


「……ホントは使いたくなかったんだけど、私には討伐した邪龍から奪い取ったこの力があるのよ!」


エルブラン公国領の端に住み着いてしまった邪龍……レーネはやはりその討伐に成功していたのですね!?……しかし邪龍の力というのは……?

レーネが左手を前に突き出して右手で左手の手首を掴むようなポーズをしながら左手にマナを集め始めると、なんと!露出の高いヒカリのコスプレ越しに、レーネの全身に禍々しい紫色の文様が浮かび上がっているのが見えました。


「うわ!これってもしかして〝混沌(カオス)〟の力……キミもしかして、闇の門を開けたわネ!?」


エマが訳の分からないことを叫びます。


「手を出してはいけない禁忌の力……その代償は……」


だからアキも何を言っているんですかっ!


「そう、闇属性魔法は基本的に周囲に存在する空間の〝生命力〟を吸い取って発動する。生命力をマナに変換して発動しているのよ。だからあのアロハシャツ男はほぼ無制限に闇属性魔法が使えるってこと。でも、私は周囲の生命力の吸収なんてふざけた芸当はできないからこうやって……」


「なにをごちゃごちゃ言ってやがる!いくぞダンボール娘!ダークネスブラスト!」


「うるさい!フォトンブラスト!」


男の放った闇の奔流と、レーネの放った光の奔流はぶつかって互いに打ち消し合います。今のところ力は互角といったところでしょうか。

周りの人々は、この戦いを何かのパフォーマンスだと思っているらしく、歓声を上げています。


「まだまだぁ!」


レーネはどこからか瓶のようなものを取り出すと、それを一気に飲み干しました。

すると、光の勢いが一気に増して、男を飲み込みます。


「うぼぁぁぁぁっ!!」


男は叫び声を上げながら吹き飛んでいきました。まだしても周囲から歓声が上がります。


「……なんですかその瓶は?」


「普通のエナジードリンクだけど?」


「エナジードリンク?」


疑問をぶつける私に、レーネは緑の空き瓶を振ってみせました。


「モンエナ。通称、魔剤」


「まざい!?」


「闇属性魔法は生命力を消費するから、エナジードリンクで生命力を底上げしたってことかしらネ。さっきの〝混沌〟の文様といい、イセバケマニアなら飛んで喜びそうな演出ネ!」


エマがいいます。異世界バケーションにはそのような描写があるのでしょうか……

実際、周りの人々もやたらと興奮しているような感じがあります。


「そう。そして、生命力から闇のマナに変換したものを錬金術で光のマナにさらに変換して放出……我ながら即席にしてはよくできたと思うわ……というわけで私はもう限界だからあとはよろしく…」


レーネはフラフラとその場に倒れ込んでしまいました。


「よしよし、よく頑張ったね」


アキがその体を支えます。


「あとは私に任せて!」


エマが吹き飛ばされた男の元へ歩いていきました。

しかし、男は体を起こしながらなおも魔法を使おうとしているようです!


「エマさん!魔法です!注意してください!」


私は咄嗟に警告しましたが間に合ったかどうか……


「……消えろ、シャドウランス!」


もうなりふり構わず、いろんな人からマナを吸い取るつもりでしょう。男が闇の槍を放ちます。しかしエマは軽々とステップを踏んでそれらの攻撃をかわすと、壁を上手く使って高くジャンプし……空中で男に蹴りを放ちます。


「せいっ!」


「ぐはっ!?」


さらに着地を決めながら振り向きざまに手に持っていた槍で一撃


「ぶはぁっ!?」


男は今度こそノックアウトされてしまったようでした。

ワァァァァッ!!と割れんばかりの歓声が周囲から上がりました。




読んでいただいた方、ありがとうございます!

戦闘シーンはあまり書くの得意ではないし、これはあくまでもコメディーなので、面白おかしく書かせていただきました。いかがだったでしょうか?

あと数話で完結します。

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