お姫様のおっぱい
はい、変なサブタイトルですが、変な内容では……無きにしもあらず。今回からだんだんとラブコメ風味が増していきますよ。
「……で、これはどういうこと?」
姉貴の部屋の中に入った途端、俺、佐倉隆二は呆れたように呟いた。
話は半日ほど前に遡る。
信じられないかもしれないが、俺の部屋に突如として美少女が発生した。いや、本当に俺が寝ていたらどこからともなく現れたのだ。
驚いた俺は急いでSNSで同じマンションの上の階に住んでいる姉貴の亜紀に連絡を取って、来てもらい、二人で美少女と楽しく話している(いまだに信じられないが)と、外の景色を見て突然パニックになった美少女がぶっ倒れてしまい、仕方なく姉貴の部屋に担ぎこんで寝かせておいた。
そして、朝になってから様子を見に来たのだが…
「聞いてください!トイレ、トイレから水が…!」
興奮した様子で俺に詰め寄ってくる美少女、名前をアイリというらしい。異世界出身でなぜか日本語を話す。そしてお姫様らしい。
「……姉貴、いったい何があった……」
俺は興奮したお姫様を手で制しながら部屋の真ん中で疲れた表情で突っ立っている亜紀に声をかけた。
「あのねー、トイレに行きたいっていうから連れていって使い方教えたら、ウォシュレット初めてみたいで感動したみたい……」
「何故そこまで感動する!?」
「すごくないですか!?どういう水魔法を使っているのでしょうか……トイレ内にマナの流れは検知できませんでしたが!」
「あれはね……魔法じゃなくて……」
「違うんですか!?じゃあどのような仕組みで!?」
……すまない、俺にも詳しくはわからん……。しかし、実に好奇心旺盛なお姫様だ。
「あまりトイレについて熱く語るな。お姫様でしょ君は……」
「ですが……!」
「っていうかなんで姉貴の服着てるんだよこのお姫様…」
そう、なんとアイリお姫様は昨日着ていた豪華そうなフリフリのドレスから、亜紀のよく着るTシャツとジーンズというラフな格好にチェンジしていた。綺麗な髪の綺麗なお姫様が着ると、亜紀が着ている時よりも何倍も美しいっていうのが面白い。
「あぁ……さすがにあの服じゃ目立つからね……」
と亜紀。
「はい、この世界の衣装を着れて嬉しいです。でもアキさんの下着はだいぶ小さ……いたっ!」
嬉しそうに話すお姫様を亜紀はグーで容赦なく殴り飛ばす。
「おいこら……おいこら…」
念の為に言っておくが、一回目のおいこらはお姫様に対して、二回目のおいこらは亜紀に対するツッコミだ。
「ふん、わざわざ新しいの買ってきてあげたんだから感謝しなさいよ……」
「はい、ありがとうございます。」
申し訳無さそうに自分の胸を見下ろしながら言うお姫様。そんな様子を今にも歯ぎしりを始めそうな表情で亜紀が睨んでいる。このお姫様は恐らく天然で亜紀を煽っていくので面白い。
「で、もう具合は大丈夫……みたいだな。」
様子を見に来た理由を一応言っておくと
「はい、私がアキさんの召使いになることで面倒を見てもらえることになりました!」
「おいこらぁ!」
俺が亜紀を睨みつけると、亜紀は悪びれた様子もなく
「だってぇ、異世界から来た魔法が使えるお姫様とかレアキャラだしぃ?かわいいしぃ?それにほら、あんたの大好きなイセバケのヒカリちゃんに似てるじゃん?」
「……。」
それは正直思っていた。お姫様は俺の大好きなアニメ『異世界バケーション』のメインヒロイン、ヒカリちゃんにそっくりだったのだ。性格はともかく見た目でいうとすごく俺好みだった。
「……うん、召使いOK」
「…でしょ?」
「で、召使いって何をやらせるの?」
「あぁ、それは……いろいろ?」
「いろいろって……」
そう、我が姉貴、亜紀は致命的に家事ができない。どの程度できないかって、料理はもちろん出来ないし、洗濯、掃除も面倒くさがってやらない。放っておくと一ヶ月で部屋がゴミ屋敷になるので、俺が定期的に掃除をしに来て、洗濯をしろと急かす。俺が亜紀の近くから離れられず、亜紀がいつまでも俺に依存している一番の理由がこれだ。
ただ、困った時には頼りになるし機転も利く、よく分からない姉である。
「さっきもアイリちゃんの服を洗濯機に…」
「……は?」
待って、待て待て!あんな服洗濯機で洗えるのか!?
「……家事は俺が教えます…」
「よろしくお願いします!リュウジ師匠、ですねっ、ふふふっ」
お姫様が満面の笑みで言ってくる。ほんとこういう表情ずるいと思う。
「うん、まあよろしく…」
俺は、気恥ずかしくて素っ気なくそう答えるしかなかった。
ーーーーーーー
「外ですか?行ってみたいです!」
外、探索してみない?というアキの提案に、私は二つ返事で賛成しました。私がこの家で面倒を見てもらえることに決まってから、アキが私をこの世界に慣れさせるために申し出てくれたらのでした。
「リュウちゃん、いろいろ連れて行ってあげて?」
「……え、えっ!?俺!?」
「あったりまえでしょ?リュウジ師匠なんだからさ。」
「その呼び方やめてくれ……」
「まあ本音は、私は他にやることがあるの。ほら、さっさと行った行った!」
と言いながら手を振るアキ
「といってもなぁ……」
と渋るリュウジの背中を押して部屋から出そうとし、ついでに私の胸も、潰れちゃえばいいのに…とか呟きながら押してくるアキ。
アキはどうして私の胸を恨んでくるのでしょうか……
「おっぱい気にしてるならお姫様の魔法でちょちょいと…」
「胸のサイズアップはちょっと難しいですね…」
「うるせぇぇぇぇ!!!」
ドーン!と私とリュウジはアキに部屋から蹴り出され、中から鍵をかけられてしまいました。
どうやら選択肢はないようです。
私とリュウジは顔を見合わせると
「行こうか…」
「そうですね…」
と歩き出しました。
私にとっては未知の異世界。先程までに出会った得体の知れない便利なもの、あれ以上のものが他にもたくさん待っているような気がして、私は胸が踊りました。
と、胸胸言ってるとまたアキさんに怒られますね。
ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございます!
冒頭、突然の視点変更でびっくりされた方もいると思いますけど、リュウジ視点で書いた方が面白そうなシーンはこのように視点変更するかも知れないですが、この作品は異世界な比べた現代のヤバさ、便利さ的なものを十分に表現したいと思っているので基本はお姫様視点です。ご安心ください。
おっぱい弄りはこれからも続きます(笑)