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お姫様は異世界人  作者: 早見 羽流
探索編
21/36

奇妙な3人組

更新ペース上げて、毎日更新目指します!


この3人組書くの楽しい……お気に入りです


「隠すといっても具体的にどうやって?」


「私なら普通に隠ぺい魔法を使うけど、この世界で隠ぺい魔法を使い続けることは非現実的だわ」


確かに、とアレックスは頷く。隠ぺい魔法のように、持続的に効果を発揮する魔法は、発動してる間ずっとマナを消費する。空間マナの供給がほとんどないこの世界で使い続けることは自殺行為だ。


「要は、最強の錬金術師さんにもわからねぇっとことか……」


「ば、バカにしないでよ!私はあくまで錬金術師なんだから、そういうのは専門外なのよ」


レーネは自分が馬鹿にされることがたまらなく嫌だったらしく、真っ赤になって言い訳をする。


「……あなたはどうなの?」


「分かってたらお嬢さんに聞いたりしないよ」


アレックスが肩を竦めた時、事務所の扉が開き、長身のスーツの男が入ってきた。


「それなら思いあたることがある」


話は聞かせてもらった、とばかりに空いている席に腰を下ろすスーツ男


「なんだ戸村、意外と時間かかってたじゃねぇか」


とアレックスが茶化すと、戸村と呼ばれたスーツ男は脇に置いた紙袋を示しながら


「俺をパシらせたのはどこのどいつだ?女物の服なんて買ったことないからだいぶ戸惑ったぞ?」


「悪ぃな。でもお嬢さんが目覚めた時に魔法が使えないお前しかここにいなかったら、万が一のことがあるかもしれないしな。消去法だ」


「それもそうだが、お前と年端もいかない少女を2人きりにする方が、倫理的に万が一のことがあるかもしれなかったことは事実だ」


戸村が不服そうに言うと、アレックスはあははっと笑いながら


「なにもしねぇって、あと5歳年上だったら分からねぇけど」


そんなやりとりを不機嫌そうな表情で眺めるレーネ。彼女は未だに衣服を身につけていなかったが、特に羞恥心を感じないのは、体の周囲をアレックスの魔法と思われる影でしっかりと覆われていたからだ。多分、魔法を使おうとしたらすぐにマナを吸収できるように……という理由なのかもしれないが、レーネへの配慮なのかもしれない。冗談めかしてはいるが、アレックスは意外と紳士な面もあるようだった。


「まあ着替えろよ。オレたちは向こう向いてるからさ」


「……ていうかあなたたち、さっき私の裸見たのよね…?」


「さあな?」


「見てない見てない。気失ってたからわからない」


その後、明らかに目が泳ぐ2人に対してレーネが怒って暴れるなど一悶着あったが、なんとか着替えを済ませて落ち着かせることが出来た。

レーネは、黒いTシャツに明るい色のスカート、ニーハイにキャスケット帽というちょい地味な格好にチェンジした。


「相変わらずお前のセンスは謎だ。地味すぎる」


アレックスが戸村に苦言を呈する。


「いや、この世界じゃあまり目立たない方がいいだろう。魔法使いを追ってるのは俺らだけじゃないんだし」


「あの…こんな動きやすい服装ってことは、私もどこかに連れ回されるの?」


「あぁ、お嬢さんに協力してもらってお姉ちゃんの捜索をしようかなって思うんだけど」


レーネの質問にアレックスが答える。目的は同じだろ?と続けるアレックス。


「そうだけど問題はその後。あなたたちはお姉ちゃんをどうするつもりなの?」


「……それは言えないお約束なんでね。悪ぃな。でも見つけられたらそっからは契約解消だ。お互い好きに進めればいいさ。その結果お嬢さんがオレらの邪魔をするようなことがあっても別に構わねぇよ」


「……そう」


つまりお互いの共通目的であるところのレーネの姉の捜索を共同で行おうというwin-winの関係を狙った提案だった。悪くない提案だ。

そもそも服がなくなって出られなくなったあの路地から不本意な形とはいえ救出してくれて、目的を達成するまでこうしてサポートしてくれる人達なのだ。悪いことにはならないだろうとレーネは判断した。


「乗ったわ」


「そう来なくちゃな!」


レーネとアレックスは固く握手をした。隣で戸村も満足気な表情をしている。


「で、早速なんだけど、異世界からやってきたお嬢さんのために、この世界の物とかルールとかいろいろ教えてやろうじゃん。んでその代わりお嬢さんはオレらに異世界のことを教えてくれや」


「うん、もちろん」


「って言ってもオレが教えるのはたった一つ。スマートフォン、通称スマホの使い方だけだ。これが分かれば大体のことはスマホが教えてくれるから、知りたいことを調べられるぞ」


と得意げなアレックスに、この手抜きが…と戸村が小声で呟く。

しかし、この判断は正しかった。

スマホを取り出してレーネを相手に数十分のレクチャーをしたアレックス。すると


「なにこれ!素晴らしいわ!どんなマジックアイテムでもこれだけの機能はないよ!研究する価値がありそう!」


とレーネはたちまちスマホの虜になったのだ。


「だろ?じゃあこんどはお嬢さんの番だぜ?」


このままだと一生スマホを弄ってそうなレーネに、アレックスが言う。


「……そうね。どこから話そうかな?」


レーネは名残惜しそうにスマホを置くと、コーヒーを一口飲んで、苦さに顔を顰めた。

さっき命のやり取りをした相手だというのに、もう完全にこの2人を信用しきっているようだ。


「じゃあ私がどんなに凄い錬金術師なのかっていうのをたっぷり解説してあげる!」


「…………勘弁してくれ……」








読んでいただいた方、ほんとにありがとうございます!多分10万字前後でひとまずの完結をみるはずですので気長にお付き合いいただければと思います。

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