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穴に向かって叫ぶ!  作者: マタゼロ
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☆09話 異世界のお金です



 手の平をマタゼロの前に差し出したリラのすぐ脇に、ミィがスッと寄りました。


 リラの手の平の上に丸い金属らしき物を並べていきます。


「まずは、貨幣の説明をさせていただきます。女神様のご威光により、この世界では『ゼニヤ』という貨幣がどの国でも使われております。世界共通貨幣ですね。

 安心・安全・安定の『ゼニヤ』でございます。

 では、これが1ゼニヤ、これが5ゼニヤ、これが10ゼニヤ、これが100ゼニヤ、これが500ゼニヤ、これが1000ゼニヤ、これが10000ゼニヤ、これが10万ゼニヤ、これが100万ゼニヤとなります。

 500ゼニヤは半銀貨、1000ゼニヤは1銀貨、10000ゼニヤは1金貨、10万ゼニヤは1大金貨、100万ゼニヤは1白金貨とも呼ばれます。お分かりになられましたか?」


 ミィの早口での説明に合わせて、順番にリラの手に載せられた貨幣を見つめていたマタゼロは瞬きしました。


 ――分かりやすいよね? 100ゼニヤまでは、日本のお金にとてもよく似た色と形だよ。5ゼニヤは5円のようにまん中に穴あいてるし……。

 500ゼニヤはまん中に穴の開いた銀貨だろ。1000ゼニヤは普通に丸い銀貨、10000ゼニヤは金貨、10万ゼニヤは楕円の小判、100万ゼニヤはなんか白っぽく輝いてる小判だよね。まあ、使われている模様や数字は違うけど……。


「うん。わかったよ」


 頷くとミィが驚いたように目を見張ります。


「なんとお分かりに!? アホウでも分かる図を用意しておりましたのに……」


「そういうの、いらないから。話を進めてくれる?」


 右手をヒラヒラと振って見せると、ミィはどこか悔しそうに一度口元を歪めた後、話し始めました。


「では、次は周辺三国で鋳造されている、記念貨幣についてご説明させていただきます。まずは明日行く予定になっております『ウエーストネ王国』内で使われている記念貨幣ですね」


 そう言ってミィは、リラの手の平の貨幣をサッと入れ替えました。


「このように四種類あります。この口を開けた、まぬけ面で笑う赤ん坊が刻まれている銀貨が、1サイネ。王太子誕生記念貨幣で1000ゼニヤと同じ価値がございます。

 

 次にこの目の焦点が合わない、バカ面で微笑んでいる女性が刻まれている金貨が、10サイネ。王妃様ですね。

 

 この一回り大きくて、何も考えてなさそうな、ご主人様と似たようなアホ面で笑みを浮かべてる男性が刻まれている金貨が100サイネ、王様ですね。

 この二枚は現王の即位記念貨幣で、王妃が10000ゼニヤ、王が10万ゼニヤと同等の価値がございます。

 

 最後に、見たとたん笑ってしまいそうな、気の抜けたドアホウ面で笑っている男性が刻まれている白金貨が、1オウサイネです。建国された初代国王様ですね。100万ゼニヤと同価値があるのが信じられませんよね。

 

 それと歴代の王の古い貨幣もありますが、慣例として新王即位の際に新貨幣と交換・回収されますので、数は少ないです。

 『1000、10000、10万、100万ゼニヤ』で『1まぬけ、10バカ、100アホ、大もとは1ドアホウ』と覚えると良いかも知れません」


 淡々と説明するミィを、思わず目を見張って見てしまいます。


 ――そこは普通に覚えるのでいいんじゃないか。あれ? 『ウエーストネ王国』って、出身国とか言ってなかった? 自国の王族に対する敬意が全く感じられないんだけど……。

 うん、でも気にしてもしょうがないよね。自分のも、他人への悪意もスルーだよ。


「次は『サウスカヨ神聖帝国』の記念貨幣ですね」


 ミィがまた貨幣を入れ替えます。リラの手に載せられたのは、ワラジ位の大きさの楕円の金貨でした。


 ――ん? これ小判の形だけど、ずいぶん大きいよね。大判っていうやつ?


 首を傾げていると、ミィが金貨をリラの手の上で立てます。


「この悪巧(わるだく)みしてそうな、陰険そうに細められた目元。あくどそうに歪んだ口元。油断したら尻の毛まで抜かれそうな、金の亡者のような笑いを浮かべてるこの男性は、『サウスカヨ神聖帝国』の聖皇(せいおう)です。

 

 聖座に就かれた時に発行された記念貨幣ですね。一枚『1ナンカヨ』と呼ばれています。こうやって立てて、自分の姿を国民に拝ませるのが目的なので、こんなに大きいんですね。こんなものがなんと、100万ゼニヤと同じ価値に設定されているのでございます。

 

 資金集め目的が見え見えな、イヤらしい貨幣ですよね。これも歴代の聖皇のものがありますが、通貨としてはあまり使われません。

 

 当たり前です。こんなでかいもの持ち歩く人はいませんよ。人族の成人男性の足の裏に、丁度よいサイズだと思うんですが、お金ですからね。踏むわけにはいかないですよね。」


 ものすごく悔しそうに顔をしかめるミィです。聖皇に対する嫌悪感がヒシヒシと伝わってきます。

 国名から、宗教国家のようなイメージがありましたが、何か違うのでしょうか。また、首を傾げてしまいます。


「さあ、次は『イーストダンベ共和国』の記念貨幣ですね」


 ミィはしかめた表情を元に戻すと、リラの手の上の大判を引っ込めて、ジャラジャラと銀貨と金貨を並べます。数が多いようです。


「えーっ、『イーストダンベ共和国』には王のような者はいません。いるのは10年(ごと)に国民に選ばれる『ヨッダイトウリョ』と呼ばれる代表者です。長いので『ゾウリ』と短く呼ばれる事が多いです。

 

 なぜ、あの職名がこの略名になるのかは『イーストダンベ共和国』の七不思議の一つですね。

 長い歴史に隠された逸話でもあるのでしょう。

 

 あっ、話がそれました。記念貨幣ですが、君主制ではありませんので権威を表すような人物ではなく、動物が刻まれた貨幣が主になります。

 毎年、その年を代表する動物を刻んだ金貨が新年を祝って発行され、こまごまとした何か祝いごとや記念すべき出来事があった場合には銀貨が発行されます。

 

 たくさんの動物の種類がございますが、金貨は1トウダンベと呼ばれ、10000ゼニヤ、銀貨は1ダンベで1000ゼニヤになっております。お手頃の価値なので結構、国内で使われております。」


「オラは『イーストダンベ共和国』の記念貨幣を集めてるんですだ。いろんな動物がいて嬉しくなるですだよ。オラと似た動物はまだ見てねえですが、発行されるのを楽しみに待ってるだよ」


 ミィの言葉が終わると、手の上の貨幣を見ながらリラが目を輝かせます。


 リラに似た動物と言うとゴリラでしょうか。異世界の動物の種類はまだよくわかっていません。猫や犬や狐や、その辺はいるだろうと予想はつくのですが、異世界ですからね。よく似たゴリラのお金、出るといいねと心の中で呟きます。


「一通り、貨幣の説明が終わったところで、次はご主人様がどのくらい稼げばいいかの話にいたしましょう」


 リラの言葉はスルーして、ミィは貨幣をどこかにしまってしまいます。やはりメイドは無限収納を持っているようです。

 

 リラの目がとても名残惜しそうに、消えた貨幣を追いました。


 


 なんだか、ユーザーページに入れなかったので、今日の更新は無理かなと思ったのですが、何とかできました。


 異世界の貨幣制度──どこかの国を参考にする?様々な貨幣があるよね。とか、為替レートとか色々考えてるうちに訳が分からなくなりました。難しい事は無理でした。もう、共通貨幣で日本円と同じ。でも異世界っぽいお金も出して、それでいい事にしてしまいました。おかしかったら、すみません。頭使う事には向いてませんでした。アホ話です。



   ☆チキンカオスワールド☆



 ここは、『チキンになろう』の社屋──運営本部の片隅にある狭い部屋だ。


『キチンとチキンに』を合言葉に規約違反などをしている作品がないかを探す、『チキン捜査課』──課長一羽、下っ端二羽からなる地味な課だ。


 コンコンと嘴でつついたようなノックの音の後、バンとドアが開いて若い鶏が部屋に入ってくる。


「チキンステーキ課長、あやしい作品を見つけました! ジャンル詐欺の疑いがあります」


 デスクで、報告書を読んでいる振りをして、実はナンプレをして暇をつぶしていた課長は、顔を上げた。


「よくやった、スパイシーチキンくん。どれ、確認しよう」


「はい。この作品は『詩〈その他〉』ジャンルにあったものです。読み上げます」


──あなたを見た瞬間、イっちゃったわ。


 トラックとぶつかったような衝撃を受けたの。


 この気持ちは何? 昨日までのわたしとは、もう違うの。


 あなたと出会ったことを神に感謝したわ。


 生まれ変わった気分だわ。


 あなたの姿を目にすると、世界が鮮やかに色づくの。


 いい世界だわ。いい世界だわ。──


「そこまででいい。ふむ、あきらかにジャンル詐欺だな」


 課長は顎に片羽根を当てて大きく頷いた。


「『イっちゃった』『トラック』『神』『生まれ変わった』そして何より『異世界』と連呼している。恋文のようにごまかしているが、転生・転移ジャンルの作品なのは明白だ」


「どうしますか?」


「とりあえず、いつものように、いちユーザーを装って『ジャンルが違う』と感想欄で注意しておけばいいだろう」


「わかりました」


 課長の言葉にスパイシーチキンが頷いたところで、部屋のドアがバンと勢いよく開かれた。


「課長! とんでもない作品を見つけました!」


「どうしたね。プレミアムチキンくん」


 慌てて飛び込んできた鶏に、課長は静かに声をかけた。焦っている部下を落ち着かせるためには、こちらが余裕を持った対応をするのが肝心である。


「後書きを利用して、変な話が書いてある作品を見つけたんです!」


「え?」


 プレミアムチキンの報告に、課長の声は少し上擦った。


「変なだけならいいんですが、二次創作ぽくなってきてるんです! 今お見せします!」


 『お借りします』と断り、課長のデスクにあるパソコンをいじると、プレミアムチキンは声を張り上げた。


「これです!」


「あー、何だこれ? 後書きで何してるんだ?」


 脇からパソコンを覗いて、スパイシーチキンが呆れた声を出す。


「た、たぶん、何か不都合があって、作品も読めなくて、投稿もできない感じになって、『もう、大丈夫かなー?』と何かを確かめるような感じで、暇潰しに書いたんじゃないかなー?」


 目を泳がせながら、課長は作者の気持ちを推測して言葉を口にした。


「ハア? だとしても、二次創作はいけないですよね」

「いくら、後書きでもどうですかね。こんなことしてるなら、作品の方を書けって話ですよね」


 部下二人にたたみかけるように、言われて、課長はダラダラ汗をかく。


「そ、そうだな。作品を書くべきだな。ま、まあ、この作品は感想欄も閉じてるし、後書きだし、少し様子を見よーか」


 課長の言葉に部下二羽は、顔を見合わせると頷いた。


「わかりました。後書きだし、様子を見ることにします。ホント困ったことをしますよねー」

「更新止まってるのに、なんでしょうね、これ」


 部下二人の言葉に課長は下を向いた。


「うん、きっともうちゃんと作品の方を書くんじゃないかな……」


 この作品の作者は誰か、実は部下達は知っていた。


 課長のとさかを見ながら、二羽は小さなため息をついた。



 と、いうわけで、『チキンカオスワールド』より、ちゃんと作品を書きます。『読もう』も読めるようになったみたいで、ありがたいです。もしかしたら、これを読んでくれた方がいたら、いきなり書くのを止めるのも申し訳ないと思って、ひと言書きました。(前の方の話の後書きだし、こんなの誰も読まないよね、とか思うんですけどね)


 

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