☆02話 愚痴を誤魔化すにはどのジャンル?
これは、愚痴でも書こうと思って始めた作品ですが、やっぱり、ちゃんとした作品にしようと思い直したものです。異世界に行くと、(三話目)〈~ました。~でした。〉というふうに文体が変わります。完結したら、改稿して文体は統一するつもりですが、違和感があっても、今はこのままです。
駄作です。無理はしないで下さい。(←言われなくても、ダメダメ臭してますよね)
ポツポツと雨音──アパートの部屋の窓を見ると、ガラスに雨粒がつたっていく様子が見えた。
雨かあ、と思う。
ハアッとため息をつく。
勤めてた会社を辞めて二ヶ月……まだ、次の就職先を見つけることはできていない。というか、もう少しのんびりしたいなとか思ってる。
自分の名前は『マタゼロ』──ふざけているわけじゃなく、本当にそうなのだ。
じいさんの名前が又蔵で、父親の名前が零司という。
父親は女遊びが激しい人で、妊娠中の母親を放ったらかして、子どもが産まれても別の女のところに行っていたという。
怒った母親は、誰にも相談せず、産まれた子どもに『又零』と名付けた。
ちょっと、大人になってから分かったよ。母親がどんな気持ちでこの名前をつけたのか……。
股がゼロ──浮気すんなよ!と怒りと願いをこめたのだろう。
そんな名前をつけられた、子どものことを考えずにね。そうとう頭に血が昇ってたんだな。よく分からないが、『またゼロ』から出発したいという、思いもあったのか……。
まあ、からかわれたり、いじめられたりはしたよね。マタニティとか、0歳児とか、ゲームキャラとかとも略名被ってて、揶揄された。いじり易い名前だから、他にも色々言われたよ。
名前をつけた母親は、とっくに父親とは別れて今は何の交流もない。
離婚で、なぜか父親に引き取られた、マタゼロは、父方の祖父母に預けられた。
世間一般から見たら、マタゼロは両親のいない、不幸よりの子どもだったろう。苛められたり、ちゃんとご飯を食べさせてもらえなかったり、辛い思いもたくさんしたのに、どういうわけか、おちゃらけた性格の人間になった。
深刻に考えたり、同情的な言葉を聞くのが嫌だったのかな? とか考えたりしたけど、やっぱり根がこんな感じだったんだろうなあ。
めったに会わない父親は、またどこかの女のところにいるらしい。たまに会うたびに紹介される女の人が違うんだよね。ある意味、すごいよ。
母親の願い虚しく、父親は股に困らない。
名前の効き目があったのは、付けられた子どもだね!
彼女いない歴、日々更新しているよ!
諦めと願望が交錯する中で、本にささやかな癒しを求める日々……。
同族経営の弱小会社で、安い給料でこきつかわれてたけど、本を読んでる時は現実の辛さを忘れられたよ。
あんまり足元を見てくる使い方されて、とうとう我慢できなくなって、会社は辞めちゃったけどね。
実質育ててくれた田舎のじーさん、ばーさんは、会社を辞めたことを知ったらがっかりするかも知れないけど、叔父や叔母、優秀……かどうかは分からないが、まだマシそうな孫は何人かいるから大丈夫だろう。
仕事を辞めてね、時間ができたら、急に小説を書きたくなったのさ。
今までたくさん読ませてもらってたネット小説──今度は書きたくなった。
くだらない生き方してたけど、くだらない物を書きたくなった。積もったやるせなさを、何かに八つ当たりしたいようなこの不満を、吐き出したくなった。
何か書いたら、味気ない生活にうっすらとでも味がつくような気がして……。
さっそく登録して、書いてみた。
やっぱり不満がたまってたのか、書いたのは愚痴──読んでも誰も楽しくなさそうな愚痴。
元の会社の上司などが、少し名前をいじっただけで出てくる話を書いてしまった。見る人が見ればどこの会社の誰のことかわかってしまいそうな……。
悪気があって書いてるから、分かるんじゃあとビクビクしてしまう。
でも、書きたい。チキンハートでも書きたい。ビクビクしながらでも、くちばしでチョコチョコツンツンとあいつらをつつく気分を味わいたい。
こんな地味に、こきつかったあいつらに復讐している気分を味わいたいなんて、情けないことこの上ない。
まあ、あらすじに『読む価値のない愚痴』とでも書いておけば、誰も読まないだろう。
いい作品は他に一杯あるしね。こんなもの誰も読まないさ。うん、読まない。平気だよ。
穴を掘って悪口を叫んでるようなもの?
そうだ、これは穴だ。穴なんだ!
だったら、もっとも~っと書いちゃっても平気だよね!
セコさ爆発!!!
う~ん、いろいろ書いちゃったけど、これ、どのジャンルの小説にしようか? だらだらと連載を装うつもりだけれども。順当に考えたら、〈その他〉?
問題発言もしちゃったしなあ。層が薄いとこだとウッカリ見られてしまうかも知れない。それは困る。とても困る。穴はどこに掘ればいいんだ?悩む。う~ん、悩む。どのジャンルにすればいいんだ?
っ!?
突然マタゼロの足元が発光する。白い魔法陣のようなものが足元に浮き出ている。
(なんだと!?)
マタゼロの体になんとも言いがたい衝撃のようなものが走る。頭の中に何かをねじ込まれたような不快感──フッと意識がかすむ。
(まっ魔法陣だ……と。まさ……か)
完全に意識が消失した。
はい、アホウが出てきました。
残念な事に、この話の主人公はマタゼロくんになります。異世界に行きます。男性向けを意識して書き始めましたが、今は女性向けでも男性向けでもなくなりました。どうしましょうね。読んでくれる人には楽しんでもらいたいとは思うんですけどねー。
☆チキンカオスワールド☆
「お、おまえはフライドチキン!」
「そ、そういうおまえはタンドリーチキン!」
巡りあった二羽……感動の抱擁を邪魔する影が──。
「わ・た・し・だ」
「「チキンライス!!」」
物陰から立ち上り、足を伸ばして二羽が抱き合うのを阻止したのは、卵を抱えた赤い鶏だった。
「オムライスにしてくれ」
「「…………」」
涙をながしながら、赤い鶏を見つめる二羽。
「ケチャップでハートを書いてほしい」
せっかく再会できたのに、まるで遺言のように呟かれて、二羽の涙は益々溢れるのであった。




