確認とチートの世界
騒ぎたかっただけです
ピロトミアーへ行くことになった。
でも、今から行ってもボコられるのが目に見えてるので自分のこととか敵のこととか色々確認しようと思うよ!
「……と、言うわけでピロトミアーってどんな国?」
イベントの翌日、ギルド内の酒場的な一角でおっちゃんに聞いてみる。
「この前も言ったが、あの国は閉鎖的だからな。何やってるかはよく分からんし、外からの入国も難しい。俺もなんか危なそうな事やってるって程度しか知らん」
「ん? ちょっと待って。入国難しいならどうやって入ればいいの?」
「あぁ、そこは問題ねぇ。俺が前に入ったことあるからな。俺の付き人ってことにすりゃあ行けんだろ」
「そんなんでいいの?」
「大丈夫だろ。入国審査が厳しいっつっても俺でも入れるレベルだしな」
「ふーん。で、帰りは?」
「あぁ、そっちは抜け道があるから問題ねぇよ。路地裏から街の外へ出れる。場所は後で教えてやる」
「秘密の抜け道ってことね。いいじゃん!」
「おう。で、他に聞きてぇことはあるか?」
他に聞きたいこと……
「今はないかなぁ。じゃ、ちょっと街の外行ってくるね」
「そうか。また何かあったら来い。…勝手に行くんじゃねぇぞ?」
「行かないから大丈夫だって。ちょっと自分のスキルとか確認してくるだけ」
「MP切れには気をつけろよ」
……ん? 今ちょっと聞き捨てならない単語が聞こえたよーな?
「おっちゃん。MPとかあるの?」
はぁ? 何言ってんのコイツ。とでも言いたそうな顔をして、常識だろ?とでもいいたげな口調で、それでもちゃんと教えてくれた。ムカついたけど教えてくれたし我慢我慢。
「--要するに、スキルを撃てば減る。無くなったらHPで肩代わり。と」
「そんな感じだ。MPを無視して魔法撃ちまくってたら死にかけてた。なんて事もあるから気をつけろよ」
うわぁ、ありそうで怖い。
「その様子じゃどうせ知らないだろうから言っとくが、HPとかMP、あとスキルとかは意識すれば視界にポンと出てくる。やってみな」
言われた通りになんとなーくイメージしてみると、緑と青の2本のゲージが左上に、スキル名っぽいのが書いてあるリストが右側に出てきた。
「おおっ!ホントに出た!スキルの詳細もちゃんと見れるんだね。すごーい」
ふむふむ……やっぱキャラメイクの時に選んだスキルと同じみたいだね。雷系統の攻撃魔法に回復魔法。あと麻痺とか探知とか浄化とか。
説明文はキャラメイクの時のスキルツリーと同じだね。応用とかのってればよかったのに。
「そんなにスキル持ってるわけでもねぇだろうに、何見てんだ?」
「へ?あ、あぁ。新発見ってテンション上がんない?」
「その歳まで知らなかったんならそんなもんか。新発見が興奮するってのはわかるしな」
「そうそう」
そういうことにしといて。私の場合は最初からスキル揃ってるけど。
転生モノでおなじみのチートは私の場合見た目とかスキルとか自由に選べたってところかな?
……あ、あれ?なんかショボくない?よくネットで読んでたのはもっと人外チートもらってたよ?
い、いや。もしかしたらスキルツリーの中には習得不可の化け物スキルがあったんだよ。うん、そういうことにしとこう。
「おしえてくれてありがとー。行ってくるね」
「おう。夜にはギルドに顔出せよ」
「はーい」
門番さんに無事登録できた事とか報告して、街の外に出る。
何か見られるのもヤだし、ちょっと遠くまで行こうかな〜?と、街の門が見えなくなるくらい離れてから、思いつく限りのことを試していく。
で。分かったことは、同じスキルでもイメージと消費MP次第で威力や範囲、密度を調整できること。その分威力が上がると反動が大きくなって、自分腕まで焼けるところだった……。
あと、魔法の同時行使はできた。ただ、3つも4つもやろうとするとこんがらがって結局全部発動しないなんて事もあったので、要はなれだと思われ。ていうかこの世界イメージ重視にも程があると思うんだ。私の場合ゲームとかあったから楽だけど、元々ここに住んでる人たちって上手く想像できるのかな?
で、これが個人的には1番びっくりしたことで、なんと!この身体は変身できちゃうのです!
まずはいつもの獣人バージョン。
で、ケモ耳や尻尾を引っ込めた人間バージョン。
まんまキツネのケモノバージョン。
更には2頭身くらいのマストットバージョンと、4つもあった。特に最後。某繰繰ってるキツネさんみたいなのをイメージしたらできちゃった。鏡がないのが辛い。自分でモフれないのが辛いっ!
そんな感じに色々確認してギルドに戻ると、おっちゃんは黒づくめの忍者っぽい人と一緒にいた。
「ただいま〜。その人は?」
「おう。おめぇ1人で行かせるわけにはいかねぇからな」
「でも、パーティなんて経験ないよ?適当に魔法撃って巻き込むかもよ?」
「問題ない。元々隠密行動の方が得意だからな。俺の事は無視してもらって構わん」
「そう?りょーかい。よろしくね」
「あぁ」
手を差し出すと、忍者さんも握り返してくれた。
どうでもいいけどこの世界にも握手あるんだね。
「で、何かわかったか?」
「うん。色々ねー」
そう返すとおっちゃんがニヤリと笑う。
「分かってるとは思うが、他人に自分の手の内バラすなよ?」
「わかってるよー。おっちゃんは信用してるけど、ここ人多いし」
おっちゃんになら言ってもいいかな?とは思うけど、壁に耳あり障子に目ありとも言うしね。
「気をつけろよ。スキルによっちゃあ覗きとか盗聴とか簡単にできちまうからな」
「あ、やっぱり?忍者さんも?」
「忍者?」
あ、忍者はいなかったかー。以後気をつけよう。
「なんて言ったらわかんないからテキトーに呼んだだけ。気にしないで」
「そうか」
「で、できるの?」
「むしろ俺はそっちが本職だ」
「なるほどね。ありがと」
「つーことだ。気をつけろよ?」
「うん。じゃ、また明日〜」
「おう……って、とこで寝てるんだ?」
あれ?いってなかったっけ?
「上。宿とるの面倒だなーって思ってたら貸してくれたよ?」
「ならいい。じゃな」
「じゃね〜」
お互い手を振りあい解散して、仮眠室のベッドに潜る。
後はアイテム揃えて……あ。防具とかもなんとかしなきゃいけないのか。でもこれ脱ぎたくないなぁ。
『その服は様々な効果を付与してあります。性能は一般的な鎧は勿論、第一線で活躍している冒険者に匹敵します_』
「うをぉっ!?」
いきなりチャット画面的なものがっ!?
……ってコレあの時のやつじゃん。
返事できるなら返事してよ〜?
………。………付加効果の確認方法は?
『スキル同様にシステムメニューで確認可能です_』
あれシステムメニューって言うのか。スキルとか、HPとか、ホントにゲームみたい。
まぁいっか。で、防具の性能は……
『救世の衣(巫女風)
神の加護を授かりし召喚者の衣。
│御神の加護:魔を統べる力:雷纏:光纏:神速:神器』
わかるかぁ!
救世とか神の加護とか伏線じゃないの!?あっさりばらしていいの!?えぇ!?
『今はその質問にお答えできません_』
そこは秘密なのね。まぁいいけど。
じゃあ、名前だけじゃわかんないから付加効果の詳細教えてくれない?
『御神の加護。装備者が受ける全ての受けるダメージを60%減少させる』
……へ?
『魔を統べる力。魔法スキルでの消費MPを半減。与えるダメージ、効力、効果時間を30%上昇』
……えぇ?
『雷纏、光纏。雷属性、光属性のスキルでの受けるダメージを10%減少。与えるダメージを20%上昇。効果時間、回復量を30%増加。消費MPを15%削減』
……はぁ?
『神速。動体視力、処理速度、身体能力を上昇』
……ああ、うん。
「………はぁ」
防具チート過ぎでしょ!HPもMPも全然減らないし魔法雷光の威力めっちゃ上がるしなんか身体とか脳も強化されてるしナニコレ!?っていうか倍率高すぎでしょ!?はぁ?パッシブの攻撃倍率が30%!?しかもそんなぶっ壊れを重ねがけ?明らかオーバースペックでしょーがぁぁっ!!(怒)
で?神器は?
『耐久度を大幅に上昇。完全に破壊されない』
あー、これはまだマシかな。
『MPを消費することで装備及び装備者の破損部位を修復。汚れを落とし清潔にする。』
デスヨネー。神器なんてものが壊れないだけなわけナイヨネー。
『なお、御神の加護、魔を統べる力の効果はあなたにのみ効果があります。奪われても譲っても対象が移ることはありません_』
そりゃあそうだよね。チートすぎるもん。
他にも色々教えてもらうよ!…教えて……もら……うぅぅ…………Zzz。
倍率はかなり適当なので、まぁとにかく超つええと考えてもらえれば←