快適なる農村生活2
おはこんばんちわーっす。
今日も飛竜の山田太郎です。
今、俺の前には騎士のおっさんがいる。1人ではない。3人だ。眼は鋭く、顔に傷がある奴もいる。禿げてるのもいるが、ロマンスグレーのオジサマもいる。なんと言うか、the・歴戦の兵士みたいな…。
俺がそんなことを考えている間におっさん達は話し合いをしている。
「ふむ、飛竜が孵ったというのは本当だってのか」
「確かに飛竜だ。だが些か小さくないか?」
「ウェイルドン種ではないか?あれらは伝令用に改良されているからな」
ウェイルドン種?と首を傾げると、気付いたおっさんが教えてくれた。
「ウェイルドン種とは伝令用に改良された小型の飛竜だ」
「飛竜には大まかに戦闘、伝令、運搬の3つの系統がある。そのどれかに特化した竜の一族を~種というのだ」
「今現存するドラゴンは約500種。うち400は飛竜だ。滅びたのも入れると1000種以上になる。」
ひゃー多いねぇ…それだけ戦争が多いってこと?
異世界パネェ…異世界怖い…
「さて、お前さんはどの系統かね?大きさだけなら伝令竜だが、その立派な角や爪牙をみるに戦闘竜だ。かといってその翼や足は運搬竜だ。ここまで混沌としたドラゴンは初めてだよ」
こ、混沌としたドラゴン…
「万能というのは器用貧乏なんだよ。全部できるから何かに特化していない。おそらく君の種は万能故に滅びたんだろう」
「ふむ…ならば徴収する必要はなし、か?」
「特化型のドラゴンなら考えるが、成長するまで分からないな」
「だがそうすると主が…」
あーもう五月蝿い!!
『ぎゃう!!』
俺は今の生活が気に入ってんの!!
おっさん達はどっか行って!!
『ぎゃうぎゃぎゃーう!ぎゃう!!』プイッ
本当どっか行って欲しい…いい歳の俺がプイッとか気持ち悪…
「おや、拗ねられてしまったよ。しょうがない、今回は諦めるとしよう。おちびさん、お前はどう成長するんだろうかね…」
斯くして俺の平穏な生活は守られたのだった。
オマケ
おかーさーん!!
『ぎゃーう!』
なあに?
「くるる?」
徴収ってなあに??
『きゅー?』
…だれが、そんなことを言ったの?
「ウルルル゛ル゛?」
騎士のおっさん達!
『ぎゃう!!』
プチッ
おどれら何してくれとんじゃ!!!
「グオォォォォォォォォォォォォォオ!!!!!」
「なっ!?地竜が暴走を始めたぞ!」
「まさか徴収しに来たのがバレたのか!?」
「ギャァァァァァァァァァァァアァアア」
「ドートスぅ!?」「エイメン…安らかに眠れ…」