おい・・・恋敵じゃないよな?
読んでくださる方誠にありがとうございます。
これから頑張って恋愛に発展させていこうと思っていますので、生暖かい目で見守っていて下さい。
では、誰がなんの競技に出るか決めたいと思いまーす。」
暖かい日の4時間目。
お腹も空いてるし、眠くなる時間でもある。救いなのはこの時間が授業ではないこと。あー、那岐ちゃんじゃないけど俺もダリーなぁ。やってらんなーい(笑)
今俺がしてることそれは、体育祭の出場種目決めである。那岐ちゃんは喋ることがかったるいと言って俺に司会を押し付けてきた。でも、黒板に書くほうがメンドクサイんじゃない?って言うと、「私、皆の意見まとめることの方がメンドクサイと思う。だから頑張って。」と言われた。いつもより3割り増しの笑顔で言われたらやるしかないでしょ!と自分でテンションをあげていた。例え那岐ちゃんが内心どんなことを思っていようが今はやる気に満ち溢れているのさ。まあいい。早く決めてしまおう、衣装係と、応援団・チアも決めなくちゃいけないからな。
「パン食い競争出たい人いますか―?」
「はいはーい!食べ物に掛ける情熱では誰にも負けない、尚田直哉が出まーす!!」
ガタガタと騒音を立てながら立ち上がったのは直哉だった。こいつは本当に騒がしいやつだ。
「あー、はいはい。分かった分かった。他に出たい人いませんかー?」
またもや騒々しく立ち上がった奴がいた。次は女子のようだ。
「あ、じゃあ私が出るー!パンって何パン?」
「分かった、じゃあ美波頼んだよ―。あと、パンは知らん。」
「おっけ!まかしとけ。」
パン食い競争は決まったか。尚田直哉と伯方美波ね。尚田と伯方と俺は幼なじみで、昔から何をするにもずっと一緒だった。この二人にさえも俺は自分の能力を黙っている。心苦しいんだが、言ってしまっては駄目な気がするんだ。あと、二人共顔も、スタイルも性格もいいのにモテない。それはなぜか、何故なんだろうな。
まあ大体こんな調子で着々と決まっていった。このクラスのいいところは積極性があるところだな。でもなぁ出場種目と応援団・チアは決まったけど、衣装係がな~決まらない。どうしましょ。あ、そうだ!
「衣装係決まらないから、俺と那岐ちゃ・・・浅田さんでやるけどいい?」
いいよー、と皆の声が聞こえたのでそうすることにした。こうして那岐ちゃんと一緒にいる口実を作ったのだ。俺ってば天才だな。
「各自練習が必要なところは他の組との合同練習に参加して下さい。以上で終わります。」
昼休みが過ぎ、5限目6限目と過ぎていきあっという間に放課後となった。
俺と那岐ちゃんは教室に二人で残り作業をすることになった。もう一度言っておこう、二人で残り作業をすることになった。
作業といえども衣装係の仕事、つまりクラスTシャツのデザインだった。こちらから現状を確認させていただくとだな、ひとつの机に二人で向かい合っている状況なのである。
だがしかし、目の前の那岐ちゃんはさすがは無気力少女というに相応しい、清々しいくらいに寝ている。いっそ、このまま寝かせておいたほうがいいのだろうか、というくらいだ。ここで、軽くでもいいから那岐ちゃんの思考が読めていたら苦労はしないのだが。思考が読めないというのは初めてだから、自分で考えて動くということには慣れない。さてどうしようか、そう思い悩んでいた矢先に目の前の那岐ちゃんがムクっと起き上がった。
「おはよー、那岐ちゃん。良く寝れたー?」
顔の目の前で手を振りながら言ってみる。
「・・・。早く終わらせて帰って寝る。」
「わかった、早く帰ろうね。」
「うん。ということで倉沢君頼んだ。」
「ん?一緒に考えようよ。」
と、俺が言うと彼女はめんどくさそうに答えた。
「私、センス無いから。」
「いや、俺の方こそセンス無いんだけど。」
そんな感じで二人で謙遜しあうことを約10分間にわたり続けた。そして、お互いに何個か描いてみようということで話はまとまった。
黙々と集中して描くこと30分、誰かが教室に入ってきた。香田だ、香田晋助。俺の友達で、結構リア充してる奴。リア充とはいっても、部活で青春してる感じで別にチャラかったりはしない。真面目で話してみると面白い、クラスの中心のグループにいそうな奴。俺に話しかけてくるのかな?と思っていたら、
「何してるんだ?那岐。」
「あ、晋助くん。今クラスTシャツのデザイン考えてるところなんだけど。」
と言って、那岐ちゃんは香田に紙を見せた。
「おお、コレなかなかいいんじゃないか?」と、香田が指さしたのはナギちゃんがデザインしたシンプルで、でもどこかかっこ良くもあるやつだった。香田が褒めると「そうかな?ありがとう。」と那岐ちゃんは少し恥かしそうに照れ笑いをした。
「じゃ、これでいいのかな倉沢くん?」
「・・・あ、うん。いいと思うよ。」
「それじゃあ、今日は解散だね。お疲れ様。」
「うん。お疲れ様。」
そうして、香田と那岐ちゃんは教室から出て行った。1人取り残された俺はどうしようもない気持ちのまま、自分も帰ることを決意した。
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俺は家に帰ってそうそう昨日と同じようにベッドに飛び乗った。そして、バタバタと転がり回った。
「なんなんだよー。なんで香田と那岐ちゃんが知り合いなんだよー。しかも、名前で呼び合ってんだよ―。おかしいだろ―。」
ひとりごとを呟きながら転がり続けた。色々ツッコミたいところがあったのだ。二人は全然タイプも違うのに何故知り合いなのか。名前で呼び合っているのか。俺も教室にいたのに空気みたいな扱いを受けたのは何故か。ていうか二人一緒に教室から出て行ったけど何?一緒に帰ってるの?本当に何なんだよ。大体、俺ナギちゃんの表情が変わったところ見たことないよ!?なんで香田相手に照れ笑いしてくれてんの!?かなり可愛かったんだけど!?
せっかく那岐ちゃんと二人で入れる機会だったのに。台無しだぜ。
決めた、明日俺は
那岐ちゃんの一日というものを見ようと思う。幸い明日実行委員の仕事はない。ふっふっふ、俺は一度決めたら最後までやる男だ。何かはわからんが覚悟しときな!
1人でカッコつけてみたものの、俺は一人暮らしをしているので誰も反応はしてくれない。仕方がないから、飼っているハムスターにでも相談をしようと思う。え?動物の思考も分かるのかって?勿論分かるに決まっている。困っている時のいい相談相手だ。
俺はハムスターと自分の分の夜ご飯を用意した。さあ、これから長い長い夜の幕開けだ。
・・・とは言ってもハムスターに愚痴るだけさ。
何かおかしな所や誤字がありましたらご指摘よろしくお願いします。