出会い
「おはよう。父さん、母さん。」
僕の名前は、神崎 晴樹。
僕の両親は幼い頃に交通事故で亡くなった。
僕がまだ5、6歳の時だったから今では良く思い出せない。
別に寂しくはないし、会いたいとも思わない。
だって、僕には信用できるおばさんとおじさんがいるから。
「おはよう。晴樹君。」
「おはよう。晴樹。」
「おはよう。玲奈おばさん、和弘おじさん。
今日も部活で遅くなるから、先に寝てていいよ。」
「そうなの?晴樹君は、いつも忙しそうね。
バスケってそんなに大変なの?」
「当たり前じゃないか。晴樹はバスケ部のキャプテンなんだぞ?」
「それもそうね。でもやだなあ~寂しい~」
玲奈おばさんは子供みたいな人で、和弘おじさんは、クールな方だ。なぜこの二人が結婚したかは知らないが、何となくお似合いな気がする。
「ごちそうさま。行ってくる!」
そう言って家を出た。
二人が何か言いたげな顔をしているとも知らずに・・・。
充分時間に間に合い、僕はバスケ部の部室へ向かった。
相変わらず見た目は、ボロボロで本当に使えるのか?と疑問に思うくらい。
それでも扉を開けると中々綺麗の掃除されていて、充分に使える。
こんな事ができるのは、全部うちのマネージャーだけ。
一番乗りだと思って意気揚々で着替えようとするとふいに
「ちょっと待って。私がいるから。」
と、止められた。振り向くとそこには秋長 梨花というマネージャーがいた。
「マネージャー?」
スタイル、良し。胸もよし。顔は美人。
何もかもが完璧な女性。思わず、目を丸くする。
「まったく。ちゃんと周りを見てから着替えなさい。」
怒られてしまった。が、不思議と怖くない。
「ああ、悪い。いるとは思わなかった。」
そういうと、マネージャーは、呆れたようにため息をつかれた。
一章の不覚だな。女にため息をつかれるなんて。